2025年09月17日

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高島屋と阪急阪神百貨店、業務提携を強化 マーケット開発と社会課題解決を推進

高島屋と阪急阪神百貨店は先ごろ、マーケット開発・育成と社会・業界課題解決に関する取り組みを強化すると発表した。2009年から業務提携し、営業力強化やコスト削減などを共同で推進してきたが、取り組みを質的に深化させていく方針。両社を取り巻く環境の変化に柔軟に対応しながら、持続可能な成長と企業価値の向上を目指す。

両社は業務提携に関する委員会のもと、社長をはじめ専務、テーマにより各部門員などが年に2~3回会合を開き、営業力強化やコスト削減、ファッション分野や中元・歳暮ギフトの商品開発など共同で推進してきた。近年は廃プラスチックやフードロスの課題解決にも取り組み、SDGsの分野でも連携している。

共同の取り組みとして注力するのは、まずはMDサイクルの見直しだ。婦人衣料は顧客のニーズが「セールだから買う」ではなく「欲しいときに購入する」に変化しており、夏季も長期化している。そのため夏物商材は6月下旬から「盛夏MD」、8月中旬から「晩夏MD」とし、取引先と協業して正価販売を拡大。鮮度が高い、短期サイクルの新商材提案に挑戦した結果、この取り組みにおける正価商材の売上げは伸長した。鈍化していたセールの売上げもカバーし、前年実績を上回った。

次に「日本の地域」をテーマに、国内外へ日本文化の発信・接点の拡大に取り組む。産地と共創しながら百貨店の文化的な価値創出を具現化し、地域文化の継承や発展、地域活性化につなげる考えだ。

高島屋日本橋S.C.に出店する群馬県の妙技山の麓の「青の陶芸家:荻原将之」

今秋には、両社は共同キャンペーン「日本の美と技を未来につなぐ」を開催する。髙島屋は9月24~30日、高島屋日本橋店本館1階の正面イベントスペースでポップアップショップを開く。「日常を上質なものに」をテーマに、ものづくりにこだわるブランドや作り手の商品を紹介。大阪店では同期間、1階のグッドショックプレイスと各階対象売場で、歌舞伎の舞台背景の製作技術を用いた「CHIKIRI PROJECT」 のアート展示や、国内外で高評価される「日本の美」を現代的に進化させている人や工房を紹介する。

大阪のかばん製造メーカー4社が結集し、阪急うめだ本店8階に常設する「Same-ol’(セイムオー)」もポップアップショップを開く

阪急阪神百貨店は9月24日~10月7日、阪急うめだ本店と阪急メンズ大阪の各階対象売場で「Japan and me. この国の美に染まる」をテーマに、「素材・技」「纏う(まとう)」「暮らし」「季節を感じる旬の味」を切り口にしたモノやカルチャーを提案する。各地の地場産業や伝統工芸の担い手と共創し「with Local.」として「日本の美と技」も伝える。11月10日まで阪急うめだ本店1 階のコンコースウインドーは、岐阜県高山市の世界的左官職人の挾土秀平氏による“日本の美”から着想を得た独自の世界観を表現する。