2024年07月15日

パスワード

購読会員記事

丸広百貨店と遠鉄百貨店が相互出店

丸広百貨店川越店で26日に始まった「静岡ご当地フェア」

丸広百貨店は遠鉄百貨店と組み、川越店で「静岡ご当地フェア」を26日に始めた。1階の入口付近に構える「エンジョイスペース1」で、春華堂の「うなぎパイ」や大和養魚の「浜名湖うなぎ蒲焼」など静岡県や浜松市の名品を販売。丸広百貨店と遠鉄百貨店の社員が接客し、遠鉄百貨店のショッピングバッグも用意した。丸広百貨店は2022年から、藤崎や天満屋、福屋といった地方百貨店と組んで相互に出店しており、その輪に遠鉄百貨店も加わった。静岡ご当地フェアは7月2日までで、飯能店や入間店、東松山店、上尾店でも一部の商品を取り扱う。

川越店は26日、開店直後から商店街側の入口付近が大勢で賑わった。正面に並んだ春華堂のうなぎパイが、次々に数を減らしていく。大和養魚の浜名湖うなぎ蒲焼、遠鉄百貨店の社員が開発したオリジナルの冷凍餃子「en餃子」などにも手が伸びる。田子の月の「もなか」や菓匠あさおかの「抹茶なごみ」、丸半堀江商店の「しらす」、いしだ茶屋の「最高級煎茶 きらめき」、遠州綿紬 ぬくもり工房の「シャツワンピース」など、浜松市を拠点とする遠鉄百貨店ならではの品揃えに、来店客は熱視線を注ぐ。ご当地フェアを開催する時は、事前に特別な商品を用意して外商顧客に提案するが、その予約数は過去最高を記録したという。

丸広百貨店の思い入れも強い。開催までに約2年間を要したからだ。同社は22年9月の藤崎を皮切りに、23年9月の天満屋、福屋と協業を拡大してきたが、遠鉄百貨店とは初期から商談を進めていた。遠鉄百貨店の中村智則取締役営業部長は「ずっと声をかけていただいていたが、地元の名品を揃えるのに時間がかかった上、簡単に利益が出るわけではなく、ようやく実現した」と述懐。重ねて「先々を見据えた時に、他の百貨店との交流は社員が刺激を受けて、成長にもつながる。それが1番大きい」と期待を寄せる。

丸広百貨店の関口実取締役本店長は、売上げ以外の価値を強調する。「お客様から『過去に静岡県に住んでいた』や『静岡県に縁がある』など通常の物産展では聞けない、パーソナルな情報が出てくる。これは他のご当地フェアでも同様。これからの品揃え、店舗の方向性に生きる。ご当地フェアを通じて、地方百貨店が地元に寄り添う姿勢を学ぶと、川越店をはじめとする各店でもそれを実践できるのもメリットだ。加えて、他の百貨店との協業では当社の手法が当たり前ではないと分かり、お客様や取引先との接し方なども学べる。相互出店で他の百貨店を訪れると、その周辺のメーカーなども訪れられるため、当社の食品催事や物産展を充実化できる」。

ご当地フェアは今秋、規模を拡大する方針だ。伊藤敏幸社長によれば、藤崎、川徳、そして交渉中のもう1社との協業で“東北ご当地フェア”を開く。地域に根差した百貨店ならではのネットワークで、一般的な東北物産展とは一線を画すラインナップが実現しそうだ。1対1で組むよりも、物流などのコストも吸収しやすい。ご当地フェアは、なお進化の途上だ。

(野間智朗)