2024年05月02日

パスワード

購読会員記事

三越伊勢丹HD、 フィリピンに初出店 11月18日に先行開業

フィリピンと日本を結ぶ懸け橋になることを目指した大型複合施設の誕生。11月の先行オープンが待たれる(イメージ図)

三越伊勢丹ホールディングスは11月18日、フィリピンの首都マニラに商業施設「MITSUKOSHI BGC」を先行オープンする。野村不動産、フィリピンの不動産大手「フェデラルランド」と3社で共同開発している大型複合開発プロジェクトによるもので、約1万5000㎡の敷地に建設する。建物は地下1階~地上3階が商業施設で、その上が4棟の住宅棟「ザ・シーズンレジデンス」(地上3階~最高棟地上54階、総戸数約1400戸)となる構造。商業施設の延床面積は約2万8000㎡で、テナントは約120店舗が入る。日系百貨店と日系デベロッパーの複合開発プロジェクトはフィリピンでは初で、三越伊勢丹グループの同国での商業施設開業も初めてとなる。グランドオープンは23年春ごろを予定する。

BGC(ボニフォシオ・グローバルシティ)は、経済成長地区として大きなマーケットポテンシャルを孕む

開発地のボニファシオ・グローバルシティ(BCG)は、フィリピン・マニラ中心部から南東11㎞に位置する。近年、経済成長が著しい新興開発地区で、商業施設やホテル、オフィスや学校、病院などが集積する。ニノイ・アキノ国際空港から約4㎞とアクセスも良く、ファミリー層や富裕層をはじめ各国企業の駐在員が多く居住する。2025年以降には、フィリピン初となる地下鉄「メトロ・マニラ・サブウェイ」の駅の開業が計画されており、さらなる来街者の増加と発展が期待されている。

日本の蔵をイメージしたフードコートでは、日本の味も楽しめる(イメージ図)

同施設は「NEXT MANILA LIFESTYLE」をコンセプトに、2国間で共創する“食や美”を通して上質で新しいライフスタイルを発信する。地下1階は、日本の“デパ地下”をイメージした食品とフードコートのフロア。日本の食品を扱うスーパーマーケット「MITSUKOSHI FRESH」をはじめ、アジアや欧米でも人気のクッキー専門店など計33ブランドが出店する。フードコートは、「三ツ矢堂製麺」や「カレーハウスCoCo壱番屋」などフィリピンでも人気のある日本の飲食店が計13ブランド揃う。

「KANEBO」も12月の開業を予定する(イメージ図)

1階はビューティーとファッションライフスタイルのフロア。今回を機に誕生したオリジナルビューティーストアの「MITSUKOSHI Beauty」や、フィリピン発のスキンケアブランド「Pili Ani(ピリ アニ)」など計6ブランドのコスメショップが出店。ファッションライフスタイルとしてはアパレルの「SNIDEL」(12月開業予定)や時計の「SEIKO」に加え、「LEXUS」のショールームなども出店する。

居心地の良いヒューマンスケールを目指した、壁の少ない開放的な空間(イメージ図)

2階は生活雑貨とレストランのフロアで、計33ブランドが揃う。日本の書店ではフィリピン初となる「紀伊國屋書店」や眼鏡店の「OWNDAYS」、レストランでは寿司屋の「千両」や、シンガポール発のミシュラン1つ星中国料理店「PUTIEN(プーティエン)」などが23年春ごろにかけて順次開業する。また、フィリピンでは目にすることの少ないキッズやファミリー向けのトイレ、授乳室も同フロアに設置する。

3階は、ARやVRなど最新技術を用いた最新の屋内型アミューズメント施設が開業を予定。若者をメインターゲットに全天候型のエンターテインメント空間を用意する。

日本以外での「ライオン像」の設置は初。三越が創業から約350年培ってきたおもてなしの心で客を迎える(イメージ図)

施設内の空間デザインは、乃村工藝社が基本構想およびコンサルティングを担当した。「参道」や「通り庭」といった日本伝統の要素を取り入れ、新たな商業空間を提案する。また正面エントランスには、三越の「ライオン像」もシンボルとして設置される。

(中林桂子)