2021年11月27日

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今年も売れ行きは上々のおせち(写真はあべのハルカス近鉄本店)

美味しい「おせち」は、プロに聞け――。新型コロナウイルスに感染するリスクを考慮して、年末年始の帰省や海外旅行を自粛する人々の旺盛な需要に支えられ、おせちの売れ行きは昨年も今年も好調だ。百貨店業界の各社はラインナップを拡充して購買意欲を喚起するが、選択肢が多いだけに選ぶ側は悩ましい。想像と異なるおせちが届き、新年早々に悔やみ、嘆く――。そんな悲劇を避けるため、デパートニューズウェブでは、東京都と大阪府の主要百貨店にアンケートを実施(三越伊勢丹と阪急阪神百貨店は、のれん別)。おせちを担当する“プロ”に、イチオシの逸品を紹介してもらった。しかも、「直前でも買える」、「在庫が十分にある」という条件付きだ。おせちは昨年、今年と“特需”の様相を呈しており、売り切れる可能性はゼロではないが、担当者のアピールを熟読して、自身や親族の“ベストマッチ”を選んで欲しい。

百貨店業界では2000年以降、おせちの売上げは右肩上がりだ。共働き世帯が珍しくなくなり、おせちは「作る」から「買う」に変化。そこにコロナ禍で旺盛な「イエナカ消費」が加わり、勢いに弾みが付いた。

今年も視界は良好。小田急百貨店は「各店で前年実績を大幅に上回っている状況」、京王百貨店は「11月2日時点で売上げは前年の1.4倍」、そごう・西武は「10月末時点で売上げは前年比45%増(既存店ベース)」、大丸松坂屋百貨店は「10月末時点で売上げは前年比35%増」、高島屋は「昨年は一昨年から大きく数字を伸ばしたが、今年も堅調に推移している」、東急百貨店は「10月末時点で売上げは前年比2割増」、松屋は「11月上旬時点で前年比2割増。前年の同時期は同7割増で、一昨年に比べると2倍近い」、三越伊勢丹の伊勢丹のれんは「11月初旬時点で前年比20%増前後」、三越のれんは「11月初旬時点で前年の1.2倍強」、近鉄百貨店は「10月末時点で売上げが前年比20.3%増」、阪急阪神百貨店の阪神のれんは「11月上旬時点で売上げは前年比で約2割増」と、好成績が並ぶ。

販路別では、依然としてインターネット通販の伸び代が大きい。そごう・西武は10月末時点で前年の約2.5倍、近鉄百貨店も10月末時点で同38.3%増、京阪百貨店が11月初旬時点で同7割増と盛況だ。

売れ筋は「高額」、「少人数」、「全国配送可能」

商品別では、5万円を超える高額品や少人数用、全国配送可能が人気。やはり、コロナ禍の影響が色濃い。「5~10万円の価格帯の売上げが前年比23%増、少人数用も同21%増」(小田急百貨店)、「5万円以上が好調で、個食用や広域配送可能も昨年に続き受注が多い」(京王百貨店)、「5万円以上が好調で、年末年始は自宅で贅沢してゆっくり過ごす人が多いのではないかと感じる」(そごう・西武)、「少人数用の稼働が顕著」(東急百貨店)、「個食用の売上げは前年の1.5倍、全国配送可能は同じく2.2倍」(松屋)、「10万円以上の売上げは前年の1.3倍。少人数用は『1人前で2万円以上』という特集を組んだが、11月3日までに4点が全て完売した」(伊勢丹のれん)、「昨年と同様、5万円以上の老舗や名店、1人前や2人前の少人数用の高額品の動きが良い。全国配送可能の売上げは前年の1.5倍で推移」(三越のれん)、「有名な料亭、日本料理店などの4万円以上の売上げが前年の1.6倍、個食用や少人数用も同27.2%増」(近鉄百貨店)、「料亭などの4万円以上、1万円台の少人数用が好調」(京阪百貨店)、「個食用や全国配送可能が伸びている」(阪神のれん)。

金額にかかわらず、百貨店に優位性がある老舗や有名店のおせちはコラボレーションも含めて支持が厚い。「コラボレーションの売上げは前年比15%増、注目の料理店も同2割増」(小田急百貨店)、「まだまだ外食を自粛する人が多く、料亭や名店のおせち、有名店がコラボしたおせちは人気」(そごう・西武)、「組み合わせやコラボレーション、料亭、名店、和風といったキーワードが売れ筋」(東急百貨店)、「構成比は9.2%と低いものの、いわゆる『ホテルおせち』の売上げが前年比39.7%増で、旅行を自粛する反動と予想される」(近鉄百貨店)、「(ワクチンの接種が進み)『今年は家族で食べるから』、『今年は孫に会えるから』などの理由から、いわゆる『レストランおせち』の伸長がみられる」(阪急のれん)。

今年ならではの傾向は“スタートダッシュ”だ。百貨店業界では昨年、おせちが12月中旬頃に完売したため、買い逃した人も多い。それを悔やむ人々が、予約の開始日に殺到。各社の10月末や11月初旬までの売上げを押し上げた。以降は予約のペースが落ちると予想する百貨店は少なくない。

ただ、通期での売上げの見通しは、京王百貨店が「前年比で6~10%増と推定する」、そごう・西武が「前年比で約2割増(既存店ベース)」、大丸松坂屋が「前年比で2割増」、高島屋が「前年比で8%増」、東急百貨店が「前年比で2桁増」、三越伊勢丹の両のれんが「プラス」、阪急阪神百貨店の阪急のれんが「前年比で5%増程度」、阪神のれんが「前年比で約2割増」。前年実績のクリアは可能な情勢だ。

コロナ禍は一段落したが、「年末年始は自宅で贅沢に過ごしたい」という志向は根強い。百貨店業界は2年連続の“おせち特需”に沸きそうだ。


以下、のれん別に担当者と推奨品を掲載する。

<協力を得た百貨店>

※企業を東京都と大阪府に分けて五十音順

伊勢丹

小田急百貨店

京王百貨店

そごう・西武

大丸松坂屋百貨店

高島屋

東急百貨店

東武百貨店

松屋

三越

近鉄百貨店

京阪百貨店

阪急

阪神

 

<お断り>

12月に入っても買える」、「直前でも買える」という条件を設けたものの、商品は売り切れる可能性があります

※担当者は敬称略

 

伊勢丹

【推奨者/役職】

中本光昭/食品・レストラングループマーチャンダイジング部マーチャンダイジングマーチャンダイザー

【商品名/価格】

オステリア・トット イタリアン一段重/1万2960円(税込み)

【概要】

昨今のトレンドになりつつある少人数(1~2人前)おせちの中でも三越伊勢丹限定で、他のおせちとの組み合わせやカウントダウンのオードブルにも使えます。

【推奨する理由】

「オステリア・トット」の根本シェフとは、伊勢丹新宿本店の地下1階の食品売場にある「キッチンステージ」というショップでの取り組みなどで付き合いもあり、伊勢丹のお客様には馴染みのある本格イタリアンでもあり、推薦させて頂きました。1品1品手づくりで、実際に店でも提供しているもの、例えば看板メニューである佐賀牛頬肉の赤ワイン煮込みや甘酸っぱさが癖になる小玉ねぎのアグロドルチェなど、ワインなどとの相性も抜群なメニューが楽しめます。単身者から家族と一緒に年末年始を過ごされる方まで、幅広いニーズを捉えたおせちに仕上がっています。


小田急百貨店

【推奨者/役職】

本田康祐/MD推進部食品担当マーチャンダイザー

【商品名/価格】

箱根 強羅花壇 おせち料理三段重/6万4800円(税込み)

【概要】

緑豊かな箱根の森で、一際風格漂う「強羅花壇」。宮家ゆかりの洋館で味わう季節感溢れる懐石料理は、海外の賓客からも高い評価を得ています。

【推奨する理由】

日本を代表する料亭旅館の美味を、新春の祝い膳で堪能して頂きたいです。


京王百貨店

【推奨者/役職】

薄井慎也/食品・レストラン部商品担当バイヤー

【商品名/価格】

京王百貨店オリジナルおせち四段重 「希」/2万7000円(税込み)

【概要】

地元食材を使ったおせち料理や郷土料理などが盛り沢山で、北海道産の黒豆、いぶりがっこチーズ松葉、瀬戸内真だこ酢漬け、長崎県産天然鰤照焼など、日本各地の味が楽しめます。

【推奨する理由】

地元産食材を使ったおせち料理や郷土料理にこだわり、コロナ禍でも食べながら旅行気分になれるようにと思い、製作しました。


そごう・西武

【推奨者/役職】

長岡俊範/リーシング本部リーシング二部フード担当

【商品名/価格】

京都のおばあちゃんのおせち 三段重/2万1600円(税込み)

【概要】

丹波の黒豆や山城の筍など京都の素材を使用し、旨みをじっくり引き出した「おばんざい」を中心に詰め合わせた1番人気のおせちです。

【推奨する理由】

各地の“おばあちゃんのレシピ”を基に企画した、そごう・西武限定の「おばあちゃんシリーズ」は全4種類ですが、中でも「京都のおばあちゃんのおせち」三段重が1番人気です。幅広い世代が食べるおせちだからこそ、味付けも上品かつ丁寧に仕上げており、3~4人前あるので、家族団らんで楽しめます。


大丸松坂屋百貨店

【推奨者/役職】

内藤真光/本社営業本部MD戦略第2統括部フーズ担当

【商品名/価格】

大丸松坂屋特別企画 大原千鶴監修 口福おせち 寅/2万7000円(税込み)

【概要】

大丸松坂屋おせちで3年連続売上げナンバーワンの“看板”で、人気料理研究家・大原千鶴さんの監修による和風3段のおせちです。

【推奨する理由】

3世代で楽しめるように、従来のおせちに入っている品目以外にも「あなごの蒸し寿司」や「白味噌シチュー」などレンジで温めて食べられる品目も入っています。また、子供に人気のある「和牛ローストビーフ」や「麹チャーシュー」など肉料理もしっかり盛り込みました。


高島屋

【推奨者/役職】

山下聡・天笠 亜佑子/MD本部食料品部おせち担当バイヤー

【商品名/価格】

<髙島屋 和・洋・中おせち>和・洋・中 三段重/3万2400円(税込み)

【関東地区お届け】

【関西・岡山・鳥取・島根地区お届け】

【東海地区お届け】

【概要】

高島屋の店頭で1番売れている商品です。人気の定番和風の段、肉料理や魚介類を使った洋風の段、酒の肴にもぴったりな中華の段、1度で3種類の料理が楽しめてしまう優れものです。

【推奨する理由】

黒豆、いくら、数の子、お煮しめなど定番の和風はもちろん、イベリコ豚のロースト、オマール海老のパイ包、中華の鮑のオイスターソース煮、海老のチリソースといった洋風中華の献立は、ぜひ食べて頂きたいです。


東急百貨店

【推奨者/役職】

田崎健二/食品統括部惣菜・米飯バイヤー

【商品名/価格】

東急百貨店オリジナル 和洋中コラボおせち 三段重/4万8600円(税込み)

【概要】

日本ならではの四季を映した会席料理で名高い和久田、本格フレンチを気軽に楽しめる一軒家レストランのルカンケ、宮廷料理の伝統を受け継ぐ中国料理の「菩提樹」、和洋中の名店が趣向を凝らした、コラボレーションおせちです。

【推奨する理由】

近年のトレンドである「コラボレーションおせち」で、素材の味を生かした繊細かつダイナミックな料理です。3店舗が腕を振るう“技の競演”を東急百貨店限定として提案します。


東武百貨店

【推奨者/役職】

因幡秀樹/池袋本店食品部販売推進課サブマネージャー

【商品名/価格】

東武オリジナル 和洋二段重「吉祥」/2万円(税込み)

【概要】

和風、洋風と彩りよく詰め込んだ、東武の職人によるボリューム満点なオリジナルおせちです。

【推奨する理由】

丹波の黒豆蜜煮やメロ西京焼き、北海道産昆布を使った昆布巻など、職人自慢の逸品を彩りよく詰め合わせております。歴史ある和のおせちはもちろん、子供や若い人にも人気の洋風まで、家族の集まりに華を添えるおせちです。


松屋

【推奨者】

田中翔/営業一部食品1課弁当惣菜担当バイヤー

【商品名/価格】

平河町かなや 謹製一段重/1万5800円(税込み)

【概要】

松屋のおせち全205点の中で唯一の1人用おせちです。「平河町かなや」は日本最古のリゾートホテルをルーツに持つ、金谷ホテル観光グループが手掛けるモダンジャパニーズレストラン。 「和敬洋讃」というモダン和食を提供しています。

【推奨する理由】

おせちは豪華で大人数で囲むイメージがありますが、こちらのおせちなら1人前で利用できます。老舗の和食料理、1人前の量というところで、初心者にも安心して頂けます。


三越

【推奨者/役職】

角井輝昭/食品・レストランMD統括部マーチャンダイジングディビジョンマーチャンダイザー

【商品名/価格】

三越オリジナルおせち「輝(KAGAYAKI)」和洋おせち三段重/2万7000円(税込み)

【概要】

冷凍おせちは年々需要が伸びていますが、「こんなおせちが食べたかった」の声を思い浮かべながら、1つ1つの料理で味付けを妥協せずにつくり上げたのが「輝(KAGAYAKI)」です。今年初登場の三越オリジナルで、伝統的な和風のおせち料理に、子供にも喜んでもらえる洋食を加え、豪華な献立も盛り込んだ全47品目は、ボリューム感があります。

【推奨する理由】

冷凍おせちは全国配送可能で、急速冷凍技術の向上によって、つくり立ての味を楽しめます。また、食べたい時に食べられるのも魅力です。見た目や美味しさはもちろんですが、食べやすさも重視。殻を剥いた「海老旨煮」や薄くスライスした「あわび旨煮」、身をスライスして仕上げた「オマール海老テルミドール」など、工夫を凝らしています。


近鉄百貨店

【推奨者/役職】

三木崇寛/商品政策推進部課長

【商品名/価格】

近鉄オリジナルおせち四重折(和・洋・中)/3万2400円(税込み)

【概要】

昨年にリニュ—アルした、和風、洋風、中華のそれぞれの素材の味を存分に楽しめる、本格的な近鉄オリジナルおせちです。

【推奨する理由】

彩り鮮やかに仕上げており、家族で正月の食卓を楽しめます。


京阪百貨店

【推奨者/役職】

松下克俊/食品統括部食品企画マネージャー

【商品名/価格】

京阪百貨店×ホテル アゴーラ 大阪守口 特別企画 和洋おせち/3万5000円(税込み)

【概要】

京阪百貨店のこだわりの食材と「ホテル アゴーラ大阪守口」の技が織りなす、美食のコラボレーションです。

【推奨する理由】

京阪百貨店のブランド牛「宮崎県産黒毛和牛 宮崎ハーブプレミアム」をローストビーフにしたほか、全国養殖マグロ品評会で最優秀賞を受賞した「高知県大月町産黒潮生本まぐろ」を西京味噌漬け焼きにしました。どちらもホテル アゴーラ 大阪守口の洋食、和食の料理長に調理を依頼。最高の逸品が出来上がりました。そのほか、ホテル アゴーラ  大阪守口のこだわりの食材、調理でつくり上げたおせちは、新年を彩るに相応しいものになりました。


阪急

【推奨者/役職】

岩本好史/阪急阪神百貨店第1店舗グループフード商品統括部惣菜商品部バイヤー

【商品名/価格】

「秀梅」吉盛り/1万6200円(税込み)

【概要】

贅沢な味わいを少しずつ、種類豊富に食べられます。

【推奨する理由】

良いものを少しずつ、贅沢に詰め合わせています。全て国産にこだわった素材(調味料や香辛料などは国産以外も使用)の、阪急オリジナルのおせちです。“なにわ”の料理の技が素材をひき立て、贅沢な味わいを楽しめます。


阪神

【推奨者/役職】

南木秀介/阪急阪神百貨店第2店舗グループ阪神梅田本店フード商品統括部EC・ギフト部バイヤー

【商品名/価格】

阪神百貨店限定バイヤーおすすめ 和風おせち個食/9,720円(税込み)

【概要】

古来より不老長寿の象徴とされている鮑煮が、一際存在感を放ちます。1人前でありながらボリュームたっぷりの、豪勢なおせちです。

【推奨する理由】

取り分けが不要で、阪神百貨店のおせち料理のバイヤーが推奨する、オリジナルの1人用です。複数人用のおせち料理を家族で取り分けながら新年を過ごすという、これまでの楽しみ方ももちろんありますが、コロナ禍を機に、取り分けなくてもいい1人用の豪華なおせち料理をそれぞれで楽しむという食べ方も推奨したいと考えています。