2025年10月08日

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アルビオンの「フラルネ」、刷新で肌実感をよりクリアに確実に

新生フラルネは乳液や化粧水、美容液、クリームの4種類・全8品

よりクリアに、確実に“肌実感”を届けたい――。アルビオンがこのほどリニューアルしたスキンケアシリーズ「フラルネ」には、常に肌実感を大切にしてきた同社の矜持と、立ち上げから3年を経たフラルネをさらに進化させて新客を取り込もうという開拓精神が込められている。周期的な新装ではない。新生フラルネは気温や湿度の低下、寒暖差などで弱る秋冬の肌を活性化。潤い弾みむっちりとした美しい肌を叶える。「フラルネ ライブリーライン」の名称で、乳液や化粧水、美容液、クリームの4種類・全8品を8月17日に発売。10月18日には、かばんなどに入れて気軽に持ち運べ、サッと塗るだけでスキンケアの直後のようにしっとりと潤った肌に導く日中用保湿クリーム「フラルネ モイストリタッチ クリーム」も加える。従来のフラルネはアルビオンにとっての新客を多く獲得し、売上げも好調に推移していたが、機能性や使用感を高めて勢いに弾みを付ける。

注)ストアーズレポート10月号からの転載です


フラルネは、ロングセラー「エクサージュ」の後継として、2022年8月18日に販売を開始。人によって異なる肌の個性に着目し、それぞれに適したケアが可能な美容液や乳液、化粧水、クレンジング、洗顔料などを展開してきた。特長の明確さ、求心力に優れたアンバサダーの起用を含めた積極的な販促などが奏功し、売れ行きは右肩上がりだ。

アルビオンにとって、多くの新客を誘引する入口にもなった。商品開発部商品開発グループの藤田ゆき江課長が「(フラルネを通じ)新しいアルビオンの姿を見せられ、新しいお客様を取り込めた。比較的若い世代にもアプローチできている」と手応えを口にすれば、商品開発部商品開発グループの原田彩絵子氏も「フラルネは新しいお客様との出逢いが多く乳液以外からの顧客化も増えた。20代や乳液を使っていない人などに客層が広がっている」と同調する。

「フラルネ」のリニューアルに奮闘した商品開発部の藤田ゆき江氏(写真左)と原田彩絵子氏

視界が良好でもリニューアルを決めたのも、既存顧客の満足度を高めて離反を防ぎつつ、新客の開拓を加速するためだ。藤田氏は「フラルネはアルビオンにとってスキンケアを代表するシリーズ。愛されているからこそ、既存のお客様も大事にしなければならない。

リニューアルでは、よりクリアに確実に美しさを届けられるよう、各アイテムの肌での効果実感にこだわった一方、例えば乳液では従来のみずみずしさ、肌なじみの良さ、柔らかい後肌などを継承し、デザインもアルビオンらしさ、フラルネらしさを社内でしっかり協議して表現した。(主要販路である化粧品専門店や百貨店などの)売るプロが納得できる美容理論も重要。どう変わったのか、どう良いのかを分かりやすく、魅力的に見せられるように腐心した」と説明する。

原田氏も今回のリニューアルでさらなる飛躍を狙う。「若年層との出逢いは増えたが、性別や年齢にかかわらず、手に取って使っていただきたいと考えた。とはいえ、幅広い人に『良い』と思われるためには、肌実感が必要。新生フラルネは年代を問わないニーズである引き締めや潤いをはじめ、全てを叶える」。

新生フラルネは、まず秋冬の需要に照準を合わせた「ライブリーライン」で構成。秋冬は寒さなどで細胞の機能が低下し、様々なトラブルを招きやすい。そこで、抗酸化作用やヒアルロン酸生成促進作用、コラーゲン合成促進作用があり、アルビオンの研究で毛細血管強化作用、ミトコンドリア活性化作用も判明した「国産たけのこ皮エキス」を配合。細胞の機能を最大限に高め、肌のポテンシャルを高める。国産たけのこ皮エキスは全商品に共通の成分だ。

ライブリーラインは乳液、化粧水、美容液、クリームを揃え、中でも乳液に力を注いだ。アルビオンの象徴と言っても過言ではないカテゴリーだからだ。原田氏は「アルビオンの1番の強みは乳液。店頭でもビューティアドバイザー(=美容部員、以下BA)が頑張って提案してくれている。近年ではアルビオンらしい肌づくりができる唯一無二のアイテムとして、マーケティング部門でも『アルビオンの乳液』への取り組みを強化しており、エントリーシリーズと位置付けたフラルネにとって『乳液』の良さが既存のお客様を含め、より多くの方に伝わるように進化させたいと考えた」と強調する。

乳液「フラルネ フルリファイン ミルク f M」

乳液のキーワードは①引き締め②オリジナルの成分③より深い所からのアプローチ――の3つだ。肌の状態は角層とそれを構築する角層細胞が左右するが、その準備段階である顆粒層に着目。アルビオンが21年4月19日に開いた沖縄研究所が初めて開発した、マデイラカズラの葉に由来する美容成分「ハートリーフエキス」を配合し、顆粒層を形成する顆粒細胞同士の結合を強め、健全な角層細胞を生み出せる状態に導き、引き締まった角層をつくる。これによって毛穴が目立ちにくく、潤いを保ち、透明感のある肌に導く。研究部沖縄研究所の中野和真氏によれば、効果検証でも毛穴の総面積が減少したという。

引き締めは新生フラルネの生命線でもある。「肌を引き締める」は老若男女を問わないキラーワードだ。原田氏は「引き締めは幅広い人に響くのではないかと考えた。かつ、乳液を使って実感してもらう。従来は柔軟とモイスチュアバランスをベースにつくってきたが、総力を結集して初めてゼロベースで処方。何度もテストして完成させた」と経緯を明かす。

ゼロベースだからこそ、過程には紆余曲折があった。「まず社内でテストするが、社員が最も乳液を使い込んでおり、厳しい。社員の要求に適うテクスチャーを維持しつつ、引き締めという新しい要素を加えなければならなかった。また、当社は研究所でつくったベースが工場で量産した際に狙った基準のものができなかった場合、全てやり直すくらい細かく調整しているが、そこに引き締めという新しいモノを足すのは、さらに難しかった」と、原田氏は振り返る。

並々ならぬ苦労の末に誕生した乳液は、ゆえに自信作だ。原田氏は「BAから『特長を紹介しやすくなった』と好評。自身で効果を実感して、お客様に伝えられる。お客様に、より伝わりやすいだろう。今年6月に開いた新生フラルネの発表会に参加した美容家らから『アルビオンの乳液って良いね』との言葉もいただいた」と期待を寄せる。

乳液は肌のタイプに合わせて「フラルネ フルリファイン ミルク f M」と「フラルネ フルリファイン ミルク f EM」の2種類を用意し、価格は110gが3300円、200gが5500円。

個性際立つアイテム群、分かりやすい特長でPR

アルビオンブランドの化粧水では「スキコン」の愛称で知られる「薬用スキンコンディショナー エッセンシャル N」や「フローラドリップ s」が確固たる地位を築いているが、フラルネの化粧水もシリーズをけん引してきたカテゴリーだ。「ハイドロボム」(うるおい爆弾)というインパクトの強い名称や「セラミド高配合」といったうたい文句が分かりやすく、支持されてきた。新生フラルネの化粧水「フラルネ ハイドロボム プラス」は、従来の「セラミドNG」に「セラミドAP」を追加。保湿成分であるセラミドを1種類から2種類に増やし、より肌を潤す。肌荒れも防止する。価格は110mLが3300円、200mLが5500円。

化粧水「フラルネ ハイドロボム プラス」

美容液はこれまで、肌の個性に合わせて3種類を販売してきた。しかし、新生フラルネの美容液は「フラルネ セラム イン トータル」のみだ。肌の密度を高め、艶やかで弾力のある肌をもたらす。40mLで価格は5500円。原田氏は「旧フラルネの『肌の個性に合わせる』という新しいアプローチは、今まで美容液を使っていなかった人に響き、BAとお客様のコミュニケーションも緊密化された。ただ、よりクリアに肌実感を伝えるために『肌のトラブルをトータルでケアできる』という意図で1つに集約した。店頭で『これだけでトラブルをケアできる』と説明できれば、お客様に伝えやすい」と話す。

美容液「フラルネ セラム イン トータル」

クリーム「フラルネ コクメルティ クリーム」には、美肌に重要な4種類の美容成分「PCA-Na」、「セラミド NG」、「ヒアルロン酸Na」「加水分解コラーゲン」をぜいたくに配合。しっとりと潤った、艶やかな肌に導く。30gで価格は6600円。「美容に関心がある人なら誰もが聞いたことがあり、かつ肌に必須の成分を配合した。肌を甘やかすような心地良く安心感のあるクリームで、コクがありながらのばした瞬間に溶け込むようなテクスチャーだが、実現するのは難しかった。かなり苦労した」と原田氏。苦労の甲斐があり、社内や発表会での評判は上々だ。

クリーム「フラルネ コクメルティ クリーム」

オールターゲット、オールエイジを追求

新生フラルネの“スタートダッシュ”を目指し、8月17日~9月30日には大規模なプロモーションを実施。単なるリニューアルではなく、新生フラルネのデビューと位置付け、「高級化粧品のエントリーシリーズ」として市場に投入する。「高級感を感じてもらえるようなキラキラと輝くパッケージを採用するなど、憧れ・期待感・価値を高める」(同社)。店頭では、乳液メインのビジュアルとともに「やわ肌タイトニング先行乳液」というキャッチーな言葉で打ち出す。

他にも、新旧フラルネの商品を5500円以上購入すると、乳液(18g)、化粧水(18mL)、コットン(12枚)のスペシャルセットをプレゼントする「早期購入特典」は過去最大級の数で購買意欲を喚起する。新生フラルネの商品や特徴、使い方などを記したパンフレットも用意した。

10月18日には、早くも新商品を打ち出す。日中用保湿クリーム「フラルネ モイストリタッチ クリーム」だ。日中の乾燥、かさつきが気になる肌を、ひと塗りで滑らかに整える。容器は小ぶりでフタの天面が鏡のようになっており、持ち運びにも便利だ。「崩れたメイクをミストやスティック状のバームで直す人が多いが、モイストリタッチ クリームなら仕事中やランチタイムに短時間で簡単に、キレイにリセットできる。付属の専用マットで固形ベースを取り、気になる部分を拭うと均一にならしてくれる。クリーム状なので、肌に水分や油分も与えられる。今までにないアイテムで、潜在的なニーズがあるのではないか。購入した人が『フラルネって他と違うよね』と思い、今後に期待してくれたら」と原田氏は展望する。

10月18日に発売する日中用保湿クリーム「フラルネ モイストリタッチ クリーム」

10月18日という時期には、再来店を促す目的もある。新生フラルネの4種類・全8品が8月17日で、2カ月後は勧誘にちょうどいいタイミングだ。しかも、モイストリタッチ クリームは既存商品と一線を画す。巧みな戦略で、新生フラルネを勢い付ける。「(アルビオンとの)出逢いのシリーズであり、年齢を問わないオールターゲットのシリーズでもある」と藤田氏。フラルネは新たな魅力を携えて生まれ変わり、重責を果たす。

(野間智朗)