2025年09月09日

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阪神梅田本店、「敬老の日」改め「おとなプロジェクト」始動

「スタイリングサービス&ウォーキングレッスン」は9月6・7日に開催された

阪神梅田本店は8月20日~9月16日、「敬老の日」と言わず「阪神おとなプロジェクト」という新たな名称で商戦を繰り広げている。現代のシニア層はマインドが若く、興味・関心の幅が広いことを踏まえ、従来の敬老の日商戦を見直した。シニア向けにスタイリングサービスやウォーキングレッスンを開催し、メイクやファッションアイテム、地下2階の「阪神バル横丁」で酒やグルメを楽しむ時間も提案する。

近年、同店の敬老の日のギフト商戦はマーケットが縮小傾向にあった。人生100年時代と言われる現代のシニアは、健康、美容、旅行と趣味も幅広い。「アクティブに日々を謳歌するこの世代はまだまだ元気で、敬老好適品をもらったり、敬老として祝ってもらうより、自己の成長や充実感を追及したいのではないかと考えた」と阪神梅田本店OMO販売推進部OMOマーケティング部アシスタントマネージャーの田中美波氏は語る。

敬老を祝う側も還暦・古希などの節目にギフトは贈るが、敬老の日には関心が薄いのではないかとも捉え、「阪神おとなプロジェクト」を企画した。企画を共有したスタッフの反応も良好。「従来のギフト商戦の意義と新たに注力したいマーケットなど互いのアイデアを結集してプロジェクト化した」(田中氏)。

企画はシニアの“悩み解決”、“新しい挑戦”、“趣味の充実”を切り口に取り組んだ。暮らしの中の悩み解決として、きれいになる、快適に過ごしたいシニア向けに、メイク道具やスタイリッシュなバッグを提案。新しい自分に挑戦したいシニアには、着てみたかった服や取り入れたかったメガネなどのアイテムを紹介する。趣味を充実させたいシニアには、地下2階の「阪神バル横丁」での気軽な酒やグルメの楽しみ方を指南している。

特別企画もあり、「スタイリングサービス&ウォーキングレッスン」は要予約、参加費6050円で約180分間、コーディネートから美しい姿勢へ導くレッスン、自分に合った靴の選び方までをサポートする。前半の120分は3Dボディスキャナー計測で体型やスキンカラータイプを割り出し、その結果を基にショップを回りながら似合うスタイリングを提案する。後半の60分はシューフィッターによる美しい姿勢のためのウォーキングレッスンを行う。計測機で足を測定し、自分に合った靴選びのポイントをレクチャーする。

9階「阪神大食堂」では名物イベントの「阪神かぞく写真展」が開催されている

今後については「今回は敬老の日の捉え直しでこのタイミングの実施となったが、シニア向けには自己実現というテーマのコンテンツを継続的に取り組んでいく必要があると考えている」(田中氏)。継続的に実施することで顧客からの評判にもつなげていきたい考えだ。

「ギフト」などのモノ消費から成長や充実感を得る「自己実現」といったコト消費に関心が移りつつある現代のシニア。同店の「阪神おとなプロジェクト」は、新しいマーケット開拓となりそうだ。

(北野智子)