2025年12月10日

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本館建て替えに入る藤井大丸、近隣の路面店で街づくり推進

地下2階、地上8階建ての藤井大丸。複数回の増築を行い現在に至る

藤井大丸は先ごろ、来年5月6日に本館の営業を一時休止することを発表した。といっても閉店するわけではなく、建て替えと全面改装のためであり、創業160周年を迎える30年度中の再オープンを目指す。施設の老朽化に伴う改修工事と、京都の住民と国内外の観光客により良い価値・体験を提供できる館への刷新を狙いとする。休館中は、周辺エリアの路面店を拠点に営業を続ける。

藤井大丸は1870年に創業し、1921年に現在の地、四条寺街角に移転した。1996年には「感性発信百貨店」をスローガンに戦略を転換し、団塊ジュニアに向けたファッション感度の高い有力セレクトショップを導入している。その後も総合百貨店と戦い生き残っていくため、ファッション感度に磨きをかけながら時代感を取り入れた改装を継続し、京都の百貨店として独自の地位を築いてきた。

本館の建て替えは数年前から準備を進めており、一時的に営業を終了しても事業継続できるよう周辺に路面店を構えてきた。四条通や寺町通、御幸町通、綾小路通界隈で路面店の開発を進め、24年には先行して本館に近接する寺町通の新築ビルの1~2階に、店舗面積約1000㎡の「藤井大丸サウス」を開業している。交渉中の物件を含め15カ所ほどの出店を見込める状況にあるという。

将来的には30カ所程度までを想定している。京都で深刻化するオーバーツーリズムを改善する仕組みとして、京都の人々が街に住みやすい、同社らしい街の形成を進めていく考えだ。新本館は、「新しく、面白いものを自分の審美眼で選べる人、今を楽しめるファッションに共感してもらえる人」をメインターゲットに捉える。