大丸松坂屋百貨店のJV、スイーツブランド1号店の詳細を発表
大丸東京店に29日にオープンする「パティスリー アニヴェル」 のイメージ
大丸松坂屋百貨店が菓子の開発や販売を手掛けるモン・クレーヴと7月28日付で設立した共同出資会社、ANNIVEL(アニヴェル)は9日、大丸東京店に29日に開く新しいスイーツブランドの1号店の詳細を発表した。ウォルト・ディズニー・ジャパンとライセンス契約を結び、ディズニーの作品にインスピレーションを受けた生菓子や焼菓子、紅茶などを販売する。
ブランドの名称は「PATISSERIE ANNIVEL(パティスリー アニヴェル)」で、1号店は大丸東京店の1階「ほっぺタウン」に構える。報道陣らを招いて9日に行った発表会で、ANNIVELの臼井満社長は「誕生日や記念日など特別な日に、『おめでとう』や『ありがとう』の気持ちを乗せられる商品を展開していく。特に、ディズニーの物語の場面ごとの想いをスイーツで表現する。キーワードは『大切な人と一緒に』『頑張っている自分へ』、メインターゲットは20~40代の大人の女性。中でも『ディズニーファン』『スイーツラバー』『ギフトギバー』に照準を合わせる」とコンセプトやビジョンなどを説明した。
同じく小阪博司取締役は「(ショップは)6mの幅で、背面の白い部分は大理石。大理石部分に描かれたミッキーマウスやミニーマウスはアイアン製だ。ブランドカラーはボルドーで、ロゴはANNIVELとアニバーサリーのAを模した。メインビジュアルは幸せな瞬間をミッキーマウスとミニーマウスで表現し、ショッパーにも使用する。商品には①ただのケーキでなく、ディズニーの物語の1つの場面を商品に託す②クリスマスやバレンタインなども含めて、記念日や季節に合う商品を揃える③有名なパティシエがレシピを作成した上質な味わいと高い技術――という3つの魅力がある」と補足した。
千原茉子店長は取り扱う商品を解説するとともに、「心を込めた接客はもちろん、(ただの販売員でなく)『アニバーサリーコンシェルジュ』として、ワクワクした気分を自宅まで持って帰ってもらえるようにしたい」と強調した。
商品は主に「アニバーサリーケーキ」「パルフェ」「焼菓子」「紅茶」で構成する。アニバーサリーケーキは「眠れる森の美女」「アナと雪の女王」「白雪姫」「アラジン」をイメージした4種類。眠れる森の美女をイメージした「Rose du Sommeil」(7020円)は、バラのデコレーションで眠るオーロラ姫を包む茨を、目覚めの瞬間をバラとラベンダーの香りで演出した。パルフェは「チップ&デール」「おしゃれキャット」「ふしぎの国のアリス」をイメージした3種類。ふしぎの国のアリスをイメージした「Temps Merveilleux」(1296円)は、白と黒の層にカシスやグレープフルーツを重ね、好奇心を表現した。
ディズニーの作品、「眠れる森の美女」をイメージしたケーキ
焼菓子は3種類で、発酵バターが香る生地にフルーツを重ねた特別なガレット「Galette au Annivel」(1944円~7776円)、「バンビ」をテーマにした、本型の缶にフロランタンを詰め合わせた「Story Collection」(2592円)、ミッキーマウスとミニーマウスのホリデーをイメージしたピスタチオのコクとクランベリーの甘酸っぱさが重なる味わいのクッキー「Holiday Magic」(1080円)からなる。
発酵バターが香る生地にフルーツを重ねた特別なガレット。パッケージも目を惹く
紅茶は2種類で、ふしぎの国のアリスの風変わりなお茶会をイメージした「MAD TEA PARTY BLEND」(2376円)、眠れる森の美女をイメージした「SWEET DREAMS BLEND」(同)を揃える。
発表会の最後に挨拶した大丸松坂屋百貨店の宗森耕二社長は「大丸東京店でスイーツの責任者を15年くらい務め、幾つもブランドを立ち上げたが、今日ほど『早く皆様に伝えたい』と思ったことはない。社内でも明かしていなかった」と喜びをあらわにした。
さらに「J.フロント リテイリングは『価値共創リテーラー』を目指している。価値共創リテーラーは、まだお客様が知り得ない新しい価値を提供し、お客様と共感する。(ANNIVELに限らず)社員が『こういうことをしたい』と思って動き、共感する取引先と形にして、お客様に気付いてもらう――そういう形で(価値共創を)進めていきたい。そのために、リスクを負ってコンテンツを保有する。1番の意義としては、社員の『こうしたい』を自分事化できる。それが(社員にも企業にも)財産になる。これからも進化していく」と力を込めた。パティスリー アニヴェルとしての1号店だけでなく、JFRの価値共創を具現化した第1弾でもある。
2号店以降の計画は未定だが、「ブランドのコンセプトを実現できれば」(臼井社長)JFRグループ以外への出店も視野に入れる。大丸松坂屋はグレープストーンとも菓子のブランドを共同開発しており、8日には大丸札幌店にキャラメルミルクスイーツ専門店「BLUE POND(ブルーポンド)」をオープンした。29日には、大丸東京店にモンブラン専門店「モンブランTHE珀山」が登場する。まずは洋菓子を起点に、JFRの価値共創が本格化してきた。
(野間智朗)