2025年05月23日

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<ストレポ5月号掲載>店舗別/品目別 全国百貨店2024年暦年売上高ランキング

売上 

コロナ禍前の19年を3.6%上回った

本誌調査による全国百貨店の2024年(令和6年)の暦年(1~12月)売上高の店舗別並びに品目別ランキングがまとまった。前年に続き高付加価値商材と過去最高を更新したインバウンド(免税売上高)がけん引し、ランキング上位の大都市基幹店が軒並み高伸長を遂げた。24年はインバウンドの急回復を追い風に再建策が結実しており、各社各様のあるべき姿の実現に向け「再成長」フェーズに移行するターニングポイントに入っている。


※この記事は、月刊ストアーズレポート2025年5月号掲載の特集「店舗別/品目別 全国百貨店2024年暦年売上高ランキング」(全33ページ)の一部を抜粋・編集して紹介します。購読される方は、こちらからご注文ください。(その他5月号の内容はこちらからご確認いただけます)


20年の1兆5342億円減 4年かけて「完全回復」

全国百貨店の2024年(令和6年)暦年(1~12月)売上高(日本百貨店協会調査、70社178店)は、5兆7722億円となり、既存店ベース(店舗数調整後)の前年比は6.8%増だった。4年連続のプラスで、コロナ禍前の19年比では3.6%増となり、未曾有の大幅減から「復活」を果たした。前年に続き高付加価値商材と、過去最高を更新したインバウンド(免税売上高)がけん引。ただ、けん引与件の恩恵が少ない地方都市の百貨店が伸び悩み、都市間の復活格差が露呈された。

24年の売上高はコロナ禍前の19年(5兆7547億円)より175億円の増額になる。コロナで未曾有の落ち込みを強いられた20年(4兆2204億円)と比べると4年間で1兆5518億円を取り戻し、その減少額(20年1兆5342億円減)を上回った。

インバウンドの売上高は毎月、過去最高を更新し、24年暦年では前年比85.9%増の6487億円を記録した。過去最高だった23年(204.8%増、3484億円)を大幅に更新し、売上高構成比は11.2%まで上昇した。購買客数は74.3%増の603.7万人となり、同じく過去最高を大幅に更新した。ちなみにコロナ禍前の19年比(3461億円)比では約1.9倍まで増えている。

一方のインバウンドを除く国内顧客の売上高は前年比1.4%増の5兆1234億円。19年比では2.0%減の水準だ。国内顧客の伸び悩みが、地方都市の回復遅れの一因でもある。

【ランキング動向】1000億円超え17店舗に 地方・郊外の伸び率鈍化

本誌が調査した全国百貨店24年暦年売上高の店舗別ランキングでは、大都市圏の上位店舗が軒並み前年比2桁伸長を遂げ、中には2割超の店舗もある。2桁伸長組は、ラグジュアリーブランドや高級時計、宝飾、美術などの高付加価値商材の品揃えが厚く、インバウンド需要(免税売上高)が大きい店舗だ。対照的にこれらの売上げ規模が小さい地方都市や郊外立地の店舗は、コロナ禍の「反動増」も落ち着き、伸長率が鈍化している。

売上高50位までの店舗で2桁伸長は17店舗を数える。23年の23店舗には及ばなかったものの、引き続き上位店舗は好調だ。20位までに限ると13店舗が2桁伸長で前年と同数になる。上位は言うまでもなく大都市圏で、百貨店各社の基幹店が占める。1000億円を超える店舗が前年の14店舗から17店舗まで増えた。

トップテンでは6店舗が2桁伸長で、多くが前年から継続。その結果、1位の伊勢丹新宿本店は4000億円を、2位の阪急本店は3000億円を突破した。髙島屋大阪店、ジェイアール名古屋髙島屋も前年に続く2桁伸長で、前者は5位から3位に、後者は6位から5位にランクアップした。大丸大阪店(心斎橋店と梅田店合算)は9位から6位に、髙島屋日本橋店は8位から7位にランクアップした。

11位から20位も2桁伸長が多く、7店舗を数える。ここでは前年の15位から13位に上がった三越銀座店と、16位から15位に上がった髙島屋京都店、17位の東武百貨店池袋本店が新たに1000億円台の仲間入りを果たした。20位までは高付加価値商材の品揃えが厚く、インバウンド需要で賑わっている店舗が大勢を占める。2割近い伸長率だった大丸札幌店もそうで、結果、前年の23位から「トップ20」入りを果たした。

21位から30位になると2桁伸長は3店舗になり、前年より5店舗減った。2桁伸長の大丸京都店(23年24位)、博多阪急(同27位)、博多大丸(同30位)はそれぞれ順位を上げている。京都と福岡は訪日外国人観光客の買物需要が多いエリアだ。2桁伸長店は前年より減ったとはいえ、増収店舗は8店舗を数え、前年より1店舗減っただけで、「コロナ禍からの復活」、あるいは「コロナ禍前超過」を遂げている。

31位から50位では2桁伸長は大規模改装した神戸阪急のみだが、7割の店舗が前年に続きプラス実績を遂げている。この順位になると地方都市や郊外立地の店舗が多く、減収組が前年より増えている。

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