2024年07月23日

パスワード

購読会員記事

高島屋新宿店、若手社員の“好きなモノ”一堂に

初開催の「つづく つなぐ マーケット」。入口付近では、肖像彫刻家のはしもとみお氏が手掛けた木彫りの動物に触れたり、一緒に写真を撮ったりできる

高島屋新宿店の若手社員が立案から出店者との交渉、会場のデザイン、運営までを担当した初めての催事「つづく つなぐ マーケット」が24日に始まった。20~30代の7人の若手社員が、所属するカテゴリーに関係なく“好きなモノ”を集め、衣料品から雑貨、食品、アートまで約40社が11階の催会場に登場。いずれも百貨店では見慣れない企業だ。催会場の入口付近には肖像彫刻家のはしもとみお氏が手掛けた木彫りの動物を、同じく中央にはベンチを配置するなど、公園をイメージした空間も通常の百貨店催事とは一線を画す。20~30代の感性が生かされた“マーケット”は28日までだが、初日から大勢で賑わい、特に若年層の姿が目立った。

20~30代の若手社員、7人が企画した。前列右端が実質的にリーダー役を担った松﨑なつみ氏

つづく つなぐ マーケットは、主に「アート」、「フード」、「クッキー缶」、「雑貨」、「ファッション」からなる。クッキー缶は特集の形式で、「LA CASA DI Tetsuo Ota」、「アカシエ」、「KEITA MARUYAMA」など13のブランドを揃えた。それ以外はショップとして出ており、アートにははしもとみお、yuu、猪俣慎吾、東ちなつ、フードには「デ カルネロ カステ」、「KIKYOYA ORII」、「HONEY BEE CREPE Tokyo」など、雑貨には「mumea」、「雪しろ屋」、「tiinei」など、ファッションには「Orfeo」、「Ⅱ」、「TENEZ」が名を連ねた。ベンチが配された会場の中央は、購入した飲み物や食べ物を味わえるイートインスペースでもある。

会場の中央にはイートインスペースを配置。滞留時間を増やす狙いもある

つづく つなぐ マーケットは、昨年10月に立候補で組織された7人が手掛けた。バイヤーの経験を有する松﨑なつみ販売第3部こども服・玩具係長を除くと、立案や出店交渉、設営などの経験がない社員ばかりで、初めの一歩であるテーマの決定から難航。松﨑氏は「できるだけ口を出さずに見守っていたが、メンバーはその真面目さゆえにアイデアが『若手社員×若手クリエイター』など百貨店っぽく、あるいは高島屋っぽくなり、前提である『百貨店には歳時記や冠婚葬祭などの目的がないと行かない20~30代を引きこむ』という狙いと乖離(かいり)し、迷走した」と振り返る。

そこで、松﨑氏は「本当に好きなモノを集めよう。好きなモノを伝えて、それが琴線に触れた人が来てくれればいい」と促した。“先輩”の助言で方向性が固まり、ようやく出店交渉が本格化。所属するカテゴリーに関係なく、それぞれが好きなモノを集めるため、交渉のハードルは高いと予想されたが、こちらは良い意味で外れたという。

会場内で使う什器のデザイン性にもこだわり、「デザイナーに会場の雰囲気を話し、それに合うシンプルでかわいいデザインにしてもらった」(松﨑氏)専用の媒体も用意。1週間に1回の頻度で行ったミーティングが40を数える頃、つづく つなぐ マーケットは完成した。

初日は開店直後にクッキー缶を目掛けて客が殺到。HONEY BEE CREPE Tokyoには長蛇の列が生まれた。HONEY BEE CREPE Tokyoは今年5月で営業を終了し、来年1月に新店舗をオープンする予定で、クレープを食べられるのは“ここだけ”だからだ。テレビ番組で取り上げられた、KIKYOYA ORIIの「白いちじくとマスカルポーネの大福」は午後3時までに完売。入口に設けた、はしもとみお氏の木彫りの動物に触れたり、一緒に写真を撮ったりできる場所も、老若男女が入れ代わり立ち代わり楽しんだ。

開店直後に客足が殺到した「クッキー缶特集」。近くに見える行列は「HONEY BEE CREPE Tokyo」

20~30代の若手社員が貴重な経験を積め、狙い通りに同世代の客も大挙。文字通り、同店にとって“つづく つなぐ”催事となりそうだ。

(野間智朗)