マザーハウス、20周年プロジェクトが始動 「途上国から世界へ」さらなる飛躍
アニバーサリープロジェクト発表会に登壇した山口絵理子代表取締役(左)と山崎大祐副社長(右)
創業20周年を迎えるマザーハウスは、アニバーサリープロジェクトを始動した。同社は「途上国から世界に通用するブランドをつくる」を理念として、バングラデシュ、ネパールなどアジア6カ国でものづくりを行っている。アニバーサリープロジェクトでは、大規模なポップアップ、現地の工場見学、ドキュメンタリー映画の公開、新商品の発売などを予定する。1月21日にはプロジェクトの発表会が行われ、山口絵理子代表取締役、山崎大祐副社長が20年間の想いと周年事業について語った。
「可能性に光を当てる」ブランドとして創業

商品の企画デザインは、山口氏が現地で職人と直接やりとりしながら決めている
マザーハウスは、バッグ、ジュエリー、アパレルなどの企画製造、販売を行うファッションブランド。当時アジア最貧国と言われていたバングラデシュで山口氏が、現地の麻素材「ジュート」を使ったバッグブランドとして2006年に立ち上げた。
創業当初から携わってきた山崎副社長は「途上国イコールかわいそう、貧しいではなく、途上国にも素晴らしい素材や手仕事の技術があり、何より頑張っている人達がいる。そういった可能性に光を当て、ものづくりを通して途上国のイメージを変えよう、というところから始まった」と話す。
その後はフィールドを広げ、現在はネパール、インドネシア、スリランカ、インド、ミャンマーを加えた計6カ国で、各国の素材や技術を生かした商品を製造している。委託ではなく直接雇用するのも特長で、スタッフの数は海外で約500人、日本で約500人ほどになっている。バングラデシュでは、病院や保育施設が併設されるコミュニティ型工場「グリーンファクトリー」の建設も進めている。
こうした理念や商品の魅力が評価され、直営店を国内に50、台湾に5、シンガポールに3店舗を構えるまでになった。ただし「まだスタートラインといったところ」(山崎副社長)で、さらに販路を広げる考え。昨年には新市場としてアメリカにECサイトを出店。想定以上の売上げを記録するなど、手応えを得ている。
ドキュメンタリー映画、ポップアップ、交流イベントなどを開催

商品について語る山口氏
アニバーサリープロジェクトの内容としては、まず3月7日に、来日した現地の職人が顧客と交流するイベントを実施する。4月には松屋銀座店で、マザーハウス最大規模のポップアップを2週間行う。6月には、自分達の視点から20年間を振り返るドキュメンタリー映画を公開。7月には、バングラデシュの工場を顧客が見学しにいくツアーを開催する。
9月には東京と大阪でサンクスイベントを開催し、生産国の職人達も参加する。そのほか商品面では、新シリーズの発売を予定している。「やはりプロダクトを通して途上国のことを伝えることが大切。2026年もプロダクトの挑戦をしていきたい」と山崎副社長は述べる。
山口氏は20年間を振り返り、「私は職人をとても尊敬していて、職人がいなければプロダクトは存在しない。そんな職人に火を付けるデザイナーでいたいという想いでこれまでやってきた。お互いフェアに、プライドを持って開発に取り組み、できたものを届ける。20年間はその繰り返しで、この熱量を変わらず続けていきたい」と話した。
昨今は国際情勢が悪化し、世界では分断や対立が目立つ。山口氏はこれまで多くの国へ足を運び信頼関係を築いてきた立場として、「短い時間では難しい。この前、バングラデシュで20年一緒に働いてきた職人に『(山口氏は)20年前は食事も取らず、体に痣をつくりながらやっていた。あの頃があるから、今がある』と言われた。その後もコロナ禍などを共に乗り越えてきた。20年という時間が説得力を生んだのかもしれない」と語った。
(都築いづみ)