2025年06月20日

パスワード

インバウンドが伸び悩み、食品と化粧品は堅調

大手百貨店4社の5月売上高は、高島屋が11.7%減、阪急阪神百貨店が9.8%減、大丸松坂屋百貨店が3.2%減、三越伊勢丹が3.2%減と全社減収だった。全体的に、前年の実績が大きいラグジュアリーブランドなどの免税売上げが減少した。ただし、国内売上げはおおむね堅調に推移した。

高島屋(国内百貨店子会社含む)の売上高前年比は11.7%減で、店頭に限ると13.1%減だった。免税売上高は41.7%減、免税を除いた店頭売上高は6.3%減を示した。法人事業は、受注が堅調に推移し、前年実績を上回った。クロスメディア事業は、通販カタログの計画的な部数、ページ数の削減の影響によって、前年実績をわずかに下回ったものの、衣料品などのファッションや食品が堅調に推移し、想定を上回った。店舗別では12店舗のうち、柏(2.0%増)が増収だった。

主要5品目のうち食品(4.1%増)は増収だったが、身の回り品(21.4%減)、家庭用品(10.1%減)、雑貨(2.8%減)、衣料品(0.9%減)はマイナスとなった。品目別では、家電(11.8%増)、紳士服・洋品(5.1%増)、子供服・洋品(1.1%増)、菓子(6.1%増)、惣菜(4.6%増)がプラスだった。

三越伊勢丹(国内グループ百貨店含む)の売上高前年比は3.2%減で、3カ月連続でマイナスとなった。昨年の実績が大きい免税売上高は前年を下回った。年会費永年無料の「エムアイカード ベーシック」の導入効果も含め、識別化が順調に進んでいる国内顧客の売上高が堅調に推移した。

主要5品目は、家庭用品(4.8%増)、食品(1.9%増)、雑貨(1.5%増)がプラスだった。品目別では、化粧品(3.1%増)、美術・宝飾・貴金属(0.6%増)がプラスだった。新宿、日本橋両本店では、宝飾品が伸長するなど、人とデジタルでつながった顧客に対する高付加価値な商品の提案が引き続き支持されている。海外顧客は引き続き化粧品や食品への関心が高く、新たにローンチした海外顧客向けアプリの会員数が増加している。

大丸松坂屋百貨店(関係百貨店含む)の総額売上高は前年比3.2%減で、3カ月連続のマイナスとなった。化粧品、アクセサリー、食品などが売上げを伸ばし、国内の外商売上げも堅調に推移したものの、ラグジュアリーブランド、時計、宝飾品などの高額品が前年実績を下回った。関係百貨店を除いた店計は対前年5.1%減、入店客数は4.3%増。免税売上高は39.7%減、客数2.9%増、客単価41.5%減、免税を除いた店頭売上高は4.3%増となった。店舗別では15店舗のうち5店舗がプラスとなった。

主要5品目のうち、食品(9.2%増)は価格高騰によるマイナス影響は継続しているものの、物産展の好調などにより対前年プラスとなった。身の回り品(30.8%増)では、アクセサリーや婦人肌着が好調に推移した。品目別では、化粧品(5.6%増)は免税売上げの増加などにより好調を維持。婦人服・洋品(14.2%減)は、国内売上げは堅調だったものの、訪日外国人によるラグジュアリーブランド売上げが大幅に減少したことなどにより、前年実績を下回った。紳士服・洋品(4.2%減)は、スーツやポロシャツなどの不調により対前年マイナスとなった。

阪急阪神百貨店の売上高前年比は、阪神梅田本店は2.8%増だったものの、阪急本店は14.8%減、支店計は4.5%減となり、9.8%減と3カ月連続でマイナスだった。支店のうち、あまがさき阪神(7.9%増)、宝塚阪急(5.7%増)、西宮阪急(3.8%増)、都筑阪急(3.8%増)、川西阪急スクエア(3.6%増)、高槻阪急スクエア(3.1%増)の伸び率が高く、大井食品館(2.2%増)と阪神・にしのみや(1.2%増)も堅調に推移した。

主要5品目では、身の回り品(28.9%減)、雑貨(6.0%減)、衣料品(4.8%減)はマイナスだったが、家庭用品(6.8%増)、食品(0.1%増)がプラスだった。品目別では、紳士服・洋品(12.7%減)、婦人服・洋品(1.4%減)はマイナスだったが、子供服・洋品(0.4%増)はプラスだった。