2025年08月11日

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銀座アスター創業100周年プロモーション始動 第1弾で「名菜おせち料理」を発表

100周年記念「名菜おせち料理」発表会で挨拶をする代表取締役社長池田郁氏

銀座アスターは今年12月に開始する100周年プロモーションの第1弾として、7月16日、どこよりも早くおせち料理を発表した。「100周年記念名菜おせち料理」と銘打ち、これまで20台限定だったが50台に増やした「万寿」に加え、二段重の「寿」と吉切鮫の姿煮込み付き二段重の「千寿」を新発売する。定番の二段重「福」は価格据え置きで販売する。各レストラン店頭、インターネットともに予約開始は9月1日から、百貨店では各店舗の販売時期に準じる。

同社は1926年にオープンしたアメリカ式中華料理の1種を提供するアメリカン・チャプスイ・ハウス・レストラン「銀座アスター」からはじまり、現在は日本の食材や季節感を生かした高級中華料理店として名を馳せる。首都圏を中心にレストラン32店とデリカショップ12店を展開する。

おせち料理は1965年、創業者の矢谷彦七氏が日中文化の融合を目指して商品化した。中国の食文化には、冷菜を除き冷めた料理を食べる習慣がなかったが、冷めてもおいしく食べられるよう試行錯誤を繰り返し、重箱に詰めるという日本人の発想が生かされた。中国各地の名菜に認定された名物料理を盛り込んだことから「名菜おせち料理」と名付けられた。

三段重に34品が詰まった「万寿」

記念おせちは4種類ある。90周年記念で発売された「万寿」は、これまで20台限定で本店のみでつくられていたが、今回は50台販売する。毛鹿鮫の姿煮(フカヒレ)に干しアワビの紹興酒煮、国産のからすみ、タラバガニ、明石の真鯛など、極上素材を使った最高峰のおせち料理となる。送料込みで16万2000円。

「寿」に「吉切鮫の尾びれの姿煮込み」を加えた全27品の「千寿」

新商品の「寿」と「千寿」は、フレンチのフォアグラのパテから着想を得た、同店の名物料理の「鶏レバーの寄せもの」を初めてお節料理に盛り込んだ。「千寿」には吉切鮫の姿煮込み(フカヒレ)が付いて送料込みで7万7000円、「寿」は5万4000円で、各250台を用意する。

開発プロジェクトの担当者は、「『万寿』は、支持されている料理はより素材にこだわり、一部内容を見直し、名菜おせちの最高峰として販売する。『寿』は、『万寿』の要素を取り入れ、新たにオリジナルの料理を加え、より多くの方に正月に味わっていただきたいという願いを込めて開発した。中華のおせち料理らしく、炒め物、焼き物、揚げ物がバランスよく盛り込まれており、初めておせち料理として商品化したレストランの人気商品も詰め込んだ」と商品への思いを語る。

身に弾力があり「蟹の王様」と称されるたらば蟹を贅沢に使用

「万寿」「千寿」「寿」に盛り込まれた新商品の「黒毛和牛の蜜漬け香り焼き」は、特別なタレに1日漬け込み焼き上げ、仕上げに直火であぶり香りをつけている。「たらば蟹の金沙揚げ」は、身の太い部分だけを衣で揚げ、広東料理でよく使われる香辛料を混ぜ合わせたものを振りかけた料理。万寿には最も大きな身を使用。「くるみの北京風蜜煮」は、レストランでも人気でテイクアウト商品にもなっている。活け鮑を3時間ほど柔らかくなるまで煮込んだ「殻付き活け鮑の紹興酒煮」も楽しめる。

円安傾向にあり、物価も上昇する昨今、二段重の「福」は送料込みで3万4560円と価格を据え置く。「伊勢海老の甘酢煮」や「殻付き鮑の紹興酒煮」、「あおりいかのXO醤炒め」など、同店の人気料理20品を詰め合わせている。

銀座本店のエントランスゲート。100周年を記念したロゴにモチーフとして採用している

プロジェクトは24年6月に始動した。レストランの人気商品を加えたい思いはあったものの、おせち料理の特性にそぐわないなど、様々なアイデアが話し合われ精査された。「中国名菜の数々を日本の風土や時節に沿うよう解釈し、提案、提供し続けてきた。おせち料理は日本の文化と季節の恵み、幸せへの願いが込められた特別な料理。弊社は中華おせちのパイオニアとして長きにわたり、日本文化に華を添えてきたという自負がある」との代表取締役社長池田郁氏の言葉は力強い。

営業推進グループ調理部門シニアグループマネージャーの坪谷孝之氏は「できる限り国産食材を使うこともテーマの1つに掲げた。日本料理の技も生かし、つくり上げている。早いものは10月から仕込みをする料理もある」と話す。年末は店を閉じおせちに専念するレストランもあるという。

八寸のように盛り付けて楽しんでもいい

「本来中国料理は熱い料理を熱いうちに味わうものであり、冷めてもおいしく食べられる料理を念頭に構成した。前菜、メインと、食べ方ひとつで自宅にいながらフルコースのように楽しんでもらえるラインナップにもなっている」と担当者は魅力を語る。中国語では鮑と宝は「bao」という同じピン音表記であり、「おめでたい席には欠かせない一品」(同)。末広がりのフカヒレも併せれば、より幸先よい年始が迎えられそうだ。

(北野智子)