2024年12月15日

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野村不動産とJR東日本、芝浦プロジェクトの進捗を語る(上)

野村不動産ホールディングス代表取締役社長兼社長執行役員グループCEOの新井聡氏

国家戦略特区の認定を受けてスタートした芝浦プロジェクトは、2021年10月に着工した「S棟」が24年度竣工、そして「N棟」が27年度着工になり、30年度の竣工を予定する。同プロジェクトは、野村不動産が保有する浜松町ビルディングと、東日本旅客鉄道が保有する旧東海道貨物支線大汐線用地を合わせた約4万7000平米(区域面積)の敷地が対象。そこに高さ約230mのS棟とN棟からなる、延床面積約55万㎡に及ぶツインタワーを開発する。東京ベイエリアにおける国内最大級となるプロジェクトだ。S棟にはホテル、オフィス、商業施設など、N棟には住宅、オフィス、商業施設等が入り、完成まで10年に及ぶ大規模複合開発となる。

先頃開かれた「野村不動産 東日本旅客鉄道 芝浦プロジェクト」記者発表会では、新街区名称、ワークスタイル、24年度に竣工を控えるS棟での取り組みなど、芝浦プロジェクトの進捗状況が発表された。主催者挨拶に立ったのは野村不動産ホールディングス代表取締役社長兼社長執行役員グループCEOの新井聡氏と、東日本旅客鉄道執行役員マーケティング本部副本部長の竹島博行氏。野村不動産代表取締役社長の松尾大作氏は芝浦プロジェクトの詳細(〔下〕に掲載)を説明した。


3地区連携して周辺エリアの活性化図る

野村不動産ホールディングス 新井 聡社長のスピーチ

本日、記者発表会を開いた目的は3つございます。1つ目は本プロジェクトの進捗状況について、2つ目は開発するこのまち全体の名称、すなわち街区全体の名称を初めて発表すること、3つ目は来年のS棟竣工に向けて本プロジェクトに対する事業者としての意気込みを改めてお伝えすることです。

まずプロジェクトの進捗状況です。本プロジェクトは来年S棟を竣工させ、2030年度を目途にN棟を含むプロジェクト全体を竣工させるというロングランの事業です。これまで1棟目のS棟の工事ならびに周辺環境の整備を進めてきました。そしてS棟の工事はすべて順調に進んで、2カ月前の3月13日に建物の最上部となる地上230メートルに到達しており、来年の2月にはスケジュール通り竣工する予定です。

設計者の槇文彦先生がデザインされたこの建物は、周囲の風景を映し込むカーテンウォールを採用しています。海や空の色を映し表情を変えるように、この建物も施設や天候により表情を変化していく点にぜひ注目ください。

次に街区名称です。私どもはこのプロジェクトにふさわしい名称を決めるまでに長い時間をかけて様々な議論を行いました。結果として、多くの観点から見て素晴らしい名称ができたと自負しております。

最後は私どもの意気込みです。当社グループは2030年ビジョン「まだ見ぬ、Life & Time Developerへ」を実現しながら将来に向けてブレイクスルーしていきたいと考えています。加えて本プロジェクトで芝浦にとどまることなく、東京ポートシティ竹芝を開発された東急不動産様と、浜松町駅西口地区開発計画を推進されている世界貿易センタービルディング様とともに、3つの地区の連携によって浜松町駅周辺エリアの活性化を図って参ります。

そして芝浦プロジェクトの特徴である東京の水辺においてその可能性を切り開き、ベイエリアに大きな影響を与えることによって東京の発展に寄与するべく、事業パートナーである東日本旅客鉄道様と一丸となって取り組んで参ります。


JR浜松町駅の交通結節機能を高める

東日本旅客鉄道 執行役員 竹島 博行氏のスピーチ

東日本旅客鉄道執行役員マーケティング本部副本部長の竹島博行氏

芝浦プロジェクトを歴史からの観点で見てみると、現在の東京は概ね1970年代に形づけられたものです。例えば浜松町駅西側で進む、開発の起点となった世界貿易センタービルはまさに1970年に完成しており、それから50年が経過しました。今、東京、芝浦地区は都市機能を大きく更新する時期にあるのだろうと思います。

一方で今、世界の都市は国際都市間競争の時代に入っており、各都市が再開発を通じて魅力あるまちをつくり、国内のみならず世界から人や企業を呼び込もうとしている。そしてそういう人達のニーズに応えるためにラグジュアリーホテルなどを誘致している。そういう状況にあると思います。

芝浦プロジェクトだけでなく、芝浦、浜松町駅周辺で進められている様なプロジェクトに合わせてJR浜松町駅の交通結節点機能を高めるべく北口自由通路、南口自由通路などが26年度中には全面的完成を予定しています。そして今後浜松町駅周辺エリアは劇的かつ魅力的な街へと変貌を遂げていきます。

(塚井明彦)