2025年07月11日

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小田急百、若手社員の発案で交通機関マスコットのイベント開催 マニア人気に着目

今回の企画を担当した、販売促進・EC部(ギフトサロン・催事)の藤井太一朗氏

小田急百貨店新宿店の催事場では、小田急電鉄のマスコットキャラクター「もころん」と都バスの「みんくる」、東京さくらトラムの「とあらん」のイベントを開催している。今回が初開催で、手掛けたのは販売促進・EC部(ギフトサロン・催事)の藤井太一朗氏。昨年入社の若手社員だ。同店ではニッチなカテゴリーの催事を強化しており、SNSでじわじわと人気が高まっている「みんくる」に着目した。

密かにブームになっている「みんくる」

「みんくる」は都バスのフロントをデフォルメし、そこに東京都の「T」をデザインしている

もころんは、2023年8月にデビューした小田急電鉄の子育て応援マスコットキャラクターで、すでに小田急百貨店藤沢店や町田店でもイベントを展開している。みんくるは1999年に都バスが75周年を迎えた記念に公募から誕生したキャラクターで、とあらんも2011年に公募からデザインと愛称が決定した。

このうち、特にみんくるは人気が高い。キャラクター誕生から少しずつファンの数が増え、24年の都バス100周年をきっかけにさらに認知度が高まった。公式ユーチューブチャンネル「みんくる・とあらんのゆるっ都ちゃんねる」には、再生回数が10万を超える動画もある。

同店では現在、それを目的に熱心なファンが来店するコンテンツ、とりわけ競合他社とは被らない“マニア向け”催事の展開に力を入れている。みんくるのブームを知っていた藤井氏は昨年の入社後、研修期間のプレゼンでみんくるのイベントを提案。社員からの反応が良く、その後藤井氏が催事担当の部署に配属されたことで、具体的に動き出した。

企画のブラッシュアップの過程で、同じく東京都交通局のマスコットであるとあらん、小田急電鉄のもころんも合わせたコラボイベントとなった。藤井氏は「どれも熱心なファンはいるが、知られ過ぎておらず、グッズを販売している場所も限られている。当店への来店動機になるのではと考えた」と語る。

コラボアイテムや先行発売、限定品も用意

3キャラクターが集まった、限定のアクリルスタンド

「もころん・みんくる・とあらん POP-UP SHOP」は、7月8~14日に7階のイベントスペースで開催している。それぞれのキャラクターのグッズを販売し、写真撮影や触れ合いができるグリーティングイベント、羊毛フェルトでもころんやみんくるを制作できるワークショップも実施する。

グッズは50種類以上を用意。イベントを記念し、3キャラクターのコラボアクリルスタンド(2420円)も発売した。「“おだきゅうのもころん”寝そべりぬいぐるみ(30cmタイプ)」(3500円)は先行販売で、12~13日に抽選販売を行う。都営バス100周年を記念してつくられ、在庫がわずかの「みんくる特大ぬいぐるみ」(2500円)は8~14日に応募を受け付け、後日に抽選販売を行う。

用意したフォトスポット

事前に行ったグリーティングの受付は合計60人の枠に約500人が応募し、ワークショップの予約もすぐに枠が埋まった。初日の朝には多くのファンが集まり、フォトスポットで撮影したりなど、盛況を呈した。SNS上でも同イベントが話題になっており、藤井氏は「届いてほしい層に届いた。もころんファンがみんくる・とあらんを知ったり、その逆があったりと双方にメリットが生まれている」と話す。

グッズの売れ行きは、初日夕方時点ではコラボアクリルスタンドが圧倒的だという。「ファンの方は、既存グッズをすでに持っていることが多い。もっとオリジナル品を増やしても良かったかもしれない」(藤井氏)。今回手応えを感じたことから、さらに内容を充実させた再度の開催も検討している。

(都築いづみ)