2026年02月10日

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大丸松坂屋のファッションサブスク、コレド日本橋に初のリアル店舗

大丸松坂屋百貨店は6日、ファッションサブスクリプション「AnotherADdress(アナザーアドレス)」の初のリアル店舗を、コレド日本橋3階に開いた。約190㎡の店内を「クローゼット」「ラウンジ」「フィッティングルーム」に分け、資格を有するプロのスタイリストが常駐。約50ブランド、800アイテムから客のニーズを踏まえて提案する。客足を呼び込むため、ほぼ毎日予約制のイベントを行う。6月15日までの期間限定で、3000人の会員獲得を目指す。

名称は「AnotherADdress TOKYO(アナザーアドレス トーキョー)」。試着した洋服をそのままレンタルして持ち帰れるという新しいファッション体験を提供する。サブスクと同様、月に1着、3着、5着をレンタルできるプランが選べる。ラウンジではカラー診断や骨格診断、顔タイプ診断などのイベント、女性コミュニティ団体や近隣企業とのコラボレーション企画を催し、平日は3人、休日は5人のファッション系資格を保持するプロのスタイリストが、好みやライフスタイルなどに合わせたコーディネートを提案する。

洋服の端切れでつくられたデスクが置かれているラウンジ。各種イベントはここで開催する

ラウンジの奥にはクローゼットのような空間が広がり、洋服、バッグ、アクセサリーなど約50ブランド、800アイテムが並ぶ。百貨店ならではの国内外のハイブランドを揃え、レディスとメンズを展開する。奥にはフィッティングルームを備えており、試着も可能だ。

「新しいファッション体験をつくり、環境に良いビジネスモデルを生み出し、誰もがファッションを楽しめることをテーマに事業を展開してきた」と事業責任者の田端竜也氏は語る。

3日の発表会で説明する田端竜也氏

モノが増やせない空間の制約、多忙なためクリーニングや買い物に行けない時間の制約、給料が上がらず洋服が買えないお金の制約、トレンドの取捨選択といった情報の制約など、あらゆる制約からの解放も目指しており、「ファッションのエンパワーメントにも取り組んできた」(田端氏)。

アナザーアドレスは「持続可能な循環型ビジネスモデル」を事業パーパスに掲げ、洋服を捨てないことをポリシーとし、アップサイクルやアート化も進めている。レンタル後に使えなくなった洋服をリメイクしたり、端切れを圧縮して床材や机に使ったり、100%使い切ることを推進している。

女性用フィッティングルーム。壁には洋服の端切れを使ったアートが展示されている

アナザーアドレスは約39万人の会員を抱えるまで成長しており、男性が15%、女性が85%を占める。年齢別では30~50代が90%を占め、平均年齢は42歳。エリア別では東京、名古屋、大阪で95%、そのうち70%が東京という。東京で最も多いのは港区、豊洲や晴海、月島にかけた湾岸エリアだ。そこに照準を合わせ、さらに東京駅周辺で働くビジネスパーソンへの訴求を主眼に、八重洲、京橋、大手町、丸の内、有楽町から好アクセスの日本橋に実店舗をオープンした。

こうした都内のターゲットを対象に実施した独自調査によると、アナザーアドレスの認知度は10%を下回る。実店舗は認知度アップのための戦略でもある。2025年度(25年3月~26年2月)の有料会員数は1万~1.5万人と、CVRの低さも課題だ。実店舗に先駆けてタワーマンションの共有部分にポップアップストアを設けたが、実際に洋服に触れてもらい、接客を受け、サービスに対する不満を改善すると、CVRが50%を超えた。休眠状態の会員に実店舗に足を運んでもらい、CVR の改善策として検証材料にしたい考えだ。

バッグも揃えている

実店舗を通じた会員獲得目標は3000人。イベントをほぼ毎日開催し、体験を通して入会を促進し、口コミなどの紹介で会員を増やしていく。

アクセサリーも選べる

情報発信にも力を入れ、ファッション系のメディアとのコラボも推進する。店頭のスタイリストはインフルエンサーでもあり、その発信力も見込む。その場で会員になった人の発信にも期待する。

実店舗は、事業のさらなる成長に向けた挑戦としても位置付ける。「有料会員が着用し、ラインナップされた洋服の良さを体感すれば、利用促進だけでなく購入にもつなげられ、百貨店事業とのシナジーも見込める」(田端氏)。百貨店事業との本格的な連携に向けた準備でもあり、「可能性を見出せたら、出店を拡大していける。それに対する試金石」(同)でもある。

(北野智子)