2024年05月24日

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三陽商会、7期ぶりに営業黒字へ転換

リアル店舗を中心に売上げが回復している

三陽商会が14日発表した2022年3月~23年2月期の連結決算は、営業損益が22億円で、7期ぶりに営業黒字へ転換した。売上高は582億円、当期純利益は21億円だった。外出機会の増加やインバウンドの回復によって売上高が堅調に推移した。インベントリーコントロールの強化、プロパー販売比率の向上などによる粗利率の改善も寄与した。

同社は昨年10月と12月に通期業績予想を上方修正したが、12月の修正計画に比べても売上高が7.7%増、売上総利益が3.7%増、営業利益が3.3%増、経常利益が4.3%増、当期純利益が6.0%増と、いずれも上回った。販管費は0.3%増と微増だが、これは売上高の増加に伴う販売手数料増の影響が大きい。

三陽商会は21年2月期~22年2月期の2年間、基礎収益力の回復とそのための事業構造改革を行う「再生プラン」の下、粗利益率の改善、販管費の削減、在庫の適正化などに取り組んできた。

23年度3月期も引き続き粗利率の改善に取り組み、インベントリーコントロール強化、プロパー販売強化、繰越品在庫の削減、値引き率の抑制などを実施。年間粗利率は前期比2.5ポイント増の62.0%となった。

昨年4月に発表した当初計画の62.0%を達成したものの、繰越品在庫の削減を強化したことで、修正計画の62.2%は未達となった。ただし繰越品在庫は前期比で10億円削減した。プロパー比率も改善し、前期度の61%から4ポイント上昇した65%となった。

これらの施策の効果に加え、人流の復活やインバウンドの回復でリアル店舗を中心に売上げが上がったことが、営業黒字化につながった。大江伸治社長は決算発表会で「マジックはなく、着実に実行してきた結果だと受け止めている」と語った。

今期はコロナ沈静化による市場回復、インバウンド売上げの拡大、ディフュージョン展開の強化などによって、前期比2%増の売上高595億円を目指す。営業利益は同7%増の24億円、当期純利益は2%増の22億円を目標とする。

ブランド戦略では、「ブラックレーベル・クレストブリッジ」、「ブルーレーベル・クレストブリッジ」、「マッキントッシュ ロンドン」など7ブランドを「7つの基幹ブランド」、「サンヨーコート」、「エス エッセンシャルズ」などを「チャレンジ領域」と、ブランドを2つのカテゴリーに分類した。

7つの基幹ブランドは23年2月期に全て黒字化を達成し、収益力を持つ安定したブランドだ。いずれも年間売上高70~90億で推移しているが、ブランド価値のさらなる向上などにより、早期に100億円を目指す。チャレンジ領域は、今中計中に収支均衡を確保し、次の中計では収益に貢献し、会社の成長をけん引する事業へと育成する方針。

チャネル別方針としては、百貨店は店舗効率向上による売上げ拡大と、採算性の改善を行う。今期で新規に13店舗のオープン、50店舗の改装を予定。ここ数年で不採算店の整理を実施したが、構造改革を通じて効率が進んだため、再出店も視野に入れる。人員体制の見直しやブランド複合展開なども行う。

ECは、今年9月にプラットフォームの刷新を計画。自社ECサイト「サンヨーアイストア」とブランドサイト、アウトレットサイトを統合し、「サンヨーオンラインストア」へとリニューアルする。アプリも新たにローンチし、店頭とECサイトと連動したOMO体験を提供していく。

粗利率の改善も継続し、調達原価率の抑制やインベントコントロールの強化、プロパー販売比率の改善を推進する。販管費は、抑制する方針を堅持するものの、店舗、システム、人材への投資といった、攻めの投資も要所で行っていく。

(都築いづみ)