大丸松坂屋百貨店、独自菓子の開発に本腰
大丸東京店に10月下旬、大丸松坂屋百貨店とグレープストーンが共同開発した新ブランドのショップがオープンする
大丸松坂屋百貨店は独自の菓子の開発に本腰を入れる。菓子の開発や販売を手掛けるモン・クレーヴと7月28日付でオリジナルの菓子を販売および運営する共同出資会社を設立するとともに、9月17日にはグレープストーンとの業務提携を発表。共同出資会社では10月下旬に1号店を開き、グレープストーンとは菓子のブランドを共同開発して10月上旬に大丸札幌店、同下旬に大丸東京店にショップを出す。大丸札幌店と大丸東京店のブランドは異なる。日本百貨店協会の調査によれば、百貨店各社の菓子の売上げは2、3、7月を除いて前年を上回るなど堅調だが(8月は未発表)、同業同士や他の商業施設との競合は激しい。大丸松坂屋は開発まで踏み込んで独自性を強め、収益性を高める。
モン・クレーヴと立ち上げた共同出資会社の名称は「ANNIVEL(アニヴェル)」。資本金および資本準備金は1億5000万円、出資比率は大丸松坂屋が80%、モン・クレーヴが20%で、大丸松坂屋の臼井満氏が代表取締役を務める。社名には「記念日は人生の節目であり、大切な人や自分自身に“想い”を届けるチャンス。愛と感謝を届ける特別な『記念日』をあなたと一緒に創りたいという想いを込めた」(大丸松坂屋)という。展開するショップは「PATISSERIE ANNIVEL」で、コンセプトは「人生の大切な節目や記念日に物語性を持つスイーツを通じてお客様の様々な『想い』を届ける特別な体験を提供します」。
グレープストーンとの業務提携について、大丸松坂屋は「グレープストーンは、これまで培ってきた商品開発のノウハウを生かし、お客様に愛される新たな価値を創造し、社会に貢献する『価値創造企業』を目指して独自の市場を切り拓いてきた。当社は全国主要都市に事業基盤を有することと好立地ゆえの高い集客力を維持してきた。両社の強みを生かし、今までになかった強固なブランドを開発していく」とした。
まずは10月上旬に大丸札幌店、同下旬に大丸東京店に、それぞれ別の新ブランドのショップをオープンする。「体験価値の創出に向け、地域と共生する個性的なコンテンツを両社で創り上げる。両社のオウンドメディアも活用しながら、新ブランドの情報を発信していく」(大丸松坂屋)。北海道、東京都に続く新たなブランドも検討中だ。国内客だけでなく、訪日外国人の需要にも照準を合わせていく。
大丸松坂屋を含めたJ.フロント リテイリンググループは中期経営計画の2年目に当たる2025年度(25年3月~26年2月)、「自社コンテンツの保有・開発」を掲げており、新規事業の開発を積極化している。