2024年10月12日

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2021年 百貨店首脳 年頭所感・肆

<掲載企業>

■天満屋

■京阪百貨店

■博多大丸

■鶴屋百貨店

■山形屋

■伊予鉄高島屋

■日本百貨店協会


グループの総合力で接点に応じたソリューションを提供

天満屋 社長 江國 成基

昨年は新型コロナウイルスへの感染が世界中に拡大し、今なお人々は先行きを見通せない不安を感じる日々が続いております。

この未曾有の社会現象をきっかけに、今までとは比べものにならない急激なデジタル化の進展がありました。このデジタル化の波は、あくまで新型コロナはきっかけであり、以前から進んでいる大きな流れであると思います。

デジタル化の具体的な現象を見てみますと、テレワークやウェブ会議活用による働き方改革の推進、VRやARを活用した接遇・販売機会の進化、アプリの普及による宅配、持ち帰りニーズへの対応といったものが記憶に新しいです。

こうしたデジタル化の進展は止まらず、新型コロナが収束した後に時計の針が逆回転し、以前の常態へと戻ることはないものと思います。

新型コロナの収束後の社会環境において、小売業が社会のニーズに応えていくためには、デジタル化の波を受け入れつつ、リアルでのコミュニケーションにおける優位性を生かしていくことが必要になると考えています。デジタル化によってリアルでのコミュニケーションの価値が浸食されるのではなく、役割が変わり、さらに重要性が増していくのではないでしょうか。

つまり、あらゆるものがデータとして補足可能になっていく過程において、デジタルテクノロジーを活用することで、顧客にとって最適なタイミング、最適な手段(デジタルかリアルか)を把握することができるようになるため、リアルな機会においては今まで以上に感動やより豊かさを感じる体験を提供していくことが求められていくと思います。そこには、当社が果たしていくことができる役割が大きいものと考えております。

リアルでのコミュニケーションが持つ意味は、今以上に大きくなり、役割も変わっていくことになります。必要であるものの無機質な処理といった接点はデジタル化による効率化が進み、リアルでのコミュニケーションは、体温を感じる、よりウエットなものへと進歩し、利用する方が感動するような体験を提供することに変化していく必要があると思います。

当社グループは、こうした社会環境の大きな変化の波に対し、デジタル化による効率化を支えていく事業領域においても、またよりリアルなコミュニケーションの持つ意味が大きくなるライフタイル領域においても、グループの総合力をもって、様々な接点の機会に応じたソリューションの提供で、皆様の期待を上回ることができるように本年も取り組んでまいります。


次世代の郊外型百貨店のあるべき姿を念頭に再構築へ

京阪百貨店 社長 辻? 良介

昨年は新型コロナウイルスへの対応一色でした。「リーマンショック」も相当のダメージがありましたが、それを上回る、未だ経験したことのない売上げと来店客数の減少に見舞われました。

振り返れば、春先に新型コロナの感染例がニュースで流れるようになると徐々に売上げに陰りが見え始め、4月に緊急事態宣言が出された後は5月までファッションフロアの営業自粛、食品フロアのみでの営業を強いられ、この期間に大きく売上げを落としました。

緊急事態宣言の解除後は次第に回復していきましたが、コロナ禍以前の水準には到底およばない状況です。直近は冬季に入ったこともあって感染者が増加傾向で、出控えも想定され、先行きは不透明です。

影響は売上げにとどまらず、お客様や従業員の健康を守るため、検温装置、消毒液、飛沫感染防止のシールドなどの設置も待ったなしの状況に追い込まれました。日本中がマスクや消毒液を我先にと買いに走った状況の中、なんとか必要な備品を確保して営業は継続できました。奔走してくれた従業員へは感謝の言葉しかありません。

減収を補うため、大規模なコストの削減を掲げ、果敢に取り組みました。お客様には不便な思いをさせてしまいましたが、営業時間の短縮を決断しました。外注業務については内容や頻度の見直しを提案、関係者に理解していただきました。従業員にはシフトの見直しと休暇の取得を依頼し、雇用調整金など公的支援も活用しました。

これらの取り組みの成果として、ぜひとも本年度は営業黒字を確保したいと意気込んでいます。

さて本年ですが、厳しい経営環境の中でも、継続して利益を計上し、従業員の雇用を守らなければなりません。幸いコロナ禍で大幅減収に見舞われた期間中に最低限の経営資源で営業したことで、まだまだコストを抑えられると気づきました。その気づきを形にすることで、損益分岐点を大胆に引き下げます。

具体的には、店頭のシフトを切り詰めて捻出した人材を外注業務の内製化へ充当します。現場の生産性向上と外注費の削減を同時に目指します。さらに組織の強化とシステム投資により、オンラインショップを活性化させます。商品によってはこちらの想像以上にお客様のニーズがあり、売上げのアップが期待でき、同時に中元・歳暮ギフトや福袋では店舗のオペレーションがスムーズになり、コロナ対策や繁忙期対策にも活用できそうです。

もちろん、コストカットや効率化だけでは将来への展望がありません。大規模改装も前向きにやっていきます。守口店の周辺には、数年後に「ららぽーと」が進出します。その対抗策として、MDの変更が不可欠です。くずは店もアパレルの退店が続き、売場の再構築が急務です。両店とも次世代の郊外型百貨店のあるべき姿とは何かということを念頭において、再構築を進めます。

以上のような取り組みを掲げましたが、その実現は決して簡単なことではありません。現在会社の置かれている状況を全社員と共有した上で、利益を残すための方策を侃々諤々と議論し、知恵を絞り、なんとか工夫して、良い1年にしたいと思います。


新常態を刺激する「店舗の魅力化」と「情報発信の強化」

博多大丸 社長 香川 曉子

2020年はこれまで経験したことのない経営環境の中で、様々な勉強をさせてもらった1年でした。新型コロナ感染症による消費の低迷に加え、1カ月以上の長期に亘る店舗の休業などの業績への打撃と、従業員・関係者の先行きへの大きな不安の中、多くの緊急対策を強いられ、店頭も疲弊しました。突然の休業で、お客様や取引先との繋がり、関係性も様変わりしました。

そこで、改めて組織の力を1つにまとめるために「変化を恐れず、自ら行動しよう!」というスローガンを掲げ、行動を開始しました。5月の営業再開にあたっては、お客様はもとより、店舗で働く全ての従業員の「安心・安全」を最優先に、徹底したコロナ対策に取り組みました。検温、手指の消毒、マスクの着用や3密対策など、大きなストレスにさらされながら、店舗の営業に従事した全員に深く感謝しています。

さて、21年ですが、ウィズ・コロナの日常にあって感染防止対策を継続しながらも、ニューノーマルな消費者の価値観を刺激する「店舗の魅力化」と「情報発信力の強化」に取り組まねばならないと考えています。中でも、これからお客様とどのような手段で、どのように繋がっていくのか、模索を続けています。

これまで、なかなか成果に繋げられていなかったeコマースやデジタルを使った情報発信、リモートショッピングやリモートワークなど業務の効率化には積極的にコストをかけて、スピードを上げて臨みます。

こうした取り組みが、マーケットの変化への対応力を養い、進化にチャレンジするマインド、新しいことにトライする企業風土の醸成に繋がると信じています。

さらに、今回のコロナ禍では、改めて社会や経済の在りようを考えさせられたことから、SDGsやESGなど持続可能な社会の実現に対する関心が一気に加速したように思います。

当社はサスティナビリティ戦略として「低炭素社会への貢献」、「地域社会との共生」への取り組みにドライブをかけています。18年にスタートした「九州探検隊」も、そのアクションの1つで、九州、沖縄の119市のうち現在半数を超える61市と情報発信アンバサダー契約を締結させていただきました。

地元九州の活性化の一翼を担うべく博多大丸の従業員で構成された「九州探検隊」による行政訪問、情報交換と、半期に1度、全館で取り組んでいる「九州深発見フェア」を中心に、九州の魅力的なモノ、コト、ヒト、文化を発信する活動を続けています。今こそ、多くの方々と手を組み、九州全体を盛り上げるお手伝いをしたいと考えています。

迎えます21年は、博多大丸の将来への発展に向けて、これまで以上に地元に寄り添い、地域社会と共生する百貨店を目指し、全従業員が一丸となって、新たな取り組みに変化を恐れずチャレンジしてまいります。


既成概念に凝り固まらず、役に立てる店づくりにまい進

鶴屋百貨店 社長 久我 彰登

昨年、当社は「Move Hearts」を営業指針に掲げ、お客様の心を動かし、利用していただくにはどうすべきかと考え、取り組んでまいりました。

本来ならばオリンピックイヤーであり、熊本においても、熊本地震後に途切れていた阿蘇へのアクセスが復旧することに加え、民営化された阿蘇くまもと空港や八代港のくまモンポートの開業などにより、交流人口が拡大する飛躍の年と期待していました。

当社もそれに備え、お客様を迎える準備をしていましたが、4月~5月の非常事態宣言に基づく臨時休業や営業時間の短縮など、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で来店客数は大きく落ち込みました。7月には県南の人吉・芦北地区を中心に豪雨被害も発生し、地域経済は大きく冷え込みました。

当社はその間、オンラインストアの強化に加え、外商を増員し、お客様との接点を増やすことに努めました。被災地区には、すぐに外商部員が大量のタオルを持って訪問。8月には熊本商工会議所を通じ、延べ100名を超える社員を派遣して復旧を手伝いました。

闇雲に恐れるばかりでは経済が成り立たなくなるとの思いから、新型コロナの第1波後の6月に、社員の家族や関係者が営む飲食店を利用して支援する活動を展開し、地域経済の活性化に努めました。

お客様に対しても、マスクや消毒など基本的な感染防止策は行いながらも、百貨店内の換気はビル管理法に基づき充分になされていることを積極的に伝えるなど、安心して来店していただけるように広報活動も行いました。

秋以降は物産展を再開したことで、徐々にお客様の来店も増え、11月の「大道産子市」は史上初の5億円超えを達成しました。やはり、店頭でのコミュニケーションを楽しみながら百貨店での買い物を楽しみたいというお客様が多くいらっしゃることを再認識しました。

また、従来から取り扱いのあったオゾン発生器がコロナ後に予算の4倍以上も売れたり、年末年始の忘新年会が軒並み中止になった法人顧客向けに福利厚生費を使った社員向けのギフトの提案を行ったところ好評を得たりと、大変な状況の中にも、やがて希望の光は見えてくると感じています。

この、やがて来る新型コロナの収束後に備え、すぐに動き出せるよう、今のうちに考えておくべきこと、やるべきことを整理して様々な準備を進めていきたいと、今年の営業指針は「Act Now! ~for the NEXT~」に定めました。

ますます競争が激化する周辺環境にも負けない魅力的な品揃えを実現するためにも、百貨店の既成概念に凝り固まらず、お客様の役に立てる店づくりに努めてまいります。


「New My way」実践、日々の暮らしのそこかしこに

山形屋 社長 岩元 修士

昨年は新型コロナウイルスの世界的大流行を受けました。日本国内はもとより、世界中が大きなダメージを受けた訳ですが、この1年は私達に色々なことを思い起こさせてくれました。

「エッセンシャルワーカー」という言葉も、その1つです。医療従事者をはじめ、社会を支える大切な仕事を担われている方を指す言葉ですが、百貨店で働く私達もその一員です。

つまり、毎日を元気に活動するために必要な食料品を売ることも、毎日を明るく楽しい日々にするための彩りやオシャレを紹介することも、生活に安らぎと幸せを与えてくれるイエナカを提案することも、私達の仕事の全ては、お客様がその方らしい充実した日々を過ごすために必要なことばかりです。

このように、見えざる災禍に怯むだけではなく、社会における私達の確かな役割を改めて確認する、大切な1年だったのではないかと考えます。

そのような私達が本年やるべきことは1つ、誰1人として新型コロナに負けることなく、山形屋として新型コロナに打ち克つ年とすることです。打ち克つとは、新型コロナがいかなる状況であろうとも、山形屋の役割をこの地で担い続けるということです。

コロナ禍を経て、お客様は確実にそれぞれの生き方、暮らしのスタイルを変えています。より物事の本質を見極め、より自分らしい生き方「New My way」を貫かれていくことと思われます。

このようなお客様に対して、私達はこれまでの経験に加えデジタルを活用し、山形屋を進化させていく必要があります。山形屋のNew My wayの実践、それはリアルとデジタルの境目をお客様が意識することなく、お客様の日々の暮らしのそこかしこに山形屋がある状態を実現することです。

現在は新型コロナの影響を受け、売場の改装を一旦休止しておりますが、5年以上を費やした耐震工事はすでに完了し、どんな時代の変化にも対応できる白いキャンバスは準備できています。

今、新しい年を迎えるにあたって感じているのは、混迷や混沌といった言葉ではなく、新しい時代の息吹です。従業員1人1人が前向きに踏み出す1歩1歩を積み重ねて、白いキャンバスに新しい山形屋を描き、新型コロナに打ち克つ年といたします。


基本に回帰、「百貨店らしさ」と「魅力ある店づくり」追求

伊予鉄高島屋 社長 林 巧

日本経済は2019年10月の消費増税で個人消費が低迷する中、新型コロナウイルス感染症の拡大の追い打ちにより急激かつ大幅に後退し、過去に例を見ない厳しい状況が続いています。今後においても、経済活動の再開は一進一退を繰り返し不透明な状況が続きますが、感染拡大予防対策の徹底を大前提としながら、同時に経済を活性化させていく非常に困難な環境が続くものと予想しています。

当社は緊急事態宣言の発出以降、食料品を除く臨時休業の実施や各種催事、イベントの見送り、長引く顧客の外出自粛などにより、大きな影響を受けました。松山エリアにおいてもインバウンドが消失し、ホテルや旅館、飲食関連の地元経済が冷え込み、景気が回復する環境にありません。

一方、郊外型SCの大規模改装の進行などで商圏内競争は一層拍車がかかることに加え、急速なECの拡大により、業態の枠を超えた競合は熾烈化しています。このような環境下、当社が難局を乗り越えるために、早期の確実な業績回復と中長期的な視点に立った事業構造改革の実行が不可欠であると考えます。

迎える21年、現状を打破するためには、コロナ禍による消費者の生活様式の変化を敏感にキャッチした対応が重要です。そのためにも、顧客ニーズを捉えた売場づくりや品揃え、パーソナルな提案力強化を推進するとともに、新たな販売手法を導入するなどの諸施策を実行します。

これらの取り組みにより、上質な百貨店顧客の深耕、囲い込みを推進するとともに、全社員の心を一つに、来たる22年の伊予鉄高島屋20周年記念事業に向けた立案と着実な準備を進めます。

そして、持続可能社会の実現に向けてESG(環境・社会・ガバナンス)への取り組みを追求し、環境対策や地域貢献などを通じて社会課題解決に貢献することで、社会公器としての役割を果たしてまいります。

以上のような厳しい環境下で生き残るためには、まず百貨店の基本に立ち返り、コロナ禍によって変化する地域経済や消費者動向を的確に捉え、新たな時代における「百貨店らしさ」、「魅力ある店づくり」を追求してまいります。

また、この逆境をチャンスと捉え、利益構造、費用構造の抜本的改革に取り組み、持続的成長に向けた新たなビジネスモデルの構築に取り組んでまいります。


業界を挙げて新しい生活様式、変化する消費行動に対応

日本百貨店協会 会長 村田 善郎

昨年は申すまでもなく、世界中が新型コロナウイルスに揺れた1年でした。

我が国もこの例に漏れず、春先の感染拡大の第1波において、全国的に外出自粛を求める緊急事態が宣言され、急激に社会経済活動を停止することとなりました。当時の状況からして、止むを得ないこととはいえ、極めて厳しい局面であったと、今なおその記憶を拭い去ることはできません。

こうした状況の中、改選期を迎えた昨年5月の当協会総会で、皆様の推挙により会長を拝命し、新体制を立ち上げております。併せて、「持続可能な社会を目指し百貨店の再創造を!」というスローガンを定め、事業活動をスタートいたしました。

しかしながら、かつて誰も経験したことのない未曾有の難局に直面し、会員各社は舵取りの難しい事業運営に腐心しました。お客様と従業員の安全確保を最優先に掲げつつ、新型コロナの特措法、あるいは業界ガイドラインに基づく感染防止対策を講じるなど、様々な制約を受ける中での営業態勢を続けました。

そこで当協会としましても、こうした業界環境を踏まえ、昨年3月に策定した事業計画を急遽見直しました。その後、7月の理事会で改めて修正計画の承認を得て、活動を再スタートさせています。

新型コロナ対策で苦しんでいる会員各社、その要望に寄り添うことを強く意識しながら、「ダメージを受けた経営の下支え」、「安心安全を優先した運営のサポート」、「『新しい生活様式』における価値再創造」という3つの柱を立て、各社の経営に少しでもメリットを提供すべく、実情に合った事業内容に方針転換した次第です。

どこまで役に立てたか、紆余曲折ございましたので少々心許なくも感じますが、引き続き会員各社の皆様の視点に立って、協会運営に注力してまいりたいと思います。

さて、迎えた令和3年に目を転じますと、年末年始の様相も例年とは大きく変容しています。師走の第3波で再度自粛ムードが高まるなど、新型コロナの感染サイクルが拡大と収縮を繰り返す中、生活者の意識は常に緊張を強いられ、「行く年を惜しみ、初春を寿ぐ」といった晴れやかな気分には、なかなか浸れない状況が続いています。

従いまして、私共百貨店が、これからも社会から信頼を得て安定的に事業継続を図るには、引き続き感染防止対策の徹底が重要となります。

百貨店の社会的評価は、1社1店の取り組みで獲得できるものではありません。業界を挙げて、安心・安全な買い物環境を整備することが不可欠です。

一方、新時代の兆しとして、デジタル化が大きくクローズアップされてきました。昨秋に政権移行した菅内閣においても、デジタル庁の設置やデジタル技術の活用を通じた行政手続の簡素化をはじめ、官民を挙げた生産性向上を重点政策に掲げています。

デジタルを軸に時代は大きく変わろうとしています。百貨店業界においても、ほかの業界に後れを取ることなく、この課題への取り組みをどのように加速していくか、皆様と積極的に議論してまいりたいと思います。

さらに今年は、1年延期された東京オリンピック・パラリンピックが開催される予定です。これを見越して、すでに昨年秋には、入国制限の段階的緩和も始まりました。一般観光客の入国は少し先になりますが、ワクチンの有効性が確認されれば、海外との人の往来は徐々に活性化するでしょうし、インバウンド市場の回復も期待されています。

また、国内の消費動向においても、日々の暮らしに潤いを与えるような価値の高い商材を求める傾向は堅く推移しており、例えば年末の「おせち」、「クリスマスケーキ」、「お歳暮」などの商戦では、前年実績を超えるケースも見受けられました。これはコロナ禍にあっても、お客様は心の豊かさ、人と人との絆を大切に考えていることの証左です。

この観点から言えば、お客様が百貨店に求める期待感は、従来以上に高まっています。会員各社の皆様と業界を挙げて、新しい生活様式、変化する消費行動、これに的確に対応した商品、サービスの提供に努めてまいりたいと思います。このことが、「アフター・コロナ」を見据えた新たな百貨店の在り方、業態価値を向上させるキーとなります。

そしてこれを強力に進めるには、取引先ほか関係各方面の皆様との密接な連携、協働が必要です。