2024年04月28日

パスワード

購読会員記事

デパートニューズウェブ新春トップインタビュー2022

2022年の元日を祝うとともに、百貨店業界の発展を祈念し、高島屋の村田善郎社長のインタビューを掲載する。

※以下、僚誌「ストアーズレポート」2022年1月号の転載です。2022年1月7日まで無料公開中です。


高島屋は数年来、百貨店を根幹に事業のウイングを広げ、成長への土台を強固にしてきた。東神開発を中心とする商業開発業は今や〝稼ぎ頭〟で、インターネット通販がメインのクロスメディア事業、金融業、レストラン事業なども着実に前進。事業ポートフォリオのバランスは整いつつあった。しかし、コロナ禍が直撃。2021年2月期の連結業績は17年ぶりに最終赤字となった。コロナ禍の収束が遅れ、22年2月期も第2四半期は最終赤字。ストアーズレポートのインタビューに応じた村田善郎社長は、現状を「巨大なる赤字企業」と厳しく見詰める。ただ、「まだまだ伸びていく要素、可能性はある」と強調する百貨店事業をはじめ、黒字化への道筋、将来の飛躍に必要な戦略は明確だ。1時間余りに亘り、熱弁を振るってくれた。

 

収益の軸は、まだまだ衣料品です。新たな方法で商品戦略を見直します。

――昨年来のコロナ禍が百貨店業界に与えたダメージは甚大です。御社の業績にもブレーキがかかり、2022年2月期の予想も下方修正を余儀なくされました。ただ、21年9月末で緊急事態宣言や「まん防」が解除され、百貨店にも本格的に客足が戻りつつあります。

村田 今期を振り返ると、上期(21年3月~8月)は6月から7月は比較的好調で、20年2月期の数字に戻りつつありましたが、(新型コロナウイルスの感染者の急増にともない)8月の2週目くらいから一気に落ち込みました。それまで「上期は計画を達成できるかもしれない」と思っていましたが、(10月14日に)通期の連結業績予想を下方修正せざるを得ませんでした。下期も9月の中旬くらいまで感染拡大が続きましたが、下旬には一段落し、それに見合って人出も増えています。

売上げについて言えば、宝飾品や美術品をはじめとする「富裕層のイエナカ消費」は堅調でした。単に高額品が売れているわけではなく、コロナ禍で訪日外国人が減り、結果的に日本人の富裕層が店舗でゆっくり買い物を楽しめる環境が整ったからではないかと捉えています。高額品の売れ筋は従来のハンドバッグなどの雑貨から、ラグジュアリーブランドの家庭用品、宝飾品、衣料品にシフトしており、従って客単価が上昇。上期は厳しいながらも一部の商品群では健闘できました。

下期は10月に入って客数が戻ってきましたが、売上げは一気には回復していきません。富裕層は引き続き底堅いですが、中間層が上がらない状況がしばらく続きました。秋冬商戦は気温に左右されます。寒くなって冬物衣料などが少し動き、暖かくなって止まる。(取材した11月19日時点では)そんな状態ですが、下旬以降にかなり寒くなると言われており、これから期待できるのではないでしょうか。現時点でも、中間層やビジネスパーソンの需要が数字に表れ始めているのは良い傾向です。

カテゴリーごとに見ると、化粧品はメイクアップ系の売れ行きが良くなってきました。コロナ禍では、スキンケア系ばかりでしたからね。重衣料、すなわちコートも動いており、客単価が上がっています。年末商戦に向けても、おせちの予約が盛況です。単価が高いモノから売れ、品切れも少なくありません。今までと同様に「家の中で贅沢しよう」という志向の表れでしょうし、クリスマス用のオードブルも好調です。まだまだ「第6波」に対する警戒心は強く、「忘年会は止めて、家の中でパーティーを開こう」と考えるお客様が多い印象です。

一方で、秋を迎えて旅行用品などの問い合わせが少し増えてきました。取引先の方と話した際に「今年の新入社員はスーツケースを売った経験がない」と言われたくらい需要が落ち込んでいましたが、問い合わせの増加にともない、改めて販売員の教育を始めたとも聞きます。消費の芽は出ており、旅行のための洋服、靴などにも波及していくのではないでしょうか。コロナ禍においては「ペントアップ需要」や「リベンジ消費」といった言葉が躍り、同一視されがちですが、本来の意味は異なります。リベンジ消費は「買い物したい」という欲求の〝マグマ〟が解き放たれるイメージで、ペントアップ需要とは、あくまでも本来の目的の先送りに過ぎません。それを踏まえた上で、リベンジ消費とペントアップ需要の両方を一気に取り込む準備を整えます。

――コロナ禍が一段落しつつあり、基幹である百貨店事業には追い風が吹きます。業績の早期回復に向け、何に注力していきますか。

村田 百貨店事業の再生には衣料品の回復が不可欠です。その動きが鈍いと立ち行きません。コロナ禍が2年に亘ると、メーカーの在庫調整や減産も続き、百貨店にとっては「いかに売れ筋をタイムリーに確保して販売するか」が成否を分けます。そこで当社は20年度から、衣料品に限らず食料品や家庭用品なども含めた主要お取引先と21年度の売上目標を議論してきました。厳しく、大変だった20年度を経て、どう21年度に巻き返すか――。モノづくりについて意見を交換し、備えてきましたが、上期は約20日間を除き全て緊急事態宣言か「まん防」の下にあり、目論見は外れてしまいました。今秋冬こそは、備えを生かして需要を取り込みます。

とはいえ、お客様にとっての衣料品の位置付けは過去と異なります。お客様の生活感や価値観が変わったからです。昔は「お出掛け」のためでしたが、今は「ハレとケの間」であり、売り手も変わらなければなりません。コロナ禍では男性のスーツのカジュアル化、女性のホームウエアなどのニーズが高まりましたが、再びオン需要も動き出しています。

衣料品を拡販するためには、商品戦略が重要です。そもそも、百貨店業界では、どうして衣料品が売れなくなってきたのでしょうか。「メルカリ」やサブスクリプションなどの台頭も要因ですが、それ以前にマーケットニーズとズレてきていたという反省があります。昔はA社のBが売れ筋ならば、それを大量に仕入れて並べれば成功できました。しかし、今は通用しません。例えば、多くのコンテンツを持つ新しい企業とOEMのような形で協業する、あるいは〝川上〟のデザイナーやクリエイターらと組み、ターゲットマップに当てはめていく。こうした方法が求められます。

 

食料品も売場が同質化してきました。「特徴化と標準化」で再構築します。

――その販売拠点としては、自主編集売場が必要ですね。ただ、近年は効率の問題から、廃止や集約に踏み切る百貨店が少なくありません。

村田 当社は、この分野をしっかりやっていくという方針を掲げています。お金も人手もかかりますが、品揃えにメリハリを付ける上で、自主編集売場を強化していきます。

――衣料品売場の縮小については、どう考えていますか。百貨店業界では数年来の傾向ですが、コロナ禍で拍車がかかるのでしょうか。

村田 お客様のニーズに応えた結果として、面積は下がっていく可能性はあるかもしれません。とはいえ、ただ縮めるわけではありません。まずは自主編集売場の中に雑貨や家庭用品、食料品を組み込むなどで、ライフスタイル軸で衣料品売場を再構成していきます。(独自性に優れる)小さいメゾンのショップを周辺に配置し、自主編集売場を活性化する手もあります。コロナ禍でブランドを廃止するメーカーが相次ぎ、売場が“歯こぼれ”を起こしているのは事実ですが、当面は社員のトライアルの場としてポップアップショップなどを展開しながら、自主編集売場の周辺を強化していきます。

――23年度までの3カ年計画では、食料品売場も再構築しますね。

村田 経緯を説明すると、衣料品と同様に食料品も売場が同質化してきました。再構築のテーマは「特徴化と標準化」で、独自の品揃えを充実させます。お客様の関心や需要は、似たように見える日本橋店と横浜店でも、京都店と大阪店でも違います。それも踏まえて、どう品揃えしていくか。横浜店は地元のブランドを増やしていますが、特徴化のメインは全国から選りすぐった逸品を取り扱う「味百選」や「銘菓百選」といった自主編集売場です。そして「フォション」、「ダルマイヤー」、「ペック」、「ルロワ」など当社に独自のブランド。それらを再構築、リブランディングしていくのが大きなテーマです。

味百選や銘菓百選の運営は手間がかかります。共通のバーコードはありませんし、賞味期限はバラバラです。ただ、お客様からは大変人気があります。味百選、銘菓百選ともに大きな売上げですが、収支は厳しいものがあります。お客様の支持は厚いものの、どうやってオペレーションを標準化して、安定的な利益を出せるようにするか。それが課題であり、食料品売場の再構築のキモです。

強みの自主編集売場、「味百選」や「銘菓百選」は再構築する

――黒字に転換する鍵は、オペレーションの標準化ですか。

村田 大事です。特徴化するために品揃えは店舗ごとに独自性を持たせていますが、業務は一緒です。オーダーシートに基づいて発注し、納品して売場に並べ、消費期限に応じて下げる――。その繰り返しですが、ある店舗では社員が10人で、ある店舗ではアルバイトで運営しています。オーダーシートの仕様もバラバラです。店舗ごとにベストプラクティスを残してきた結果ですが、社員が電話を取る時間もないほどお客様が常時並ぶ店舗も存在します。社員の負荷は大きく、逸品を探しに行く時間もありません。標準化を急ぎます。

――衣料品も食料品も“ソフト”の問題の解決が先で、〝ハード〟への投資、つまり改装の優先順位は低いのでしょうか。

村田 当社は前年度に巨大な赤字となりましたので、まず黒字化しなければなりません。そもそも、場当たり的なリニューアルには懐疑的です。果たして、利益にどれくらい繋がっているのでしょうか。売上げベースだけでなく、利益ベース、キャッシュフローベースで効果を見ていかなければなりません。極論を述べると、店長が交代するたびに「こうすべき」とリニューアルを繰り返してきました。業績が右肩上がりの時代はそれでいいかもしれないが、そうでなければリニューアルには慎重であるべきです。その点では、今春に増床・改装を完成させた横浜店の食料品売場のように、造作は大きく変えずに済ませる方法は、別のカテゴリーでもできないか検討しています。

――さりとて、リニューアルは客に一定のインパクトを与えます。

村田 当社の場合は、百貨店と専門店を融合させ、互いの良さをいかに相乗させるか。リニューアルよりも、それに軸足を置きます。百貨店は単品集積で買いやすさを、東神開発が運営する専門店は4~5年でテナントを入れ替えて旬の品揃えを、それぞれ追求。両館の買い回りを促します。

――玉川髙島屋S・C、立川髙島屋S.C.、日本橋髙島屋S.C.は名称も含めて百貨店と専門店の融合を象徴する店舗ですが、例えば日本橋髙島屋S.C.の売上げや客数は想定ほど伸びていないという論も散見されます。

村田 コロナ禍の前は狙い通りでした。負け惜しみではないですよ(笑)。ただ、コロナ禍で撤退が発生し、以降のリーシングは思い通りには進んでいません。対して、玉川髙島屋S・Cには空室がほとんどありません。それは何故か。玉川髙島屋S・Cは52年目で、テナントと信頼関係が培われています。お互いに創意工夫をしてどうにか営業を継続しようなどと柔軟に対応できる。これが東神開発の強みの1つです。その点で日本橋髙島屋S.C.は旬の取引先に出てもらったため、1号店や2号店が多く、コロナへの耐性も低かったです。加えて、コロナ禍で近隣のオフィスワーカーが半減。過酷な環境で苦戦していますが、狙いは間違っていないと思います。

実際、豊洲方面から来る若いカップルが確実に増えています。新館の効果ですし、新館と本館との買い回りもみられます。新しいお客様の開拓に寄与しています。18年10月にグランドオープンした立川髙島屋S.C.もコロナ禍の前は客数が増え、順調でした。コロナ禍もマイナスばかりでなく、地元消費が増加。あるラグジュアリーブランドでは、月によって立川店の売上げが新宿店を上回りました。

コロナ禍では、お客様の流れが変わりました。玉川髙島屋S・Cでも、荻窪や目黒などから車で来る新しいお客様が増え、駐車場が逼迫するほどです。しかも、一時的な利用ではなく、定着しています。「電車の密は避けたい」という意識が人の流れを変えています。

顧客戦略では、次世代顧客の開拓も不可欠です。推し進める具体的な施策としては、インターネット通販サイトを使ったリアル店舗との相互送客、「dポイント」や「Pontaポイント」との連携が挙げられます。支払い時にdポイントやPontaポイントを使う若い人が増えていますし、売上げへの寄与率も上がってきました。次の一手は、蓄積されたビッグデータを、どう販促に活用するか。今までの販促はマスを対象に数を撃つような状態でしたが、それを変えていきます。例えば「新宿店から1.5キロメートルの範囲に住み、共働きで年収●円の世帯」というペルソナをつくり、それに沿ってdポイントやPontaポイントの運営元に、利用者へ情報発信してもらいます。こうしたマーケティングを各店で講じながら、次世代の新しいお客様を呼び込みます。

――ネット通販は好調ですね。

村田 伸ばしていかなければならない領域です。20年度の売上高は約297億円、「EC化率」は約4.7%でしたが、23年度に目標の500億円を達成できれば、計算上は約7%に達します。商品では化粧品や家庭用品、特選、時計などを充実させて売上げを嵩上げします。あとは食料品です。21年8月にECサイトを新装しましたが、好調に推移しています。ネット通販の環境は徐々に整備されており、品揃えの充実化と出荷体制の強化で売上げを伸ばしていけるのではないでしょうか。

カスタマージャーニー的に言うと、スマートフォンでネットサーフィンして、何回かのクリックで目当ての商品を見付け、決済して家に届くという流れですが、当社への〝入口〟は改善されつつあり、課題は出荷体制や決済です。「髙島屋オンラインストア」と「タカシマヤファッションスクエア」はIDを統合したものの、決済は別々。ネット通販は23年度に500億円、その先にはさらなる拡大をめざしていますが、恐らく500億円からさらに売上げを大きく増大させていくには体制が様変わりするはずです。システムなどの仕組みを変えていかないといけません。

百貨店業界のシステムは「レガシー」(=時代遅れ)になっており、どのタイミングで、どう変えるかが最大の経営課題かもしれません。しかし、ネット通販サイトをただ一元化すればいいとは思いません。例えば中元や歳暮のギフトは、店頭のギフトセンターでもネット通販サイトでも熨斗(のし)や包装の要望に細かく対応しなければなりませんが、通常のネット通販サイトで優先すべきは欲しい商品を素早く、廉価で購入できる仕組みです。熨斗や包装について逐一聞かれたら、買う気が失せます。顧客管理や決済はまとめるべきですが、同じシステムで運営すると膨大の経費がかかるのであれば、スタンドアローンでいいものもあるのではないでしょうか。自家需要で化粧品と味噌を一緒に買う人は少ないはずで、それぞれは別のサイトにした方が便利ですよね。お客様のニーズに最も合う形でインフラを整備していくべきです。

 

「感動体験をもたらすサービスの提供」が百貨店業界には再び求められるでしょう

――百貨店業界も熱視線を注ぐ「OMO」や「ショールーミング」についてはいかがですか。

村田 東神開発が牽引役として館をつくり、その中でのショールーミング的な要素は検討しています。館を百貨店と専門店、商業と非商業、物販と非物販で、どう構成していくかという観点の1つとして、ショールーミング的な売場はあり得るかもしれません。ショールーミングありきではなく、館全体をどう面白くするかです。当社は国内に15の百貨店を擁し、15通りの「まちづくり戦略」(=店舗の中と外を「まち」と捉え、両方を最適な方法で魅力化し、集客力を高める戦略)が存在します。15の「まち」に最適なコンテンツとしてOMOやショールーミングが必要であれば組み込みます。

OMOやショールーミングとは異なりますが、21年10月にはカルチュア・コンビニエンス・クラブと合弁会社を設立しました。まずは当社の外商組織を使って現代アートを販売していきますが、将来的には蔦屋書店をはじめとするコンテンツの誘致を検討します。蔦屋書店は文化施設などにも出ており、面白いと考えています。次世代顧客との親和性も高く、シナジーを発揮できるのではないでしょうか。

――御社は数年来、事業のウイングを広げてきました。商業開発業や金融業など百貨店事業以外の成長戦略は、どう描いていますか。

村田 百貨店事業が第1の核とすれば、第2の核は国内外での商業開発業です。国内では千葉県流山市の「流山おおたかの森S・C」を拠点に、周辺の開発にアクセルを踏みます。21年3月に「FLAPS」、同11月に「アゼリアテラス」を開きましたが、22年夏には「ANNEX2」が完成します。海外の開発の中心はベトナムのハノイです。コロナ禍で一時建設が停滞しましたが、今は全て順調です。商業施設やオフィス、学校などからなる「スターレイクプロジェクト」の1期はオープンし、2期も着手済みです。ベトナムでネットワークができると、色々な引き合いが生まれます。今後はジョイントベンチャーで何か手掛けたり、従来の商業施設に手を入れてバリューアップさせたりなどを考えています。

2021年3月に開業した「FLAPS」

第3の核は金融業です。本日(11月19日)も住信SBIネット銀行と新しい金融サービスの実現に向けて協議すると発表しましたが、色々な商品やサービスを提供していきます。社内的には「金融商品は百貨店の品揃えの1つ」という意識が弱いです。百貨店が提供するソリューションの1つとして、金融商品があります。もっと浸透してくれば、お客様のライフタイムバリューを高めていくサポートになるのではないでしょうか。コンテンツも含め、強化していきます。

専用のカウンターを設けた横浜店や大阪店、日本橋髙島屋S.C.では、お客様にとってハードルが低く、気軽に相談できると好評です。手応えは十分で、ニーズに合わせてサービスを進化させ、当初のメニューでは無理だった税務などにも対応していきます。投資信託の積み立ては「タカシマヤポイント」と連携させていますし、住信SBIネット銀行と実現を目指す金融サービスもですが、大いに期待できます。

「気軽に相談できる」と好評のファイナンシャルカウンター

――金融業を育てるためには専門人材が必要です。

村田 外部から雇用する人もいますが、社内には「ファイナンシャル・プランナー」の資格を持つ人が結構おり、再配置しています。

当社は事業ポートフォリオのバランスを重視しています。百貨店業、商業開発業、金融業、広告事業、建装事業、そしてレストラン業などです。お客様の支持が厚く、同業他社や異業種からの引き合いも多い中華料理店「鼎泰豊(ディンタイフォン)」に次ぐ第2の柱として、ロンドンで人気のイタリア料理店「リナストアズ」を展開していきます。21年7月に東京・表参道に1号店を開きましたが、5年で約20店舗を出す計画です。コロナ禍で酒類を提供できない期間が長かったですが、ようやく可能になりましたし、手応えを感じています。若年層の取り込みに繋げたいです。

レストラン業で「鼎泰豊」に次ぐ第2の柱として期待する「リナストアズ」

――百貨店業界は、とかく「衰退産業」として報道されがちです。今後もプレゼンスを発揮していくためには、どう歩んでいくべきでしょうか。

村田 百貨店は日本固有のビジネスモデルだと思っています。他の国にもありますが、日本の百貨店には日本ならではの良さがあります。記憶に残るおもてなしやワンストップの楽しさ、そして単に物販だけではない、文化性などです。将来に向けてまだまだ伸びていく要素、可能性はあると思っています。コロナ禍を1つの契機に各社は構造改革を推し進めていますが、それが結実していけば、百貨店業界は再びお客様から大いに期待される業態として存在意義が求められてくるでしょう。当社はしっかりと、それに応えていきます。

(聞き手・野間智朗)

←2022年 年始特集目次へ戻る