2025年03月28日

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湯島天満宮、梅園再生のクラファンが成功 松坂屋上野店も協力

今回工事を行った庭園と、湯島天満宮の禰宜(ねぎ)の押見友仁さん

湯島天満宮が取り組む、梅の木を植え替えて梅園を庭園化する「梅園再生プロジェクト」が完成した。梅の木の咲く花の量が減少していたため、昨年にクラウドファンディングで支援を募集。近隣に構える松坂屋上野店やパルコもプロジェクトに携わりサポートした。目標の2倍以上の金額が集まり、工事も無事完了。春に向けて梅の花が咲き始めている。

湯島天満宮は「学問の神様」として有名な菅原道真を祀った神社で、梅の名所として知られる。毎年春には「文京梅まつり」を開催している。しかし梅の木の多くは戦後に植えられたもので、樹齢が50年を超えて咲く花の量が減少していた。2007年に「梅園再生プロジェクト」第1期として梅園の一部を整備し、庭園化したが、今回は第2期として残りの部分を庭園化した。

松坂屋上野店と長年に亘り交流があったことから、クラウドファンディングは同グループのパルコが運営するクラウドファンディングサービス「ブースター」で行った。支援募集期間は24年2月1日~4月20日で、ページに載せる文章の作成やスケジュール管理、返礼品の用意などをパルコがサポート。松坂屋上野店は返礼品のアイデア提供や一部商品の手配、プロジェクトの情報発信などを行った。

今回庭園化した梅園。足元には春に咲く花「フクジュソウ」が植えられている

支援は順調に集まり、最終的には目標金額の500万円を大きく上回る1257万円を達成した。梅まつり実行委員会の小能大介委員長は「クラウドファンディングということで全国各地からご支援があり、中には『若い頃、受験合格の祈願で行ったので』というメッセージもあった」と話す。

その後、昨年5月から工事に着手。以前にも庭園化を手掛けた「安諸庭園」が行った。庭園は奥行きを出すために中央に山をつくり、右左で違う風景が見えるように演出。端には石垣を設け、滞在する人がベンチ代りにできるようにした。一部の梅の木を植え替え、土壌も入れ替えている。

セレモニーではテープカットも行われた

12日には、完成を記念した「新生梅園開園セレモニー」を開催。小能氏、押見氏、文京区の成澤廣修区長、文京区観光協会の長岡勤会長、湯島天満宮祭禮連合会の石井秀男会長、湯島公道会の馬場敏実会長、松坂屋上野店の渡辺智邦店長が登壇した。湯島天満宮の禰宜(ねぎ)の押見友仁氏は「皆様からのご支援を大変ありがたく思う。皆様に愛される梅園として、しっかりと守っていきたい」と述べた。

渡辺店長は「私は朝の開店時にお客様のお出迎えをしているが、ある日、お客様から『湯島のクラウドファンディングに協力してくれてありがとう。ようやく文京区の百貨店になってくれたわね』とお声掛けいただいた。地元の方に認めていただけて、非常に感激した」とエピソードを披露。J.フロント リテイリングは「地域共生」を重点戦略の1つに掲げているが、その好事例になったと語った。

(都築いづみ)