2024年10月12日

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田中 武展「包まれている」

~「十六羅漢図」から着想を得た「十六恥漢図」が遂に完成~

2010年から描いてきた十六恥漢図シリーズは、悟りとは対極にある煩悩や欲望をテーマに描いてきたが、今回の展覧会で残り4作品を発表し、全16作品が完成する(2019年までに12作品を発表済)。はっきりさせておきたいことは、僕は煩悩や欲望が憎いのではない。自分の中にも深く潜むそれらを、絵画というパッケージで包みこんで提示することで、その正体に迫りたかったのかもしれない。そしてその十六恥漢図シリーズを包括する作品として『ベッドは我々の全生涯を包む。というのは、我々はベッドで生まれ、生活し、そこで死ぬのだから』(500号)を発表する。作品タイトルはギ・ド・モーパッサン(1850- 1893)からの引用であるが、十六恥漢図シリーズと、今展覧会を包括する作品になる予定である。

田中 武

『キラキラ~十六恥漢図シリーズ』194×131㎝(120号)、麻紙、アクリル絵具、墨、2021年

田中 武氏プロフィール

1982年 福岡県出身・在住
2010年 九州産業大学 博士後期課程 芸術研究科 造形表現 専攻(日本画) 修了
2007年 九州産業大学 博士前期課程 芸術研究科 美術専攻(日本画) 修了
2005年 九州産業大学 芸術学部美術学科 日本画コース 卒業

≪個展≫

2019年 「主人公」小林画廊/東京
2017年 「NAN-PUK」高島屋(東京日本橋/新宿)
2015年 「浄/穢 ~Pure land, This impure world~」日本橋高島屋美術画廊Ⅹ
2014年 「夜咄」imura art gallery Kyoto
2013年 「夜咄はこれから」、imura art gallery Tokyo
2012年 「隠/暗」、日本橋高島屋美術画廊Ⅹ

≪グループ展≫

2020年「日本画を拓く作家たち」豊橋市美術博物館/愛知
2019年「VOCA 2019」上野の森美術館/東京
2018年「第7回東山魁夷記念 日経日本画大賞展」(第5回~第7回)上野の森美術館/東京
2017年「日本画山脈 再生と革新~逆襲の最前線」 新見美術館/岡山、唐津市近代図書館/佐賀、蘭島閣美術館/広島、八幡浜市民ギャラリー/愛媛
2016年「はなのなかへ ~寺田コレクション展~」東京オペラシティ アートギャラリー、「NIHON画 -新たな地平を求めて-」豊橋市美術博物館/愛知、「平成の日本画 ―時代を拓ひらく画家たち 」天心記念五浦美術館/茨城
2015年 「日本の近代美術と茨城の作家たち‐新収蔵品展-」茨城県近代美術館、「日本画のハードコア」Art complex center of Tokyo
2014年 「自然と生命への賛美」天心記念五浦美術館/茨城、「タカシマヤ幻想博物館」高島屋(東京日本橋/大阪/京都/名古屋/横浜/新宿)、「現代水墨画作家展 2014」国立新美術館/東京
2013年 「Benetton Collection Imago Mundi」、querini stampalia 財団館/イタリア
2011年 「第5回 トリエンナーレ豊橋 星野眞吾賞展」豊橋市美術博物館/愛知、「第30回 損保ジャパン美術財団 選抜奨励展」東郷青児美術館/東京
2009年 「第8回佐藤太清賞公募美術展」福知山市佐藤太清記念美術館/京都

PRIZE

2011年 「第5回 トリエンナーレ豊橋 星野眞吾賞展」 グランプリ受賞
2010年 「ART AWARD NEXT 2010」 審査員賞 & 青年会賞(W受賞)
2009年 「第8回佐藤太清賞公募美術展」 特選・福知山市長賞

COLLECTIONS

茨城県近代美術館、九州産業大学美術館、東京オペラシティ、豊橋市美術博物館、ベネトン財団

高島屋あいさつ文

このたび日本橋高島屋美術画廊Xでは田中武展「包まれている」を開催いたします。ひとはなぜ包むという行為をするのでしょうか?「包む。」すなわち保護する、保存する、或いは飾るという行為はある種独自に発展した日本独自の文化のひとつと言えるかもしれません。そしてその包まれる対象はいつの時代もたいせつなモノであり続けるという当たり前な事象に改めて気づかされると同時に、そのたいせつなモノが持つ絶対的な価値は包まれている状態でのみ成立し、開封と同時に消費・劣化していくとも言えます。

我々の多くは産まれてすぐにおくるみに包まれ、死ぬ時には死装束に包まれます。言い換えれば私たちの絶対的価値は産まれ落ちた瞬間と、鬼籍に入る一時のみに与えられ、その間は欲望と煩悩に溢れた社会に消費されることに抗い続けているに過ぎないのかもしれません。田中武は「僕は煩悩や欲望が憎いのではない。自分の中にも深く潜むそれらを、絵画というパッケージで包みこんで提示することで、その正体に迫りたかったのかもしれない。」と言います。田中武が2010年より描いてきた十六恥漢図シリーズは、今展にて発表の「mount、キラキラ、美、続」の4作を以って、全16作品が完成(2019年までに12作品を発表済)となります。泥臭くも生々しいまでに生きる人々の生と性に執着した女性たちは今展を以って一旦眠りにつきます。なぜなら『我々はベッドで生まれ、生活し、そこで死ぬのだから』

高島屋美術部

[お問い合わせ]日本橋高島屋03-3211-4111(代表)
[日本橋高島屋ホームページ]https://www.takashimaya.co.jp/nihombashi/