2024年07月22日

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事業着工から40年、「みなとみらい21」の新ステージ始動【下】

テラス席から間近にある海を見渡せる(新港地区にある商業施設)

注)事業着工から40年、「みなとみらい21」の新ステージ始動【上】の続きです。

みなとみらい21は、商業施設の集積も高まってきた。みなとみらいへの出店は1985年、横浜駅東口地区への「そごう横浜店」(横浜新都市ビル)から始まった。横浜駅東口地区では「マルイシティ横浜」(スカイビル)も96年に開業。中央地区には「横浜ランドマークタワー/ランドマークプラザ」(開業は93年)、高層階にホテルが入る複合商業施設「クロスゲート」(同2000年)、「ヒューリックみなとみらい コレットマーレ」(同10年)、「MARK IS みなとみらい」(同13年)、本社機能にスーパーマーケットを併設した「オーケーみなとみらいビル」(同16年)、クイーンズスクエア横浜[アット!]とクイーンズイーストが統合したショッピングセンター「みなとみらい東急スクエア」(同17年、営業面積約2万5000㎡)などが名を連ねる。

ショッピングからグルメ、イベントなどまで楽しめる横浜赤レンガ倉庫

新港地区には「横浜ワールドポーターズ」(同99年)、文化・商業施設として再生した「横浜赤レンガ倉庫」(同02年)、「MARINE&WALK YOKOHAMA」(同16年)、商業施設・ホテル・客船ターミナルからなる「新港ふ頭客船ターミナル/横浜ハンマーヘッド」(同19年)がある。これらの商業施設以外にも横濱ゲートタワー、「資生堂グローバルイノベーションセンター」、「横浜三井ビルディング」、今春竣工する「横浜シンフォステージ」などのように、下層階に店舗を整備している複合ビルが少なくない。

みなとみらいを取り巻く周辺にも、数多くの商業施設が張り付いている。商業施設が大集積している横浜駅地区の西口側には「高島屋横浜店」(売場面積5万6688㎡)、昨年開業50周年を迎えた「ジョイナス」(店舗面積約3万5000㎡)、JR横浜駅直上のJR横浜タワーにある「NEWoMan横浜」(同約1万3000㎡)と「CIAL横浜」(同約3700㎡)、「横浜モアーズ」(同約1万7700㎡)、「ヨドバシ横浜」(同2万8396㎡)、「ビブレ横浜」(1万8253㎡)、「CeeU YOKOHAMA」(総賃貸面積約2万㎡)などが建つ。CeeU Yokohamaは19年2月に閉店したダイエー横浜西口店の跡地にイオンモールが開いた(23年12月グランドオープン)商業施設で、ダイエーが運営するイオンスタイルや大型家電のエディオン、スーパースポーツヴィクトリアなど24の専門店が入居。25年春には隣接して賃貸住宅が竣工を予定する。

鶴屋町地区にはJR横浜鶴屋町ビルに「CIAL横浜ANNEX」(店舗面積約1400㎡)がある。同地区には今春、横浜駅きた西口鶴屋地区第一種市街地再開発事業によって「THE YOKOHAMA FRONT」が竣工予定。地下2階~地上43階のTHE YOKOHAMA FRONTにはレジデンス、ホテル・アパートメントなどのほか、1~4階に商業施設が設けられる。

横浜駅東口側にはみなとみらいエリアに属するそごう横浜店(売場面積8万5836㎡)とマルイシティ横浜(店舗面積1万6510㎡)以外に、「ルミネ横浜店」(同1万7978㎡)、地下街の「横浜ポルタ」(同9260㎡)、「横浜ベイクォーター」(同1万6800㎡)などがある。

JR桜木町駅には「CIAL 桜木町」(同約4030㎡)と「CIAL 桜木町 ANNEX」が、北仲通り地区には横浜市役所新庁舎の下層階に商業施設「ラクシスフロント」、超高層複合ビルの横浜北仲ノットの下層階にある商業施設「KITANAKA BRICK & WHITE」(同5950㎡)が構える。

みなとみらい21地区にある商業施設のいくつかは、“みなとみらいらしさ”を強み・特徴としている。海を間近にしている新港地区によくみられ、目の前に海があるMARINE & WALK YOKOHAMA(建築面積1万2671㎡)は海に面したテラス席で食事を楽しめ、オープンモールは街中を歩いているような気分にさせる。客船ターミナル、商業施設、ホテルを複合した横浜ハンマーヘッドも特徴的で、商業施設(店舗面積約5000㎡)は食をテーマに、ジャパンラーメンフードホールやスイーツのファクトリーと体験の場を持つ店舗が集結。施設のすぐそばには大型客船が入港し、開放的な空間ハンマーヘッドパークもあり、海の魅力を満喫できる。

同じ新港地区の横浜赤レンガ倉庫(1号館延床面積6000㎡、2号館延床面積1万1300㎡)は観光名所ともなり、大型イベントなども開催され、抜群の集客力を誇る。横浜赤レンガ倉庫にはこれまでの20年間で1億1000万人(22年までの累計)が来場したという。

20年以降、みなとみらい21地区には新たな商業施設の開業こそないものの、新型コロナウイルス禍によって大きく生活環境が変化したのを踏まえたリニューアルがみられる。JR桜木町駅前にある複合施設、ヒューリックみなとみらい(延床面積約10万2319㎡)にある商業施設のコレットマーレは、開業以来となる大規模改装を実施。20年から段階的に改装を進め、23年2月に全館グランドオープンし、全97店舗のうち41店舗が新店、改装、新業態などで一新された。

22年に開業20周年を迎えた横浜レンガ倉庫も大規模改装を手掛けた。22年5月から1号館、2号館を休館して改装工事を進め、同年12月に新規出店25店舗を含む66店舗がリニューアルオープンした。

23年に開業30周年を迎えたランドマークプラザと、開業10周年のMARK IS みなとみらいは、連携して数々の周年イベントを展開。さらに両施設は大規模リニューアルにも踏み切った。

開業以来“心地いいSC”を貫いているMARK IS みなとみらいの館内

10周年を契機に、MARK IS みなとみらい(店舗面積約4万3000㎡)は開業以来最大規模のリニューアルを敢行。23年2月に始まった。食品フロアの一新をはじめ、全館に175店舗あるうち35店舗以上を刷新。今春の大型シネコンのオープンで、1年以上をかけた改装が完了する。MARK IS みなとみらいの菊田館長は「開業時から当SCは心地良い場所であることを目指してきたが、今回の改装でもそこにたどり着き、お客様が来館目的がなくても立ち寄りたくなる『なんか心地いいSC』へ進化させる。みなとみらいの開発が96%に達し、これまでの街づくり(開発)から街育て(運営)のフェーズに移行するのを踏まえ、当SCとしても『みなとみらいらしさ』を追求して街づくりにあたっていく」としている。

もう一方の横浜ランドマークタワーは「ひらける視界、心躍るみらい」を次の30年を見据えた未来コンセプトに掲げ、先駆的な取り組みを開始した。その第1弾として、ランドマークプラザ(同約2万9000㎡)の5階に様々なコンテンツや情報を発信する拠点となるコラボカフェ「Café Fan Base(カフェ ファンベース)」を開設。第2弾では同5階に「OTABISHO横浜能楽堂」(運営:横浜能楽堂)を今年4月にオープンする。横浜能楽堂のリニューアル工事による休館中の能・狂言の新興・普及に向けた役割を担う。

横浜みなとみらい21では、みなとみらい21地区着工40周年記念事業実行員会が40周年を記念した数々のイベントを展開した。その記念事業の1つとして「みなとみらいの未来を描く」をテーマにしたシンポジウムが開催。“みなとみらいの軌跡と未来”についてのテーマで基調講演した、横浜みなとみらい21代表理事の坂和伸賢氏は「企業の研究活動拠点から音楽機能、ミュージアムまで、重層的かつ高度な集積エリアとなったみなとみらいは、世界中を見ても他に類をみない街。防災や環境に配慮したインフラ、イノベーションを創造する力を持った企業群に代表されるように、みなとみらいには多くの強みがある。しかも横浜駅周辺、関内、馬車道、元町、中華街など周りに個性的な街があることも強みである」語った。

みなとみらい21事業が着工して40周年を迎えた23年から第4期(23年~)に入り、「感動と新たな価値を生み出す」時代が始動した。3期までで「建設の時代」がほぼ完了し、新しいステージの幕開けとなったのである。

40周年を迎えたみなとみらい21地区では、みなとみらいの未来に向けた4つのテーマからなる新たなビジョンが始動している。テーマ1の「Open Innovation」では研究開発拠点やスタートアップ企業、大学の集積を生かし、地域企業の交流による新しい技術の創出を応援する。これを実現するため、産学公民連携の推進組織「横浜未来機構」を横浜市と共に立ち上げ、街ぐるみでイノベーション創出に動き出している。

テーマ2の「Music Port YOKOHAMA」では多様な音楽施設の集積を契機として、「みなとみらいを音楽であふれる街に」がコンセプト。横浜みなとみらい21地区で選ばれた様々なジャンルのアーティストが、地区内の商業施設、ホテル、公共空間などで年間を通じてパフォーマンスを実施する。

テーマ3の「Art&Museum City」では美術館、博物館、技術館などのミュージアムが多い利点を生かし、“知にあふれる街”としてのブランディングを目指す。

テーマ4の「脱炭素」では、公民連携で挑戦する大都市脱炭素化モデルとして、30年までに民生部門の電力消費に伴う二酸化炭素(CO2)排出の実質ゼロ達成などを目指している。

すでに街区開発が96%に達しているみなとみらいとはいえ、まだ余地が残されている中央地区の横浜駅寄りで大型ビル建設が進行している。24年3月を目途に、53街区には延床面積約18万3000㎡の大規模複合施設「横浜シンフォステージ」が竣工予定だ。26年の竣工に向けて、オフィス、イノベーションスペース、ゲームアートミュージアム、店舗などからなる複合施設「(仮称)みなとみらい21中央地区52街区開発計画」、62街区にホテル&ホテルコンドミニアムを中核に、水族館、商業施設などを併設する複合施設「(仮称)HARBOR EDGE PROJICT」も計画されている。

(塚井明彦)

参考資料:「みなとみらい21 Information21(2023 Vol.94)」(企画・発行:横浜市都市整備局みなとみらい・東神奈川臨海部推進課/横浜市港湾局港湾管財課/一般社団法人横浜みなとみらい21)、「みなとみらい MEMORIAL BOOK 1983-2023」(発行:みなとみらい21地区着工40周年記念事業実行委員会)、「Minatomirai21 Guide Map」(企画・発行:一般社団法人 横浜みなとみらい21)

事業着工から40年、「みなとみらい21」の新ステージ始動【上】