2024年12月14日

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前月よりマイナス幅拡大も、国内の高額品需要は堅調

大手百貨店4社の11月売上高は、免税売上高の継続的大幅減に加え、新型コロナウイルス感染症の第3波によって入店客数が落ち込み、前月よりもマイナスが広がった。前月が13カ月ぶりに増収(2.6%増)だった髙島屋(国内百貨店子会社含む)が11.6%減、三越伊勢丹(国内百貨店計)が12.8%減、阪急阪神百貨店が13.7%減、大丸松坂屋百貨店(関係百貨店含む)が20.6%減と、いずれも2桁減を強いられた。厳しい中でもラグジュアリーブランドのハンドバッグ、時計、宝飾品などの高額品は引き続き堅調で、品目では美術・宝飾・貴金属が総じてプラスだった。

インバウンド需要を除くと髙島屋の店頭売上高は、7.7%減(既存店6.0%減)。免税売上高は90.4%減だった。消費増税の影響がなかった18年との対比では店頭売上高が16.3%減(既存店14.8%減)で、免税売上高を除くと11.0%減(同9.2%減)となる。店舗別では、玉川、立川、高崎が前月に続き増収を遂げた。対照的に免税売上高のマイナスの影響が大きい大阪、京都、新宿のマイナス幅が目立つ。クロスメディア事業は食品の高伸長によって前月(23.8%増)に続き16.8%増と好調だった。法人事業も前月程(25.5%増)の伸長率ではなかったものの、1.3%増だった。商品別では雑貨の中で美術・宝飾・貴金属が12.9%増、その他雑貨も12.6%増の2桁伸長。ただ化粧品が31.1%減だったため、雑貨合計では12.7%減だった。

前月に1.3%減まで復調していた三越伊勢丹は、新型コロナ感染症の第3波で入店客数が大幅に減少した首都圏(5店舗計13.3%減)と北海道エリア(札幌丸井三越29.1%減、函館丸井今井20.5%減)の減収幅が足かせとなった。国内グループ百貨店(地方都市)は比較的健闘しており、高松は増収(1.7%増)を遂げ、広島は前年実績を堅持。岩田屋は6%減に収めた。商品別ではラグジュアリーブランドのハンドバッグ、宝飾品、時計などの高額品が引き続き堅調で、中でも伊勢丹新宿や三越日本橋で顕著だった。加えて、クリスマスケーキやおせちの予約販売が好調。さらにオンライン売上高は特に歳暮やファッションアイテムがけん引し、約1.4倍になった。この結果、伊勢丹新宿の食品は6.5%増となり、三越日本橋の身のまわり品(1.5%減)と食品(2.3%減)は小幅なマイナスに収まった。

阪急阪神百貨店は、前月に1.3%減まで回復していた阪急本店が13.8%減となり、これに伴い全店がほぼ同水準まで落ち込んだ。全店の入店客数は26.7%減となり、前月(21.7%減)よりもマイナス幅が広がった。ただ支店は比較的健闘しており、合計売上高は9.6%減。高槻、宝塚、西宮、大井、あまがさき、御影など食品が健闘した。さらにインバウンドを除く国内売上高は8%減に収まり、阪急本店も4%減になる。免税売上高は90%減と激減基調が続いている。

大丸松坂屋百貨店(関係百貨店除く)は20.1%減だが、95.9%減だった免税売上高を除いた国内顧客では11.9%減まで減収幅が小幅になる。店舗別では、免税売上高が少なく、ターミナル立地ではなく固定客が多い神戸が1.1%減と健闘した。品目別では、雑貨のうち美術・宝飾・貴金属が絵画や時計がけん引して12%増となり、前月(44.6%増)程ではないものの、二桁伸長を継続した。同じく家庭用品のうち家電も前月(6.4%増)に続き好調だった。