2021年09月28日

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※画像はイメージです

未だコロナ禍とはいえ、百貨店にとって21年度はアフターコロナの消費環境並びに価値観の変化を見据え、業績回復と再成長戦略に舵を切っていくステージだ。各々の百貨店がコロナショックを次世代百貨店への進化を促す「追い風」に転換していかなければならない。既に全国の百貨店では昨年来、対象顧客の生活スタイルの「新常態(ニューノーマル)」に適応していくために、顧客並びに従業員の感染予防と安全・安心に配慮したうえで、デジタルを駆使した新たなオンライン接客やサービスの提供、クリック&コレクトや宅配サービスなど、新しい売り方や接客販売、買い物環境の整備に積極的に取り組んでいる。

※この記事は、月刊ストアーズレポート2021年3月号に掲載する特集「新常態への売り方革新・改善」(全23ページ)の一部を紹介します。購読される方は、こちらからご注文ください。(その他3月号の内容はこちらからご確認いただけます)

昨年の臨時休業明け直後は、様々な創意工夫を講じながらの試行錯誤の段階だったが、昨年夏以降はアフターコロナを視野に新しい生活様式への価値提供が続々と具現化され、各々の新たな取り組みの精度が高まり、利用顧客も増えている。いわば「点」から「線」、「線」から「面」へと広がりつつある。本誌は、新常態への新たな取り組みとして昨年8月号12月号で都内百貨店を中心に好事例を特集してきた。今号では第3弾として大阪の主要百貨店と首都圏郊外百貨店の新常態対応へのチャレンジとその進化の現状を取りあげる。

■阪急うめだ本店 「Remo Order」と「WEBカタログ」

いつでもどこでもつながり続ける 独自のOMOモデル構築の両軸

阪急阪神百貨店は、コロナ禍を契機に、独自のデジタル戦略を加速させている。店頭とオンラインの融合によって、「いつでも、どこでも顧客とつながり続ける」ための「OMO(オンライン・マージズ・ウィズ・オフライン)ビジネスモデル」だ。この独自モデルの構築をけん引していく基幹店が、言うまでもなく阪急うめだ本店である。店頭で扱っている商品(未EC化商品含む)をホームページ上で紹介する「WEBカタログ」と、EC化されていない店頭商品を自宅や外出先からスマートフォンなどで購入できる新しいWEB決済サービス「Remo Order(リモオーダー)」が、昨年から新たに取り組んでいるデジタル戦略の両軸だ。リモオーダーの利用客は月を追うごとに増えており、昨年4月よりジュエリーギャラリーとウォッチギャラリーから開始したWEBカタログは同店のファッションカテゴリー全てを網羅するまでに広がっている。

■阪神梅田本店 「阪神オンライン 大ワイン祭」

会場は試飲と情報発信に特化 新たなエンタメ体験価値を創出

今秋、第Ⅱ期棟が完成しグランドオープンを控えている阪神梅田本店は、阪急阪神百貨店にとってリアル店舗とオンラインを融合した新たなビジネスモデル「OMOモデル」を象徴する店舗だ。コロナ禍以前から進めてきたが、オンライン活用による様々な取り組みを加速させている。その中で象徴する取り組みが、昨年10月21日から27日まで開催した「阪神オンライン 大ワイン祭」である。リアル会場である8階催場にはレジを置かず、購入は阪神オンラインショッピングに限定(販売期間10月14日~11月1日)。会場は入れ替え制で味を確かめる試飲のみに特化して、オンラインイベントによる新しいエンターテインメントの体験価値の提案に挑んだ。

■近鉄百貨店 EC事業への取り組み

新コンテンツを矢継ぎ早に導入 コロナ禍で質・量共に一気に拡充

近鉄百貨店では、コロナ禍のオンラインショッピング需要の高まりを追い風に、中期経営計画に基づき取り組んできた国内外のEC事業の拡大策に拍車をかけている。昨年は近鉄百貨店ネットショップ内に2月下旬に開設した「デイリー&ストック暮らしの必需品」をはじめ、北海道、九州、四国四県の「ウェブ物産展」(7月から順次)、本格的な味を自宅で楽しめる「近鉄のプレミアム冷凍食品」(12月中旬)など、矢継ぎ早に特集ページを開設してきた。加えて12月には、あべのハルカス近鉄本店に宅配サービス「PickGo(ピックゴー) 買い物」、年末食材をネットショップで購入して店頭で受け取るサービスも取り入れ、さらに電話で注文・決済ができる宅配サービスを化粧品売場に先行導入し、今年2月3日から本格的に開始した。ネットショップの品揃えとサービスの拡充による新しい生活様式への対応強化に余念がない。

■京急百貨店 オンラインショッピング

誕生祭や福袋、法人外商とも連携 リアルとのシームレス化 着々と

コロナ禍でオンラインショッピングの売上高が急増している百貨店が多いが、京急百貨店もそうだ。「京急百貨店オンラインショッピング」の20年度(21年3月期)売上高は前年の約1.5倍で推移しており、訪問件数では約3倍にも達している。中元・歳暮ギフト、クリスマスケーキ、おせちといった定番品だけでなく、これら以外の商材の利用客も急増している。昨秋以降、開店記念月の10月に実施した「感謝袋」の抽選販売をはじめ、福袋企画、法人外商部との連携、人気催事のオンライン配信など、オンラインを活用した新たな売り方に挑戦してきた。これらに伴う新規訪問者数の増加もオンラインショッピングの売上げ増に大いに貢献しており、リアル店舗の課題だった新規顧客開拓にも寄与している。その存在価値が一段と高まってきている。

■そごう大宮店 「新しい生活様式」と「大宮キレイ24」

暮らし方提案とデジタル駆使で 地域生活者とのつながり深める

そごう大宮店は、コロナ禍の顧客心理と生活様式の変化に対応していくため、「安心・安全」、「ステイホーム」、「新しい接客とデジタルの活用」をキーワードに各々つの戦略を推進してきた。新しい生活様式の提案、おいしいヘルシーをテーマにした安全・健康・おいしさの提案、地域と連携した活動によるイベント、エコ活動などに取り組んできている。その中で昨年5月から各階を対象にコロナ禍で注目されている生活必需品を中心に集積して展開している「新しい生活様式の提案」と、同9月から開始した同店独自のビューティー情報サイト「大宮キレイ24」は、重点戦略に基づき具現化した同店ならではの新しいモノ・コト提案と言えよう。

■東武百貨店船橋店 「テレフォンオーダー」と「ふなばしマルシェ」

地域・沿線顧客のマイストアへ より便利で魅力を発信する場に

東武百貨店船橋店が、コロナ禍で新たに取り組んだ注目すべき売り方が、昨年8月に半年ぶりに再開した物産展で導入した電話注文による宅配サービス「テレフォンオーダー」、地元の農産物や食品などを一堂に集積した「ふなばしマルシェ」と「倉庫バーゲン」を同時開催した販売催事、外商顧客を対象にレストラン街の店舗を貸し切って開催した「逸品会」である。テレフォンオーダーは物産展だけでなく、福袋、家電販売、化粧品売場などに導入して対象カテゴリーを広げている。「倉庫バーゲン&ふなばしマルシェ」は昨年7月の開催後、11月まで毎月1回週末の定期開催に至った。そして昨年10月に実施した「逸品会」は今年1月も開催し、いずれも予算を達成した結果、来年度も半期に2回の開催が予定されている。新しい売り方が常態化してきた格好だ。

■髙島屋柏店 「エキ近ピックアップサービス」

駅近立地の「資産」を有効活用 夕食の食卓を彩る百貨店の使命

今年1月7日の緊急事態宣言再発令に伴い、髙島屋柏店が1月21日から同宣言の解除まで期間限定で開始した新サービスが、閉店後に「デパ地下」の弁当や惣菜を受け取ることができる「エキ近ピックアップサービス」だ。午後3時までにオンライン(ホームページ)で予約すると、当日の閉店時間後の19時30分から21時の間に、柏駅のコンコース側出入口の特設カウンターで受け取れる。飲食店が20時までに営業時間の短縮を余儀なくされたため夕食の選択肢が激減し、このソリューションニーズに応えた新サービス。2月4日からバレンタインのチョコレートの受け取りもできるようにした。同店は昨年春の臨時休業中にドライブスルーサービスを開始しており、コロナ禍の消費環境の変化に応じた新サービスに相次いでチャレンジしている。

■伊勢丹立川店 ポップアップイベント

新宿店の常設ブランドを限定で 新・郊外店スタイルを具現化

伊勢丹立川店がコロナ禍で昨年8月に初めて取り組んだ期間限定のポップアップイベントが好評だ。一般的なポップアップショップとは一線を画す。伊勢丹新宿店の常設ブランドを活用したイベントで、昨年8月に3日間限定でラグジュアリーブランドを展開し、加えて外商顧客を中心に新宿店のサロンとつないだリモート販売を実施した。既存顧客の満足度を高め、新規顧客とのタッチポイントにもなった。次いで8月とは異なる常設ブランドで12月に開催し、ここでは高松三越とつないだリモート接客を行った。今年は1月に開催し、3月も予定しており、定期開催イベントへと進化しつつある。

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