2026年06月19日

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長い夏、二季化が進行中、百貨店各社の梅雨・猛暑対策にも変化の波(前編)

ほとんどの傘が晴雨兼用だという京王百貨店の婦人傘コーナー

日本の夏が年々長くなっている。三重大学の調査によると、1982年から2023年までの42年間で、夏の期間が平均で約21日延びたという。売上げが天候に大きく左右される百貨店では、これまでとは異なる気候の変化に合わせた梅雨・猛暑対策の施策に取り組んでいる。気象庁は今年、最高気温が40度以上になった日を正式な予報用語として「酷暑日」と定義し、7日には東京地区の梅雨入りが気象庁より発表されたところだ。各社の対応策はいかがなものか、アンケート取材した。

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近鉄、自転車向けポンチョや帽子を拡充
近鉄百貨店あべのハルカス本店では、26年4月の改正道路交通法を受け、自転車運転時に安全で快適なサイクルポンチョや遮光遮熱帽子の訴求を強化している。林泰史婦人洋品部係長は「日常的に自転車を利用する30〜50代の新規客の獲得を期待している」と語る。

レインコートは今年228万円、前年9万円、レイン雑貨は今年204万円、前年10万円と売上げが高伸しており、レインコートやレインハット、レインバッグなども拡大展開していく。また、天候に左右されない売上げの確保として、晴天時でも使いやすい洗練されたデザインで、急な雨の日にも対応できる「オールウェザーアイテム」を提案していく。

猛暑対策グッズは、「サマーシールドSP」などの遮熱性能が向上したアイテムをはじめ、遮光遮熱機能帽子、フェイスシールドやネックシールド付きといった帽子のバリエーションを増やした。

「雨の日限定ウキウキサービス&プレゼント」の内容

来店促進策としては、17~30日に「雨の日限定ウキウキサービス&プレゼント」を実施。買い上げでノベルテイや化粧品サンプルのプレゼント、雨の日限定の特価品の販売などを予定している。7~8月には、夏におすすめのドリンクとのタイアップイベントや食品売場でのアイス特集を初開催、9階催会場で冷菓イベントなどを計画している。

「今年は五輪や万博など夏の大きなイベントもなく、涼を求めて百貨店を利用する客の増加を想定している」(林氏)。初開催のイベントを実施し、新客獲得と売上げにつなげたい考えだ。

阪神梅田本店、「傘まつり」を軸に

阪神梅田本店は、梅雨・酷暑対策ニーズの高まりを受け、数年に亘り開催している「傘まつり」を22日まで8階催事場で開催している。25ブランド、約1万2000本の傘を揃え、前回よりもジェンダーレスなデザインや遮熱に特化した傘を拡充した。

ワークショップではSDGs生地(再裁断生地)を使う

期間中はイベントを用意した。好みの生地色を選び、47cmの晴雨兼用傘を製作するワークショップや、20日の14時からは傘ソムリエの土屋博勇喜氏による「運命の傘の選び方」のトークショーを開催する。シーズン・ギフト雑貨売場 バイヤーの小谷桃子氏は「ユーザー層の幅を増やしたラインアップで、新規客の獲得」を目標としている。

傘の魅力を広く伝える世界唯一の「傘ソムリエ」土屋博勇喜氏が来店

晴雨兼用傘の購入は、事前リサーチされることが多く、今年から「5問で簡単に自分に合う傘がわかる診断サービス」を導入した。催事場はもちろん、オンラインでも体験が可能で、潜在的な新規客の売場への誘導を狙う。

京王、梅雨より猛暑対策を重視

京王百貨店の担当者は、「5・6月は梅雨対策というより、猛暑対策を強化している」と語る。昨年は寒暖の変動が大きく、夏商材の立ち上がりが遅く、梅雨も短く少雨で、6月から猛烈な暑さが到来した。「今年はGW前後から気温が30度以上になる真夏日が観測され、当店では晴雨兼用傘が早くも動いた」(同)。

紳士用の晴雨兼用傘のコーナー。今年は多種多様なサイズを展開

昨年から紳士用傘の需要が高まっており、今年は売場展開数を2倍にした。昨年はコンパクトサイズが好調だったが、もう少し大きいサイズを希望する声が多く、バリエーションを増やしたという。婦人用は昨年買いそびれた客や、昨年購入し快適性を認識した客が別のデザインやサイズ、軽量化など機能面を踏まえて2本目を購入する需要を見込んでいる。

カジュアル化が進む靴も、デザイン性を重視した晴雨兼用のスニーカーが売れ筋だという。物価高の影響もあり、汎用性の高いアイテムの需要がより高まっている。

人気のコンパクトな雨傘。使用後の収納のしやすさに対応した商品が登場した

猛暑の影響は寝具にも表れ、「昨年はこれまでと異なる動きがあった」(担当者)という。あまりにも猛暑が続くと、クーラーを稼働させ続け、結果体が冷えてしまうことから、長袖や7分袖のパジャマが好調だった。「麻などの天然素材を使った通気性の良い商材が好まれ、今年も同様の傾向にあるとみて寝具展開を計画している」(同)。夏本番を迎えるまでは、クール素材を用いた商材に動きがある。そのため「テンピュール」からは、クール素材を使った枕とマットレスが登場した。

インナーの需要も変化しているという。ビジネススタイルのカジュアル化が進む紳士用品では、グンゼなどの肌着メーカーがジャケットのインナーとしてのTシャツを強化しており、「シャツの動きが鈍い」のが最近の傾向のようだ。

6階の調理用品売場では、レトロなかき氷機やイタリアンブランドのボトルなどで涼を楽しむ提案をしている

梅雨・猛暑対策のアイテムは百貨店でなくても購入できるが「当店には、より高い機能性、品質のアイテムを求めて来店する方が多い」と担当者は述べる。夏が長くなれば使用頻度が高くなるため、機能性や品質面の高さで競合との差を生み出し、商機をつかむ考えだ。

(北野智子)