2022年07月02日

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キリンビール、仕込・発酵をAIが計画するシステム導入 9工場で年1000時間短縮

仕込・酵母計画イメージ図

キリンビールはNTTデータと共同でAIを活用して、ビール類の仕込・発酵の最適な計画を自動で立案するシステムを開発し、10月末から試験運用を開始した。対象は9工場で、投資額は約1億7000万円。確実な熟練技術の伝承と、全工場合計で年間1000時間以上の時間創出を見込む。来年1月から本格運用を予定する。

キリンビールではビール類に対するニーズが多様化する中で、客が求める商品を届けるために、本社・各工場が連携して商品の製造計画を立てている。原材料を仕込み、発酵する工程は、熟練者の知見に頼る複雑な作業だ。さまざまな条件を勘案しながら立案するため、作業に時間がかかり、技術伝承が難しい。

ビールの醸造は主に「仕込」、「発酵」、「貯蔵」、「濾過」、「保管」の5つのプロセスからなり、そのうち仕込みから貯蔵の前半までを「仕込・酵母計画」、貯蔵の後半から保管を「濾過計画」ととしている。このうち濾過計画は2019年から段階的に自動化の運用を導入していた。

今回導入したシステムは、9工場で導入した濾過計画システムをベースとする。去年12月からNTTデータと共同して各工場熟練者へヒアリングを実施し、さまざまな制約を洗い出し、コンピューターを活用して熟練者の知見を顕在化、システム化した。NTTデータは同システムに関する業務、システム要件の整理や、制約プログラミングエンジンの開発、チューニングなどを実施した。

熟練技術者のノウハウが取り込まれたシステムの導入により、仕込・酵母計画業務の属人化を防ぎ、熟練技術の伝承を可能にする。

今回、仕込・酵母計画にもシステムを導入したことで、ビール類を醸造する計画業務の全てにおけるAI導入が実現。これによって、濾過と仕込・酵母の合計で4000時間以上の時間創出を見込む。各工場では創出された時間で、さらなる品質向上に向けた取り組みや若手の育成などが期待できる。

対象となる工場はキリンビール北海道千歳、仙台、取手、横浜、滋賀、名古屋、神戸、岡山、福岡の全9カ所。