2025年9月 大手百貨店4社売上高
全社2カ月連続で増収、国内市場がおおむね堅調
大手百貨店4社の9月売上高は、大丸松坂屋百貨店が5.6%増、三越伊勢丹が3.5%増、阪急阪神百貨店が3.2%増、高島屋が2.6%増と全社増収だった。全体的に免税売上げが前年を上回った。国内顧客は中旬以降の気温低下に伴い、秋物衣料に動きが見られた。国内売上げはおおむね堅調に推移した。
高島屋(国内百貨店子会社含む)の売上高前年比は2.6%増で、店頭に限ると4.4%増だった。免税売上高は2.7%増、免税を除いた店頭売上高は4.6%増となった。国内顧客は、中旬以降の気温低下に伴い、秋物衣料などに動きがみられた。物産展など催事も堅調に推移し、前年を上回った。海外顧客は、化粧品、婦人服、スポーツ、子供情報ホビーなどが前年を上回り、全体を押し上げた。
店舗別では12店舗のうち、玉川(16.0%増)、大阪(10.8%増)、横浜(5.0%増)、日本橋(3.9%増)、新宿(1.0%増)の5店舗が増収だった。主要5品目は、雑貨(11.9%増)、身の回り品(5.0%増)、家庭用品(4.2%増)、食品(3.4%増)がプラスとなった。
三越伊勢丹(国内グループ百貨店含む)の売上高前年比は3.5%増で、2カ月連続でプラスとなった。国内顧客は伊勢丹新宿本店でのお得意様招待会「丹青会」や三越日本橋本店でのお得意様招待会「逸品会」が好調だったことや識別化が順調に進んでいる効果もあり、首都圏を中心に堅調に推移した。
国内顧客は、識別顧客を中心に引き続き高付加価値商品への関心が見られ、ラグジュアリーブランドやデザイナーズブランドを中心に今から着ることのできるアイテムが好調だった。丹青会や逸品会に加え、伊勢丹新宿本店の「イタリア展」や三越日本橋本店での「フランス展」など、顧客の関心が高いイベント開催により新規顧客の来店も促進した。海外顧客は、化粧品や旅ナカを充実させるアイテムへの関心が高く、購買の幅が広がっている。
店舗別では新宿(13.2%増)、岩田屋(2.7%増)、日本橋(2.1%増)が前年を上回った。主要5品目は、雑貨(7.9%増)、衣料品(5.0%増)、家庭用品(1.9%増)、身の回り品(1.1%増)がプラスとなり、食品(1.8%減)がマイナスだった。
大丸松坂屋百貨店(関係百貨店を除く)の売上高は前年比7.7%増、関係百貨店を含めた百貨店事業合計も5.6%増で2カ月連続でプラスとなった。免税売上高は11.5%増、客数15.9%増、客単価3.7%減となった。国内売上高(免税売上げの本年・前年実績を除く)は7.2%増だった。店舗別では名古屋(13.1%増)、梅田(12.3%増)、心斎橋(9.2%増)、神戸(3.2%増)、芦屋(2.4%増)がプラスだった。
主要5品目は、身の回り品(71.3%増)、食品(7.8%増)、雑貨(5.6%増)、衣料品(3.2%増)がプラスとなり、家庭用品(3.9%減)がマイナスだった。品目別では婦人服・洋品(4.6%増)は秋物の動きが鈍かったが、ラグジュアリーブランドが好調に推移したことにより、前年を上回った。紳士服・洋品(5.4%減)は紳士雑貨が前年を上回ったものの、衣料品が伸び悩んだ。身の回り品は婦人靴が不調だったが、アクセサリーが好調を持続。雑貨は、化粧品(11.4%増)が国内、インバウンドともに好調に推移した。食品は生鮮食品(2.7%減)が苦戦したが菓子(22.8%増)が売上げを伸ばし、全体でも前年を上回った。
阪急阪神百貨店の売上高前年比は、15店舗のうち8店舗がプラスとなり、全店計で3.2%増、2カ月連続でプラスとなった。阪急本店は0.8%減、阪神梅田本店は34.0%増。支店は阪神・にしのみや(15.7%増)、あまがさき阪神(8.0%増)、宝塚阪急(4.7%増)、神戸阪急(3.8%増)、高槻阪急スクエア(1.8%増)、西宮阪急(1.1%増)、川西阪急スクエア(0.9%増)がプラスだった。
主要5品目は、雑貨(8.5%増)、食品(5.4%増)、衣料品(2.6%増)がプラスとなり、家庭用品(19.7%減)、身の回り品(3.7%減)がマイナスだった。