2024年12月15日

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前年の反動で3桁増も、コロナ禍前の19年比では27%減

日本百貨店協会が調査した全国百貨店(73社・192店)の4月売上高は3178億円余で、前年比(店舗調整後)は167.0%増となり、18カ月ぶりにプラスだった前月(21.8%増)を大幅に上回る3桁の伸長率だった。しかしながら前年が緊急事態宣言にともなう臨時休業や時短営業など営業自粛の影響で72.8%減だったため、この反動増の要素が大きく、これを除く前々年比では27.7%減となり、前月(前々年比19.1%減)と比べると8.6ポイントも下がった。月前半は集客、売上げ共に回復傾向が見受けられたものの、4都府県への3度目の緊急事態宣言の発令による限定営業並びに外出自粛などの影響で、実質的には厳しい状況が続いた。

3カ月移動平均値は、7~9月25.6%減、8~10月20.5%減、9~11月17.8%減、10~12月10.8%減、11~1月18.6%減、12~2月18.0%減、1~3月8.9%減、2~4月28.6%増。コロナ禍の2巡目に入り反動増が顕在化してきたものの、コロナ禍前の前々年比では「7~8掛け」状態が続いている。

顧客別では国内市場(シェア98.6%)が164.3%増となり、前月(21.9%増)を大幅に上回る伸長率だったが、前々年比では22.6%減となり、実質的には依然として「8掛け状態」。インバウンド(免税売上高)も797.4%増も稀有な伸長率だったものの、前々年比では86.9%減となる。

地区別では全地区がプラス。大都市(10都市)が192.1%増、地方都市(10都市以外)が121.2%増となり、前年の営業自粛によって減少幅が大きかった大都市の反動増が大きい。福岡(462.4%増)を筆頭に、神戸、横浜、名古屋などが突出した伸長率だった。ただ、前々年比では大都市が30.1%減、地方都市が20.8%減となり、前者の厳しい環境が続いている。

品目別では前年に大幅減を強いられた身のまわり品(前年82.8%減)、衣料品(同82.7%減)、雑貨(同78.7%減)が3~4倍強まで復調した。宝飾品や時計などの高額品、軽衣料やスーツなども動き、各社が企画した恒例の催事や会員向け施策も好評だった。ただ、前々年比では順に28.6%減、36.4%減、28.4%減という状況で、衣料品の厳しさが目立つ。雑貨では高額品の美術・宝飾・貴金属が最も高い伸長率で、前々年比でも5.9%減まで回復してきた。化粧品も208%増という大幅増だったが、前々年比では42.6%減となり、6掛け近くまでの回復度に止まっている。

また、衣料品、身のまわり品、雑貨に比べ家庭用品(93.5%増)と食品(75.3%増)の伸長率は低いが、イエナカニーズの高まりを背景に、リビング関連、家電、食品が好調に推移。EC売上高も依然として高い伸びを計上した。

前々年比では家庭用品が22.1%減、食品が18.0%減まで戻しており、家庭用品のうち家電は3.9%増と前々年の実績も上回った。

前月が14カ月ぶりにプラスだった免税売上高(88店舗)は約45億円で、前年比は797.4%増となり、2カ月連続増。購買客数は約1万1000人で、前年比367.4%増という伸び率だった。しかしながら前々年比では売上高が86.9%減、購買客数が97.6%減となり、厳しい状況が続いている。一人あたりの購買単価は約40万2000円で、前年比92.0%増。前月(約39万4000円)とほぼ同水準を堅持した。引き続き化粧品とハイエンドブランドがけん引している。