2024年10月12日

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松屋銀座店、マスクの拡販に手応え

新型コロナウイルスの感染が拡大して以降、百貨店業界の各社は機能性やファッション性に優れたマスクの販売に注力するが、松屋銀座店は早くから婦人雑貨売場で品揃えの拡充やフェアの実施などに取り組み、成果を上げてきた。新年に向けては、マスクやマスクに付けるアクセサリーなどを詰めた福袋も販売。コロナ禍での新しい需要に照準を合わせ、商機を増やす。

【写真】松屋銀座店が婦人雑貨売場で11月4~17日に開いたマスクのフェア

松屋銀座店の婦人雑貨売場では以前からマスクを扱ってきたが、特に全館営業を再開した6月1日以降にブランドを充実化。当時は機能性を求める声が多く、「抗菌」や暑い季節用の「接触冷感」などを手厚く揃えた。しかし、感染者の数が一時的に落ち着いた8~9月頃には「年代を問わず、いわゆる『ファッションマスク』に需要がシフトした」(営業二部婦人一課婦人雑貨係の齊藤翼氏)ため、方針を転換。機能性に優れたマスクは、冬場に流行するインフルエンザを視野に残しつつ、ファッションマスクの比率を全体の9割ほどに上げた。

9月6日からは、フェアの形式でファッションマスクを打ち出した。近沢レース店が手掛ける、麻100%で涼しいマスクを筆頭に、総じて売れ行きは上々。当初は2週間の予定だった期間を、4週間に延長したほどだ。

11月4~17日には、再びフェアを開催。マスク、マスクに付けるアクセサリー、マスク用のケースなど20ブランド、200種類を用意した。ビジュアルマーチャンダイジングも重視し、マスクの柄をしっかりと見せるほか、マネキンを使ってマスクと帽子、ストール、衣服のコーディネートを提案。齊藤氏は「実は『帽子とマスクのコーディネートは周囲の目が気になる』という女性が多い。顔の大部分が覆われ、怪しげに見えなくもないからだが、百貨店が『おかしくないですよ』と示してあげれば、購買意欲が湧く」と狙いを明かす。

フェアの序盤はマスクとチャームで1日に約100点を売上げるなど賑わったが、途中で新型コロナウイルスの感染者が急激に増加。逆風を受けてトータルの売上げは目標の9割ほどにとどまったが、マスクではレースを使ったエレガントなデザインが人気で、「マスクチャーム」と呼ばれるマスクに付けるアクセサリーも関心を集めた。

紐の部分に付けるマスクチャームは、コロナ禍で誕生。不織布のマスクが広く使われる中、女性の「(マスクを身に付けた状態でも)オシャレを楽しみたい」という声を踏まえ、アクセサリーのメーカーが作り始めた。松屋銀座店は7月頃にアトリエレーヴから仕入れ、当初は2種類だったが、好評を博して5種類に増やした。価格は990円~1800円。9月にはブライダルアクセサリーマリコが展開するマスク用のピアスなども導入し、ラインナップの幅を広げた。価格は1300円~3500円。

マスク用のアクセサリーは「目的買いよりも衝動買いが多い。売場で見て『どうやって使うの?』といった質問から、興味を持って購入に至る」(齊藤氏)という。まだまだ知らない女性は多く、伸び代は大きい。

マスクに付けるアクセサリーは衝動買いが多い

フェアの終了後は、売れ行きが良かった約100種類を常設化。「世の中にはウール100%のマスクも出てきた。防寒用のマスクは狙い目かもしれない」(齊藤氏)と〝次の一手〟も検討しながら、さらなる拡販を狙う。

松屋銀座店はマスクの福袋も出す。「今年の悩み解消!マスク生活を快適に過ごすための福袋」と題し、7枚のマスク、マスク用のポーチ、マスクチャーム、イヤーカフ、マスク用の消臭・抗菌スプレーを詰め合わせた。価格は1万1000円(約2万円相当)で、限定30袋を12月26日から販売する。

売れ行きが好調なマスクチャームは、福袋にも入る

今や、マスクは生活必需品と位置付けられる。商機も多いだけに、百貨店業界の各社は販売方法を競い合う。