松屋銀座店、5月1日に100周年を迎え盛大なセレモニー開催
正面口外にて鏡開きを行う(左から)松崎商店銀座松崎煎餅代表取締役の松崎宗平氏、松屋銀座店の石脇聡子本店長、同古屋毅彦社長、銀座もとじ代表取締役社長の泉二啓太氏、銀実会理事長銀座天國の露木佐瑛子氏
1925年に開店した松屋銀座店は、5月1日に開店100周年を迎えた。11時の開店には古屋毅彦社長はじめ、同石脇聡子本店長ら従業員が法被姿で客を出迎え、100周年の記念冊子を配布した。11時半頃には松崎商店銀座松崎煎餅代表取締役の松崎宗平氏、銀座もとじ代表取締役社長の泉二啓太氏、銀実会理事長銀座天國の露木佐瑛子氏も参加し、正面口で鏡開きを行い、盛大なアニバーサリーイベントとなった。
ふるまい酒には長蛇の列ができた
同店は1923年の関東大震災、第二次世界大戦を経て、さらにコロナ下で苦境に立たされるも、100周年を迎えた。これまでの歩みを振り返り古屋社長は「今の気持ちを表すと感謝しかない。先輩方、社員の皆さん、取引先の方々、お客様、銀座の街の人々に支えられて今に至る」と述べた。
1869年に横浜で創業した「鶴屋」が前身。1889年に東京・神田の「今川橋松屋呉服店」を買収し、1924年に「株式会社松屋呉服店」に改め、翌1925年に銀座店がオープンした(画像は松屋銀座店提供)
2月にはグループで過去最高の売上総額を叩き出した。顧客は日本国内のみならず、海外からの来日客が3割も占める。「ホスピタリティを持っての接客はもちろん、多言語への対応、免税サービスなどにも力を入れている。社会的価値、経済的価値を生み出しながら、銀座で世界一の百貨店となることを目指したい」。
また、「先行きの見通せない世界情勢ではあるが、銀座に本店がある唯一の百貨店として、街の皆さんと銀座を繁栄させていきたい」とも。「非日常を提供するデパートの役割を果たしながら、楽しい百貨店であることを若い世代へも訴求していきたい」と、次の100年へ向けての抱負を語った。
開店時に法被姿で客を迎える古屋毅彦社長(中央)とその右横で、松屋銀座店の石脇聡子本店長
「若者が企画したイベントに最も協力してくれるのが松屋銀座店さん」とは露木氏。「昨年の夏には百貨店の前に櫓を出させて頂いたり、DJブースを設置させて頂いたり」。松崎氏は「かつて喫茶店を出店させて頂いていたこともあり、松屋銀座さんとは長いお付き合い。一緒に銀座の街で楽しいことをしていきたい」。「今日のセレモニーにお招き頂き、ありがたいの一言」との泉二氏の言葉に2人も深く同意する。「つなぐ、つながる、つなげる」という100周年のテーマのもと、同店が中心となり、人と人、人とモノ、人と街まで関わる全てを未来へとつないでいく。
5月13日まで正面口玄関を入ってすぐのスペースでポップアップを開催。100周年記念のオリジナルグッズが揃う(画像は松屋銀座店提供)
アニバーサリーイヤーにあたり、様々な企画やイベントを実施する。「ミルフィユ メゾン フランセ」や「ピエール・エルメ・パリ」など和洋菓子の17ブランドが限定商品を販売。「エネイ」のリング、「マンナイン」のワンピースなどアニバーサリーコレクションも盛りだくさんだ。窯元や工房、作家などバイヤーがこだわった「GINZA100」という和食器も揃える。社章や開店当時の復刻ロゴをデザインしたハンカチやエコバッグなどのオリジナルグッズも販売する。「UNIQLO TOKYO」とはコラボが実現。取り扱いはUNIQLO銀座店となるが、ロゴや歴代の包装紙など好きなデザインを選んでTシャツやトートバッグがつくれる。
銀座をつなぐコッペパン前にも待ちの行列ができていた
5月6日までは、地下1階の食品催事場に「個室会席 北大路 銀座本店」の「北大路特製カツサンド」が出店。初出店となるブルワリー「オルカ銀座醸造所」のクラフトビールと「グルマルシェヴァン」のシャンパーニュが楽しめるバーも登場する。21年、22年に好評だった「銀座コッペパンプロジェクト」が復活し、「銀座木村家」のコッペパンに「三笠会館」の唐揚げなど銀座の7つの名店の逸品を挟んだ「銀座をつなぐコッペパン」が販売される。事前予約制だが、普段は見られない店舗の裏側、秘密の名物スポットを巡る「温故知新ガイドツアー」や「銀座はちみつを学ぶツアー」、「銀座の屋上で紙漉き体験和紙アート作り」なども開催される。
「松屋150年史」の副編集長も務めた田代健さんがガイドとなり希少なスポットへ案内してくれる温故知新ツアーの様子
5月21日~9月30日まで屋上にオープンする「美しくなるビアガーデン」など、100周年特別バージョンのイベントも予定。京都府与謝野町の織物「丹後ちりめん」に着目した「銀座の地域共創~銀座の夏~」といった100周年限りの特別イベントも目白押しだ。
(北野智子)