2025年09月05日

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花王、「est」主力のベーシックラインを8年ぶり刷新

「砂漠のような乾燥環境でも乾かない」という発想で生まれた主力のベーシックラインがさらに進化

花王は10月10日、プレステージブランド「est(エスト)」のベーシックライン「エスト ザ ローション EX」と「エスト ザ エマルジョン EX」をリニューアルする。極限の乾燥環境下でも細胞構造を保ち、干からびても生き続けるネムリユリスカ(幼虫)の生態に着想し、独自開発成分の「エクトビオシス」を配合した。同社は昨秋にestのリニューアルに着手。主力商品を段階的に新装しており、ベーシックラインは8年ぶりとなる。

発売に先駆け、8月7日には報道陣向けに発表会を実施。化粧品事業部門プレステージブランドビジネスグループestブランドマネージャーの清原麻紀子氏は「2000年のブランド誕生時から四半世紀変わらず、徹底的なエビデンスベースに基づいた皮膚科学を重視し、効果が実感できる高品質なアイテムを届けることを守り続けてきた」と語る。estはパーソナルカウンセリングで「一人一人の潜在美を引き出す」ことにも特徴がある。

ブランドの代表的な商品であるエスト ザ ローションは04年、17年にもリニューアル。特に 17年の 3代目は極限環境生物が生み出す「エクトイン」に着目し、砂漠で乾かないことを実証した“究極の保湿粧水”として多くの支持を集めている。その上で、25周年を迎えるに当たり、満を持してリニューアルに踏み切った。

誕生以来、エビデンスベースの皮膚科学とパーソナルカウンセリングを重視してきた

リニューアルに際しては、「多くの方に化粧水に求められていることをインタビューした結果、上質なエステの体験後のような、潤い、透明感、ツヤのある肌に導くことだと再確認した」(清原氏)。そして、肌の構成要素である細胞を一つ一つ立体で捉える発想に至るとともに、「エイジング現象は細胞骨格のケラチン繊維が弱まること」(同)に着眼した。

花王はケラチン繊維を 1990年代から研究してきたが、「ケラチン繊維は細胞を支える骨格、柱みたいなもの。弱まると細胞もしぼんだり、壊れる。湿度 0%でも生き続けるネムリユリスカがつくり出す成分を加えた新成分、エクトビオシスによってケラチン繊維を水でできた保護膜で覆い、強化する新技術の開発に成功した」(清原氏)。さらに水をたっぷり注ぎ込み、細胞を膨らませ、潤いを引き込むための技術も進化。「結合水」という蒸発しない水を用いる新しいアプローチも加えた。この新技術で潤いに満ちた細胞を積み重ね、ハリのある肌に導く。

従来の成分であるエクトイン、ネムリユリスカが生み出すMYCOSE(トレハロース)、花王の 30年以上の保水研究から生まれた独自開発原料の HP 50を構成成分とする複合体を「エクトビオシス」と命名。今回のリニューアルのコアであり、この独自開発成分が「水を貯蓄する、水の質を変える、水の量と質それぞれにアプローチすることによって細胞の骨格を強化する」(研究開発部門スキンケア研究所グループリーダーの尾沢敏明氏)。

発表会ではアタカマ砂漠での実証実験についても展示された

エビデンスを重視し、南米のチリ北部のアタカマ砂漠、ギネスワールドレコードに登録された世界一の乾燥砂漠であり死の谷といわれるデスバレーで実証実験。化粧品事業部門プレステージブランドビジネスグループest開発マネジャーの中屋英昭氏は「湿度 10パーセント、気温 30度、多くの生物が生命活動できない極端な乾燥環境で6時間に亘り化粧水と乳液を肌に塗布し、水分、キメ、ハリについて変化を確認した。塗布 1時間後から化粧水の保湿効果が見られ、6時間後までしっかりと高い水分量を保持する結果が得られた。肌のキメも維持され、ふっくらとした印象となった」と説明する。日本でも同じような環境を再現して実験を継続。同様の結果が得られた。

厳しい乾燥環境を再現したブースも発表会には登場した

化粧水は本体が  6930円(140mL)、リフィルは  6380円(130mL)。独自の液膜形成技術を採用しており、肌の凹凸に沿って密着し、成分が均一に広がり、浸透力がさらに高まった。乳液は本体 が7370円(120g)、リフィルは 7040円(同)。持続的に水分や美容成分を肌に供給できる高含水ラメラ処方を採用した。

香りは上品で優雅な「アクアティックフローラル」で、あふれる生命力とみずみさしさを感じられるようにした。シンボルカラーは生命が本来持つ真実の美しさを象徴する色としてトゥルーオレンジを採用。サイドカラーは美しさが磨かれる前の原石をイメージしたストーリーブラックにした。商品ごとに異なる色や形を用い、一人一人の異なる美しさを表現する。

化粧水と乳液はそれぞれ3タイプあり、エイジングの原因と状態に合わせて選べる。化粧水は角化を改善するKタイプ、抗酸化するSタイプ、抗糖化できるTタイプ。乳液は乾燥を改善する Mタイプ、明るさを改善する Bタイプ、ハリを高める Lタイプで構成する。

(北野智子)