2025年09月24日

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全社増収、国内市場が上昇気流に

大手百貨店4社の8月売上高は、大丸松坂屋百貨店が7.0%増、阪急阪神百貨店が5.1%増、高島屋が1.1%増、三越伊勢丹が0.3%増と全社増収だった。免税売上げの前年比は社により上下したが、国内顧客は全体的に8月の後半も高い気温が続いたことから盛夏商品が稼働。堅調に推移した。

高島屋(国内百貨店子会社含む)の売上高前年比は1.1%増で、店頭に限ると5.1%増だった。免税売上高は9.8%減、免税を除いた店頭売上高は7.8%増となった。国内顧客は新規催事による入店客数の増加もあり、食品、夏物衣料・雑貨などが堅調に推移し、前年を上回った。インバウンド顧客は、化粧品、婦人服、スポーツ用品などは前年を上回ったが、ラグジュアリーブランドをはじめとする高額品がマイナスとなった影響が大きく、前年を下回った。

店舗別では12店舗のうち、大宮(13.7%増)、大阪(8.6%増)、日本橋(8.0%増)、横浜(6.2%増)、岡山(5.9%増)、玉川(5.7%増)、京都(4.7%増)、柏(2.7%増)、泉北(1.0%増)の9店舗が増収だった。主要5品目は、雑貨(8.2%増)、食品(7.8%増)、衣料品(4.8%増)、家庭用品(1.6%増)、身の回り品(1.2%増)と全てプラスとなった。

三越伊勢丹(国内グループ百貨店含む)の売上高前年比は0.3%増で、6カ月振りにプラスとなった。伊勢丹新宿本店でのお得意様招待会「丹青会」(25年は9月5~7日、2024年は8月30日~9月1日開催)の会期ずれによる影響を除いた実態の前年比(前年開催日前までの比較)は、伊勢丹新宿本店が6.0%増、三越伊勢丹計が6.5%増、国内百貨店計が4.9%増だった。

売上高の中核となっている識別顧客の売上げが堅調に推移した。人とデジタルでつながった顧客への提案が進化し、引き続き強い支持を受けている。相対的にシェアは高くないものの、海外顧客売上高についても順調に回復している。「Disney THE MARKET 2025 in 日本橋三越本店」や「SHINJUKU ART WEEK ブルーロック×伊勢丹」など、関心度の強いコミュニティに対する提案が支持され、来店客が増加。識別化を推進している。

店舗別では岩田屋(9.9%増)、静岡(9.2%増)、日本橋(8.5%増)、銀座(8.2%増)、高松(5.0%増)、浦和(4.8%増)、新潟(3.0%増)、仙台(2.8%増)、立川(1.8%増)が前年を上回った。主要5品目は、家庭用品(6.8%増)、身の回り品(4.0%増)、雑貨(1.7%増)、食品(1.6%増)がプラスとなり、衣料品(4.9%減)がマイナスだった。

大丸松坂屋百貨店(関係百貨店を除く)の売上高は前年比8.7%増、関係百貨店を含めた百貨店事業合計でも7.0%増で6カ月振りにプラスとなった。免税売上高は6.5%増、客数25.0%増、客単価14.7%減となった。国内売上高(免税売上の本年・前年実績を除く)は6.6%増だった。店舗別では梅田(27.6%増)、心斎橋(11.0%増)、神戸(8.4%増)、静岡(7.2%増)、名古屋(6.6%増)、東京(6.3%増)、高槻(5.5%増)、高知(4.3%増)、芦屋(1.0%増)がプラスだった。

主要5品目は、身の回り品(58.0%増)、家庭用品(8.5%増)、食品(7.6%増)、衣料品(6.4%増)、雑貨(3.4%増)と全てプラスだった。品目別では婦人服・洋品(7.3%増)は、8月後半も高い気温が続いたことにより、ブラウスなどの盛夏商材がよく動いた。名古屋店の婦人服フロアの改装効果が持続したこともあり、前年比プラスとなった。紳士服・洋品(2.8%増)は、特価商品が好調に推移。身の回り品は、アクセサリーやハンドバッグが伸長したほか、婦人洋品、婦人靴なども堅調に推移し、全体でも大幅な売上増となった。雑貨は、訪日外国人客数の増加により化粧品(17.9%増)が大きく伸長した。食品は夏休みの旅行客増加などにより、惣菜が売上げをけん引し、全体でも前年比プラスとなった。

阪急阪神百貨店の売上高前年比は、15店舗のうち12店舗がプラスとなり、全店計で5.1%増、6カ月振りにプラスとなった。阪急本店は3.1%増、阪神梅田本店は18.3%増。支店は都筑阪急(0.2%減)、阪神・にしのみや(0.6%減)、阪神御影(9.5%減)以外がプラスだった。

主要5品目は身の回り品(1.4%減)を除き、衣料品(8.4%増)、雑貨(7.8%増)、家庭用品(6.2%増)、食品(2.4%増)のいずれもプラスだった。