2024年12月14日

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アラ商事、新たに「ミラ・ショーン」と「ムーミン」を展開へ

アラ商事は数年来、スタイリング提案を強化してきたが、新たなブランドの導入にも踏み切った

アラ商事は2025年春夏商戦に向け、新たに「ミラ・ショーン」と「ムーミン」を展開する。共にライセンス契約を結んだ。ミラ・ショーンはラグジュアリーブランドとして国内外で知名度が高い上、近年は客層の“若返り”を進めており、ムーミンも国内外にファンやコレクターが多い。新客の獲得や既存顧客の新たな需要の開拓につながると判断した。

ミラ・ショーンとムーミンは、売り方を工夫する。ミラ・ショーンでは、ネクタイとネクタイピンをギフトボックスセットとして提案。贈答需要を引き出す。また、ブランドのアイコンと呼べるデザインや生地を表現した「アイコニック」、過去の資料をモダンに生まれ変わらせた「アーカイブ」、オーソドックスな「レギュラー」の3ラインからなり、個性を鮮明化した。

「ミラ・ショーン」は「アイコニック」「アーカイブ」「レギュラー」の3ラインで構成する

ムーミンは、オリジナルブランドの「アールダム」や「フォスカ」「アルファクリエーション」「テンポリベロ」とコラボレーション。それぞれのブランドで独自のデザインに落とし込み、魅力を際立たせた。

「ムーミン」は、アラ商事のオリジナルブランドと掛け合わせ、個性を明確化する

例えばアールダムでは、服地感覚を生かしたクラシックテイストのベーシックパターンと、ムーミンの原作「The Novels」に登場するキャラクター達の手描きによるレトロなデザインを掛け合わせた。逆にフォスカでは、現代風のポップなデザインを採用。アルファクリエーションでは、ストーリーを感じさせるデザインで人気のキャラクターを配し、アップサイクルの雑貨を取り扱うテンポリベロでは、ワンマイルバッグのポケットにコミカルなキャラクターを表現した。ブランドごとの違いは鮮明だ。

同社は両ブランドについて「ミラ・ショーンは若返りを図っており、ラグジュアリーブランドでもある。(消費が二極化する中で)“上”を求めるお客様の購入を狙える。ムーミンは親子三世代のファンがおり、コレクターもいる。世界的に認知されているブランドで、どの層にも“刺さる”。自家需要、贈答需要、インターネット通販の全てを取り込める」と期待を寄せる。

新規に2ブランドを投入する一方で、既存のブランドもブラッシュアップ。中核のアールダムは、軽さを追求して一般的なネクタイの約66%の重量に仕上げた「エアリータイ」や「ニットタイ」といった春夏に動きが良い商材、若年層などに売れ行きが好調な一点物の蝶ネクタイを充実させる。一点物の蝶ネクタイには、いわゆる「マス見本」を使っており、アップサイクルにもつながるため、支持が高まってきた。

「アールダム」は、軽さを追求して一般的なネクタイの約66%の重量に仕上げた「エアリータイ」を充実化

フォスカは、大剣と小剣の柄が異なる「チェンジタイ」を強化。人気でシーズンごとに新作を出しており、来春夏のテーマは「ガーデンライフ」だ。春夏商戦では定番の「桜」シリーズも積極的に訴求する。オリジナルブランドでは「エー・アール・エー」を、引き続き訪日外国人向けとして打ち出す。ネクタイだけでなく扇子も好調だ。

「フォスカ」は大剣と小剣のデザインが異なる「チェンジタイ」を強化した

「エー・アール・エー」は、引き続き訪日外国人向けとして訴求。ネクタイだけでなく扇子も好調だ

ライセンスブランドでは「ポール・スチュアート」や「ダックス」が順調に推移しており、前者は蝶ネクタイや扇子など、後者はギフトボックスでの提案などに注力する。

来春夏商戦について、同社は「今年12月~来年3月を、いかに戦うか。ミラ・ショーンとムーミンで新たな需要を引き出す。さらに、グループ会社のアルファテックスでは数年来、生地の開発が強みになってきた。生地の受注は販路の拡大につながる。ネクタイ以外の収益力も強化したい」と説明した。

(野間智朗)