2025年10月16日

パスワード

メリー、人気アソート「ファンシーチョコレート」刷新 カカオ高騰でも‟チョコレート“貫くこだわり

チョコレートは全部で15種類あり、うち新フレーバーは4種類

カカオ豆の価格高騰が深刻化し、多くの菓子メーカーが頭を悩ませる中、メリーチョコレートカムパニーはカカオ分の配合率が高い‟チョコレート生地“へのこだわりを見せる。1日にリニューアル発売した「ファンシーチョコレート」は、15種類全ての生地が「準チョコレート生地」や「チョコレート菓子」ではない、チョコレート生地だ。そこには「品質が良くおいしい、本物のチョコレートを届けたい」という創業以来の理念があった。

贈る相手に気を遣わせない、カジュアルさが武器

ファンシーチョコレート(以下、ファンシー)は、様々な味の粒チョコレートを詰め合わせたアソートメントセット。1979年に前身となる「ファンシーアメリカン」が誕生し、発売当初は摩天楼のパッケージで人気を集めた。90年にJAL国際線ビジネスクラスに採用され、96年に「ファンシーチョコレート」に改称。現在も売上げは同社内で2位にランクインしており、名実ともに同社の看板商品だ。

食のトレンドは移り変わりが激しく、日々新たな商品が投入されているが、なぜファンシーは選ばれ続けるのか。広報宣伝部コミュニケーション戦略課の奥田一輝氏は、「1つ目は、洋酒や合成着色料不使用であること。お子様も含め、幅広い方がお召し上がりいただける」と語る。ファンシーチョコレートは手土産やカジュアルギフトの用途が多く、自家需要では家族皆でシェアするために購入するケースもある。安心・安全な成分や味が購買を後押しする。

手土産やカジュアルギフトとしては、ファンシーが持つ‟程よさ“も魅力だ。「当社の調査によると、例えば母親が、子供の面倒を見てもらったママ友へのプレゼントなどで使っている。高級過ぎるものだと逆に相手が気を遣い、『私もお返ししなきゃ』と思ってしまうが、ファンシーなら適度なお礼の気持ちを示せる」(奥田氏)。そこまで堅苦しくないが、他方で上質なイメージもあることが、カジュアルギフトとしての利用につながっている。

1979年に発売し、ヒット商品となった「ファンシーアメリカン」

創業以来の「おいしさ」と「品質」へのこだわり

何より最大の理由として、「全ての粒チョコレートで素材にこだわり、カカオの風味を感じられること」(奥田氏)がある。ファンシーのチョコレート生地は全て、全国チョコレート業公正取引協議会が運用する規約における、「チョコレート生地」の定義を満たしている。チョコレート生地は、カカオ分(カカオマスとココアバターの合計割合)が35%以上(うちココアバターが18%以上)、またはカカオ分が21%以上かつカカオ分と乳固形分の合計が35%以上、のどちらかが条件となる。

なお「準チョコレート」はカカオ分を15%以上(うちココアバターが3%以上)含んだもの、「チョコレート菓子」はチョコレート生地が全重量の60%未満で、他の素材と組み合わせているものを指す。

近年は不作などによってカカオ豆の価格が高騰しているため、コスト面の負担は大きい。「混ぜ物を入れた方が、価格は抑えられる。しかし、ココアバター由来のチョコレートならではの味わいがあり、それを届けたい」と同課の松村岳朗課長は話す。

メリーチョコレートカムパニーは、戦後の物資が不足している時代に、「本物のチョコレートをつくりたい」というポリシーのもとに創業。高品質でおいしいチョコレートづくりに取り組んできた。そのポリシーを守るためにも、ファンシーではカカオ分の割合が高いチョコレート生地を維持している。

新パッケージは上質な赤色を基調に、カカオ豆などのイラストが描かれている

値上がりへの対応策としては、粒チョコレートの個数を減らした。ギフトの場合、予算はあらかじめ決まっていることが多いため、量よりも価格の維持を優先した。製造コストを抑えるため、包装などの工程の機械化も進めている。

ガナッシュや練乳、クレープ生地など、4種の新作登場

今回のリニューアルでは、粒チョコレートに新作が4種類登場した。「アーモンドカップ」は既存品のリニューアルで、カップ部分をチョコレートに変更し、丸ごと食べられるようになった。残り3種類は完全新規で、「カカオクリーム」は、ファンシーで初めてカカオガナッシュを中身に採用。「練乳ホワイト」は練乳パウダーと2種類のミルクフレーバーによって、練乳のミルキーなコクと甘みを感じられる。「ミルクフィアンティーヌ」は、砕いたクレープ生地「フィアンティーヌ」が入り、サクッとした食感が楽しめる。

パッケージは、上質感とワクワク感が伝わるデザインに変更。カカオ豆やイチゴといった素材のイラストをあしらい、ふたを開ける前の期待感を高める。

15日から一部店舗で、税抜き1500円以上の購入でチャームがプレゼントされるキャンペーンを開催している(同社HPより)

キャッチコピーは、「15種すべてが主役級 可愛い顔した本格派」。全てが高品質で、なおかつ素材や味、形などが異なる‟主役“であることを表現した。チョコレート一つ一つに個性がある一方で、全体の味のバランスも考慮しており、変化と調和の両方を楽しめる。

価格は12個入が702円、20個入が1296円、30個入が1944円、42個入が2592円、60個入が3888円(いずれも税込み)。全国の百貨店、量販店、ECサイトで取り扱う。発売を記念し、15日から一部店舗で、同社の商品を1500円(税抜き)以上購入すると、ファンシーのサンプルチャームがもらえるキャンペーンを開催している。

(都築いづみ)