2025年10月02日

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花王の化粧品事業、2027年までに売上高3000億円へ

今年1月に執行役員化粧品事業部門長に就任した内山智子氏

花王は9月19日、化粧品事業成長戦略説明会を開いた。個性が際立つブランドで狙いを定め、価格帯、地域において最も選ばれる「グローバル・シャープ・トップ戦略」をビジョンに掲げ、中期経営計画「K27」を推進しており、2027年までに売上高3000億円、営業利益率7%、以降は同4000億円、同15%を目指す。

化粧品事業の売上げはインバウンドの後押しで2019年まで右肩上がりだったが、20年の新型コロナウイルス禍で暗転。23年には抜本的な構造改革に乗り出し、K27を策定した。「SOFINA」「KANEBO」「MOLTON BROWN」「SENSAI」「Curel」「KATE」の6ブランドに注力し、それぞれの特性を鮮明化させる一方、展開方法や研究、マーケティング、基幹技術の共通化を進めて収益力を高める。

グローバル展開する6つのブランド商品。左から「SOFINA」「KANEBO」「MOLTON BROWN」「SENSAI」「Curel」「KATE」

各ブランドはグローバル展開を見据え、3つに分類されている。1つ目はSENSAIとMOLTON BROWN。前者は売上げの海外比率が90%、40年の歴史を誇るラグジュアリーブランドであり、後者は英国王室御用達フレグランスブランドで、成長性の高いアジアを1つの市場として捉え、欧州で育まれたブランド価値を発信していく。戦略拠点としては旗艦店、空港などのトラベルリテール、百貨店内のショップなどを一体運営。アジアでの売上げ目標をSENSAIは2.5倍、MOLTON BROWNは2.0倍に設定している。

2つ目はCurel。25年以上のセラミド研究に基づいた独自の技術で、日本の敏感スキンケア市場でナンバーワンの地位を確立している唯一無二のブランドだ。独自調査では、欧州で乾燥性敏感肌と感じている人の割合が40%を占めた。伸びしろは大きいと捉え、27年の海外売上げ比率50%を目標に掲げる。

3つ目はKANEBO、KATE、SOFINA。いずれも①3年連続で前年比30%の成長率②全国小売店パネル調査で日本ナンバーワン③皮膚深層科学と界面制御技術による最先端スキンケアブランド――という強みがある。KANEBOとKATEは、日本文化への親和性と旅行者の増加、経済成長率などから「第2のインバウンド」として注目されるタイをメインに展開し、売上げ2.5倍を目指す。SOFINAは日本で確立した価値を台湾と香港へ広げ、アジアでの売上げ1.5倍を目標とする。

内山智子執行役員化粧品事業部門長は「ブランド単位の運営は投資が分散し、高い固定費が収益を圧迫する。そのため6ブランドに集中し、国境をまたぐ越境スクラム体制とした。組織編成で実行力を高め、早めることも意識しており、投資のメリハリが生まれた。将来的な目標である売上げ4000億円、営業利益率15%に向け、K27は中間のマイルストーンと位置付けている」と説明。今後は「各ブランドのミッションを明確化し、事業全体に与える影響を常にウオッチし、異常が見付かれば迅速に対応する。独自のグローバル戦略、成長する方針を持ち、武器となる技術に基づくカテゴリーポートフォリオを徹底したい」と展望した。

(北野智子)