2024年05月04日

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ムーンバット、高機能素材で傘の付加価値性を強化

様々な天候リスクに対応するため、傘に使用する素材の開発を活発化

ムーンバットは来春、新しい高機能素材で仕立てた傘を打ち出す。極端な気候状況にも対応する高い撥水性能と遮熱効果を備えた傘や、遮熱、紫外線ブロック機能に肌のトーンアップ効果にもつながる美容向けの傘も充実。近年、気候変動などの影響で増加する集中豪雨や猛暑日への対応策として、老若男女問わず 傘の需要は高まっている。アフターコロナで商況が回復すると同時に、物価高で生活防衛意識が高まる今、プラスアルファの価値を付けた商品で顧客拡大を目指す。

年々増える極端な気候にも対応できる機能性素材でつくったシリーズ

ゲリラ豪雨や線状降水帯による局地的な降雨に対応する「~HITOYANE-~」シリーズは、繊維専門商社の帝人フロンティアと協業で製作した。コンセプトは「激しい降雨や強い日差しからあなたを守る屋根に」とし、シリーズ名は「傘」の文字を構成する「人(ひとやね)」を採用した。

~HITOYANE-~シリーズに使用するのは、帝人フロンティアの開発素材「デルタWV」。同社独自のファイバーテキスタイル加工技術で、生地表面に付着した水滴が球状になりやすく、水切れが良いのが特徴だ。糸自体に凹凸がある「捲縮(けんしゅく)加工糸」で織り上げることで生地表面に微細な凹凸ができ、水滴と凹凸構造の間の空気層が優れた撥水性を実現し、少ない傾斜でも水が転がる仕組みだ。第3者検査機関で耐漏水性のテストを実施し、60分間当たり100mmの降雨量で20分後に「伝水なし、水滴0適」をクリアした商品を、HITOYANEシリーズの基準としている。

ムーンバットのライセンスブランドである「ポロラルフ ローレン」「ダックス」のそれぞれでメンズとレディースを用意し、来年4月に販売する。

「フワクールホワイトシリーズ」は、「ショート」「楽折」「ミニ」とサイズも豊富なラインナップ

シリーズ累計販売数50万本を突破した人気シリーズ「Fuwacool(フワクール)」も、美容カテゴリーでの訴求を強めている。フワクールは、帝人フロンティアと共同開発した生地を使用する機能性日傘。22年春に発売したフワクールの「ホワイトシリーズ」は、独自開発した多層ラミネート構造の生地「ホワイトラミネート」で、スペックを美容へとシフトさせ好評を得ている。傘の内側のホワイトラミネートが、レフ版と似た役割を果たし、肌をトーンアップさせて顔周りを明るく見せる。通常、紫外線をカットするには「傘の外側が白、内側が黒」が一般的とされるが「白には白のメリットがある」と担当者は話す。

見た目にも涼しく上品なデザイン。ファッション性も人気の要因だ

一般的な遮光生地と比較して遮熱効果が高く、熱をこもらせないのもポイント。帝人で、夏の12時頃を想定した人工太陽の熱量を一般的な遮光生地とホワイトラミネート生地に当ててサーモグラフィーで比べた結果、一般的な遮光生地の温度が40~60度だったのに対し、ホワイトラミネート生地はおおむね40度以下の結果が得られた。「黒は紫外線を吸収すると同時に、熱も吸収するため熱くなってしまう。当社商品のほとんどは遮熱効果があるが、自身で使用した中でもホワイトシリーズは涼しい」と、担当者は体感を語る。「傘の内側は涼しいので汗が気にならず、メイクも崩れにくい」という使用者からの声も販促に生かす。

来年4月中旬より新作を段階的に発売。小さなドット柄やアートペイント風の柄、タッチの異なる数種類の花柄など8型を用意する。夏には、美容関連雑誌「美st」とコラボレーションした2型の傘も登場する予定だ。

同社の2024年3月期第2四半期(23年4~9月)の連結業績は、売上高が前期比13.0%増、営業利益は同438.9%増と前年を大きく上回った。商業施設の集客増加に伴い、雨傘を含めたレイングッズが好調に動き、猛暑の影響でパラソルマーケットが活況を呈したこともプラス要因となった。担当者は「以前から提案はしていたが、この2年ほどの間に男性の日傘の使用も大分増えてきた」と、手応えを口にする。「ハードウェザー」とも称される天候を味方に、高機能傘で顧客への積極的なアプローチを続ける。

(中林桂子)