2025年05月01日

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不安定な天候の影響を受け、全社マイナス

大手百貨店4社の3月売上高は、阪急阪神百貨店が3.6%減、大丸松坂屋百貨店が2.0%減、高島屋が1.9%減、三越伊勢丹が1.6%減と全社減収だった。全国的に天候が不安定で気温が乱高下し、春物の動きが鈍かった。好調を維持してきたラグジュアリーブランドが、前年実績を下回ったことも要因となった。

高島屋(国内百貨店子会社含む)の売上高前年比は1.9%減で、店頭に限ると2.5%減だった。免税売上高は11.5%減、免税を除いた店頭売上高は1.2%減を示した。店舗別では12店舗のうち、日本橋(4.5%増)、大宮(4.2%増)、岡山(1.8%増)、玉川(1.3%増)、新宿(1.2%増)の5店舗が増収だった。

主要5品目は身の回り品(8.4%減)、雑貨(2.4%減)、食料品(0.1%減)を除いた、家庭用品(8.6%増)と衣料品(0.2%増)がプラスとなった。品目別では、家電(14.0%増)、子供服・洋品(4.5%増)が好調だった。紳士服・洋品(0.5%減)、婦人服・洋品(0.5%増)は、中旬以降の気温の上昇に伴い春物に動きがみられた。法人事業(15.3%増)は受注が堅調に推移し、前年実績を超えた。クロスメディア事業(9.1%減)は、通販カタログの計画的な部数やページ数削減の影響で、前年実績を下回ったが、衣料品などのファッションが堅調に推移し想定を上回った。

三越伊勢丹(国内グループ百貨店含む)の売上高前年比は1.6%減で、27カ月ぶりにマイナスに転じた。三越伊勢丹計は0.5%減で、旗艦店は銀座が4.1%増、新宿が0.1%減、日本橋が2.7%減だった。24年度累計(24年4月~24年3月)は、三越伊勢丹計が10.0%増、国内百貨店計が7.1%増となった。

主要5品目は家庭用品(10.9%増)と雑貨(0.8%増)を除いた3品目がマイナスだった。雑貨の化粧品(3.2%増)、美術・宝飾・貴金属(1%減)、装身具などは引き続き堅調に推移した。衣料品(3.8%減)は、首都圏の店舗によって用途が異なるものの、ラグジュアリーブランドやデザイナーズブランドのジャケットやスカートなどを中心に春物が動いた。食料品(0.6%減)は微減。免税売上げは化粧品や装身具への関心が高く、国内百貨店の全体傾向と同様に高付加価値商材の衣料品も堅調だった。

大丸松坂屋百貨店(関係百貨店含む)の総額売上高は前年比2.0%減で、27カ月ぶりのマイナスとなった。関係百貨店を除いた店計は1.5%減、入店客数は0.0%。免税売上高は4.0%減、客数29.1%増、客単価25.6%減、免税を除いた店頭売上高は0.7%減となった。店舗別では15店舗のうち6店舗がプラスで、梅田(6.7%増)、神戸(2.6%増)、上野(1.5%増)、静岡(1.2%増)、芦屋(1.0%増)、札幌(0.7%増)が伸長した。

主要5品目は衣料品(4.5%減)、食料品(0.1%減)を除いた3品目がプラスだった。雑貨(0.4%増)は、訪日外国人客数の増加に伴い、化粧品(8.1%増)が高い伸びを示した。身の回り品(5.1%増)はインバウンド需要の高いアクセサリーが好調を維持したほか、スニーカーが伸長した。衣料品は、気温の寒暖差で春物の動きが鈍化した。婦人服・洋品(4.1%減)は、好調を維持していたラグジュアリーブランドが前年を下回ったことが全体に響いた。紳士服・洋品(5.2%減)は、ポロシャツやTシャツに動きがみられたものの、スーツなどの不調によりマイナスとなった。食料品は、天候不順による入店客数の伸び悩みや、食品値上げによる生鮮(1.0%減)や惣菜(0.7%減)の苦戦によって前年を下回った。

阪急阪神百貨店の売上高前年比は3.6%減と32カ月ぶりにマイナスに転換した。阪急本店は3.6%増、阪神梅田本店は7.9%減、支店計は2.3%減だった。支店のうち阪神・にしのみや(19.0%増)、高槻阪急スクエア(5.7%増)、宝塚阪急(4.2%増)、あまがさき阪神(3.1%増)、阪神・御影(3.0%増)の伸び率が高かった。

主要5品目では、身の回り品(15.4%減)、家庭用品(9.7%減)、衣料品(1.6%減)、食料品(0.1%減)の4品目がマイナスとなった。雑貨(3.7%増)はプラスだった。品目別では、子供服・洋品(9.0%増)は好調を維持した。