2026年07月08日

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アラ商事、夏季の扇子やスカーフの拡販に本腰

生地を含めた技術力を伝える場として、展示会を活用している。実際、OEMの受注は増えてきた

アラ商事は今夏、新たな需要の取り込みに本腰を入れる。数年来の猛暑と長期化する残暑を踏まえ、従来の季節に応じた上着の切り替えにネクタイを合わせるコーディネート提案だけでは、ネクタイ売場の活性化は難しいと判断。売れ行きの良い扇子、小さいサイズのスカーフ「ティーニー」の拡販に注力し、新たなニーズを掘り起こす。同社にとってネクタイは屋台骨だが、それだけにとらわれない柔軟な戦い方で、夏季の売上げの減少に歯止めをかける。

日本では「クールビズ」が定着し、夏季にネクタイの売場を縮小する百貨店は少なくない。そのマイナスを補う有望株が扇子だ。昨年は数量を一昨年比で135%に増やしたが、プロパーでの消化率は8割を超えた。同社は「季節商材では珍しい。マフラーの消化率は6割でも高い。女性にハンディファンが普及し、扇子の品揃えが減ってきた。それも狙い目だ」と勝ち筋を見出す。今年は数量を昨年の1.5倍に増やすとともに、新たに「ピエール・カルダン」の扇子も加える。

ティーニーにも伸び代がある。東京都内の百貨店の紳士洋品売場で4月にトルソーに巻いて訴求すると、20枚以上が売れた。同社は「平置きでは目に留まらない。ビジュアルプレゼンテーションの効果だ。販売員が『他の男性と違う、ワンポイントファッションになる』と説明してくれたのも奏功した。ポロシャツやTシャツだけでジャケットと合わせるよりも“オシャレ感”を演出できるし、ウォッシャブルで便利性にも優れる。ティーニーは、まだまだ期待できる」と強調する。百貨店では売場が近い、シャツメーカーとのコーディネート提案も視野に入れる。

もちろん、ネクタイの拡販にも工夫を凝らす。百貨店各社と交渉を始めたのが、ネクタイを刺身のように並べる販売方法の見直しだ。同社は「(色柄で選ばれやすく、大量に陳列した方が見比べられて便利な)ボリュームゾーンは別だが、1万円台にはふさわしい見せ方、売り方があるのではないか。例えば専用の箱に入れた販売では、贈答需要を喚起するきっかけになった」と指摘する。

さらに「多彩な色を揃えられるのは、雑貨ではネクタイくらいだ。夏季でも印象付けられ、他のアイテムに波及効果を与えられる。百貨店各社には各階統一のテーマカラーを、もっと明確に打ち出してほしい。お客様の印象に残り、販売員との会話につながり、売上げにも結び付く」と熱望する。実際、自主編集売場の縮小も影響し、全館をテーマカラーで統一するプロモーションは珍しくなってきた。同社は「かつての百貨店のカラープロモーションは壮観で、ネクタイもよく売れた」と回顧する。

百貨店各社に販売方法の再考を促す以上、ネクタイのラインナップの魅力化も欠かせない。今秋冬に向けては、フォーマルニーズの高まりを受け、その受け皿を整えた。「白色や灰色を買う男性が多く、売上げは伸びており、消化率も高い。まだまだ伸ばせる。ブランドごとに色柄を増やし、近年流行のパーティースタイルにも対応する」(同社)。

伸び代のあるフォーマルニーズへの対応を強化する

ビジネスシーンでは、フランネルやモールスキン、ツイードといった温かみのある服地になじむネクタイを、オリジナルブランド「アールダム」で用意。「微起毛×微光沢」を掲げ、シルクの上質なクオリティを表現したネクタイを「クオリティーライン」として販売し、コーディネート提案にも役立てる。

オリジナルブランド「アールダム」のクオリティーライン

アラ商事は近年、群馬県桐生市に擁するグループ会社、アルファテックスの工場を生かし、OEMの獲得にも熱心だ。今秋冬の展示会でも、入口付近には生地のバリエーションを集積。極上の肌触りや柔らかさ、軽さが特長のアールダムの「シルクスフレ」、シルクとリネンを掛け合わせたデニム風のシルク、ツイード風のシルク、シアサッカーなどの生地を、それらを使ったアイテムと一緒にPR。技術力を示し、新たな商機を引き寄せる。

アラ商事の展示会は、回を重ねるごとに変化している。「百貨店各社と共に最善策を練り、ネックウエアの売上げを伸ばしたい」という気概であり、ネックウエアに限らない確かな技術力を証明するためでもある。猛暑や長引く残暑はネックウエアの大敵だが、攻めの姿勢でそれを跳ね除ける。

(野間智朗)