2024年11月12日

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山形屋、事業再生ADR成立 持ち株会社化で経営再建へ

経営再建に向け、一歩を踏み出した山形屋

山形屋は28日、私的整理の1つである事業再生ADRが成立したと発表した。同日開かれた債権者会議で、メインバンクの鹿児島銀行をはじめとする全17の取引先金融機関から、今後5年間の事業再生計画の了承を得た。今後は各店舗の営業を続けながら、負債の一部圧縮や持ち株会社の設置、グループ会社の再編などの計画に沿って経営再建を進める。

山形屋の金融機関への負債総額は約360億円とみられる。支援の内訳は、債務の株式化「デット・エクイティ・スワップ(DES)」が約40億円、返済が猶予される債務の劣後化「デット・デット・スワップ(DDS)」が約70億円とされ、計110億円ほどの債務負担を軽減する。

事業再生計画は、経営の効率化に向けた組織の見直しや財務基盤の強化を柱とする。まず6月中に、持ち株会社の山形屋ホールディングスを新設する。岩元純吉会長と岩元修士社長が経営陣として入るほか、鹿児島銀行やルネッサンスキャピタルなど外部から役員を受け入れ、ガバナンスを強化する。8月には、別会社で運営している鹿児島県内の山形屋の店舗と関連会社を統合する。さらに、今期中に店舗のリモデルや顧客向けアプリの導入などの業務改革にも着手し、新規顧客の獲得につなげる。2029年2月期決算でグループ売上高720億円、営業利益16億円を目指し、連結営業利益率は現状の0.5%から2.3%にまで引き上げる。

山形屋は自社のウェブサイトに「当社グループ役職員が⼀丸となって、これまで以上に地域社会の発展、そしてお客様の豊かな暮らしの実現に貢献できるよう本事業再生計画の遂行に取り組んでまいります。お客様・お取組先の皆様につきましては、引き続き変わらぬお引き立てのほどよろしくお願い申し上げます」(原文ママ)とした。

現状、各店舗の閉鎖や従業員の早期退職、リストラは行わない方針だ。

山形屋、私的整理へ