2024年02月29日

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日本SC協会、23年上期は18SCが開業 コト・トキ消費を強化

3月にグランドオープンした「東京ミッドタウン八重洲」

一般社団法人日本ショッピングセンター協会は先ごろ、「2023年度夏季定例記者懇談会」を開き、23年上期(1~6月)のSC業界の動向、23年下期(7~12月)のオープン予定のSCなど商業施設、協会創立50周年事業の取り組み内容などを発表した。

23年上期のオープンSC(速報)は前年上期より1SC少ない18で、立地は中心地域が2、周辺地域が16。1SC当たりの店舗面積は平均で1万6919㎡、1SC当たりのテナント数は平均で53店舗となる。ビル形態別では商業ビルが15SC、複合ビルが1SC、そのほかが2SC。オープンSCのテナント数業種別構成比は、衣料品17.6%、食物販9.9%、そのほか物販35.9%、飲食18.7%、サービス18.0%となる。このテナント数業種別構成比において、食物販の9.9%は前年上期(15.2%)より5.3%シェアが落ち、35.9%のそのほか物販は前年上期(30.9%)より5ポイントシェアを上げた。

23年上期にオープンしたSCは、1月に開業した「住友不動産 ショッピングシティ羽田エアポートガーデン」(ディベロッパー住友不動産、店舗面積7500㎡)でスタートを切り、3月に海老名市に「VINA GARDENS PERCH」(小田急電鉄・小田急不動産、約2164㎡)、東京駅八重洲口駅前に「東京ミッドタウン八重洲」(三井不動産・東京ミッドタウンマネジメント、5500㎡)、福岡県中間市に「イオンなかま店」(イオン九州、6017㎡)、大阪府交野市に「tonarie星田」(日本エスコン・MIRARTHホールディングス・エスコンプロパティ、6987㎡)、埼玉県草加市に「TOBU icourt(トーブ イコート)」(東武鉄道、2693㎡)がオープンしている。

4月には7SCがオープンしている。6万㎡を上回る規模で「イオンモール豊川」(イオンモール、6万3000㎡)と、同じ建物内に2業態が複合した「三井ショッピングパークららぽーと門真・三井アウトレットパーク 大阪門真」(三井不動産・三井不動産商業マネジメント、6万6000㎡)が開業。

そのほか、4月には静岡県湖西市に「イオンタウン湖西新居」(イオンタウン、5233㎡)、中三青森店跡地に官民連携で開発された「THREE」(新町街づくり・MiK、1万6885㎡)、熊本パルコ跡地に「HAB@熊本」(パルコ、2802㎡)、群馬県吉岡町に「ジョイホンパーク吉岡」(ジョイフル本田、3万5725㎡)、神奈川県平塚市に「THE OUTLETS SHONAN HIRATSUKA」(イオンモール、3万3000㎡)が開業した。大阪府門真市の2業態複合型商業施設やTHE OUTLETS SHONAN HIRATSUKAにみられるように、近年のアウトレットモールは飲食やエンターテインメントなどコト・トキ消費の機能を強化する動きがみられ、加えてデイリー需要の取り込みも強めている。

5月は岩手県盛岡市に「アクロスプラザ盛岡」(大和ハウスリアルティマネジメント、9115㎡)と、静岡県富士宮市に「アクロスプラザ富士宮」(大和ハウスリアルティマネジメント)の2SC。6月は仙台駅前に「ヨドバシ仙台」(ヨドバシ建物、2万4779㎡)、八王子市に「フォルテ八王子」(ベルク、6331㎡)、福岡市東区に「ハローパーク千早」(ハローデイ、2948㎡)がオープンした。これら18SCを合わせた店舗面積合計は、30万4535㎡に上った。

約8.1ha(開発区域面積)の広さの街が今秋完成する「麻布台ヒルズ」

日本ショッピングセンター協会では、23年下期に15の商業施設がオープンすると予想している。その15施設とは東京都が「Shibuya Sakura Stage」(ディベロッパー渋谷駅桜丘口地区市街地再開発組合・東急不動産、店舗面積約1万5200㎡)、「麻布台ヒルズ」(森ビル、虎ノ門・麻布台地区市街地再開発組合、約2万3000㎡)、「JIYUGAOKA de aone(自由が丘 デュ アオーネ)」(イオンモール、約4900㎡)の3つ。

11月に竣工(24年夏にまちびらき)する「Shibuya Sakura Stage」

大阪府は「イオンタウン守口」(イオンタウン、5130㎡)と「イオンタウン松原」(イオンタウン、2万5895㎡)、北海道は「BiVi新さっぽろ」(大和リース、8162㎡)と「COCONO SUSUKINO」(東急不動産ほか、6185㎡)、福岡県は「ゆめタウン飯塚」(イズミ、3万500㎡)と「えきマチ1丁目折尾」(九州旅客鉄道、約3800㎡)、広島県が「フレスポ三次プラザ」(大和リース、4718㎡)と「ゆめテラス祇園」(イズミ、約7000㎡)となる。

そのほか、下期は「京都髙島屋S.C.」(東神開発・髙島屋、約6万5000㎡)、「三井ショッピングパークららテラスTOKYO-BAY」(三井不動産、約8200㎡)、「イオンモール横浜西口」(イオンモール、約2万㎡)、「そよら浜松西伊場」(イオンリテール、4957㎡)の開業が挙がっている。

今回の懇親会には、第9回日本SC大賞を受賞した「新静岡セノバ」(以下セノバ)を運営する静鉄プロパティマネジメント社長の小坂征広氏と、第7回地域貢献大賞を受賞した「SAKURA MACHI Kumamoto(サクラマチ クマモト)」(以下サクラマチ)を運営する九州産交ランドマーク社長の渡邉晋司氏がゲストで登場。小坂社長はセノバが挑戦している取り組みについて、渡邉社長はサクラマチが取り組んでいる地域連携イベントや施設の災害対策について語り、受賞に結び付いた特徴的な取り組みが紹介された。


〇静鉄プロパティマネジメントの小坂征広社長

まず最初の事例が「トライ!はたらく時間プロジェクト」です。これはセノバで働くショップスタッフのクオリティー・オブ・ライフの向上、楽しく・長く働き続けられる環境づくりを推進し、スタッフの元気がお客様や地域へ波及していくことを目的とした取り組みです。この取り組みでトライしている1つが営業時間フレックスタイム制度で、11~19時までを営業コアタイムとし、前後1時間の開店閉店は各店任意で選択できる制度。2つ目のパワーチャージ休暇制度はセノバの全館休館日年間3日に加え、福利厚生を目的とした休暇を年間で最大2日、店舗ごと希望日に取得可能となります。3つ目は一部ゾーンの飲食・食物販店舗の営業時間を短縮し、集客状況に応じた営業を実施していること。

「起業のつばさプロジェクト」は、私どもセノバが新規出店を考える地元の起業家を公募し、その起業家のパートナーとして次世代に活躍する静岡発ショップ経営者の発掘と育成。また、地域の起業文化のさらなる醸成を図り、地域経済の活性化につなげる取り組みとなるもの。セノバ地階でチーズピゲというクッキーチーズサンド専門店が営業されていますが、この店はこのプロジェクトを通じて初めて商業施設に参画され、今や静岡を旅立ち、東京、埼玉へ出店するまでに成長されています。

「セノバ保育園」については、主にセノバで働くショップスタッフのお子様を対象にし、現在30名のお子様をお預かりしています。今年度から病後保育を開始したのに加え、第2子からは無償化しました。次は「静岡合宿」で、これはセノバが主催となり、全国のSC社員を対象に静岡に集結していただき、各SCの垣根を越えて全国レベルでつながりを構築していただく勉強会。今年もすでに2回開催しており、参加いただいているSCは、北は北海道から南は九州と全国に広がりました。

最後の事例は開業10周年を機に取り組んだセノバのタグライン「晴れる方角(ほう)へ」の制定です。そのブランドステートメントは、「もっと、あなたの暮らしを『晴れる方角へ』、もっと、この街の未来を『晴れる方角へ』、これからも新静岡セノバはあなたを乗せて進みます。静岡の空を『晴れる方角へ』」です。さらにこの晴れる方角は社員の行動指針とし、行動するときには頭を上げ、その先に見える晴れる方角に向かって前進していくという攻めのスタンスを表現したものになります。

〇九州産交ランドマークの渡邉晋司社長

サクラマチが位置するのは熊本城のちょうど真下位の徒歩圏にあり、バスセンターを内包し、地域の防災拠点としての役割を担い2019年9月にオープンしました。ホテル・住宅棟、公益施設棟と商業棟からなり、所在地である桜町を店名とし、屋上には4000坪ほどの植栽を配しており、そのうち200本程度桜の木を植栽してあり春には桜が満開となります。

実は開業して4カ月後にはコロナ禍でテナントの3分の2以上がシャッターを降ろす事態となりました。

地域の皆さんと何か元気になれるようなことができないかということで、まず実施したのが熊本高校とNTT西日本とによる「おもいこみデザイン展」、地元のタウン誌と協賛してパネル展を開いた「熊本県高校総体写真展」、ヤクルト球団にも協力を得て実現した「村上宗隆選手写真展 三冠王への軌跡」などです。

サクラマチならではのイベントでは、約2000坪ある屋上での「まちなか星空観賞会」。それと熊本が目指している殺処分ゼロに協力したいと思い「犬猫の譲渡会」イベントも始めました。ほかにも「シャボン玉ショー」や「まちなかウォーターパーク」などもあります。また、イベント売上げの一部を熊本城の復興に充てる「アイドルマスター シンデレラガールズ×熊本城復興応援プロジェクト」があり、熊本でハマグリの偽装問題が起き、その後消費が回復しない。何とか回復のきっかけになる手助けになりたいと思い、地元漁師さんと一緒になって「熊本県産ハマグリ応援販売会」も開きました。

実はこれら一連のイベントは、弊社スタッフが100%といっていいくらい知恵を絞り、手づくりでつくり上げているもの。広告代理店を利用せず、自ら企画から実行し運営しているもので、手前勝手に陥りやすいイベントに、NTT、バンダイといったトップを走られている会社の御意見をいただきながら進めています。

サクラマチ建築中の2016年に熊本地震があったのを踏まえ、サクラマチはハード・ソフトの両面から耐震性をより強化し、災害時3日間1万1000人の一時帰宅困難者を受け入れる環境を整えました。ソフト面でも災害時には商業施設であれば食品売場の店頭在庫品の配布、ホテルは高齢者・HCPなど避難弱者を優先した受け入れ体制、バンケットは厨房を利用した炊き出しの実施、バスターミナルは仮設トイレの設置やバスによる緊急輸送体制の整備など、防災・減災機能を強化しました。我々は地域の皆様の拠り所になり、地域になくてはならない存在になることを目指しています。


協会創立50周年を迎えた日本ショッピングセンター協会は、協会創立50周年記念写真集「人とまちと時代をつなぐ」を制作した。同写真集では100を超える貴重なSCの写真と年表で、日本のSCの歩みを年代ごとに振り返るほか、SCの発展に影響を与えた3つの大災害に注目し、SCの災害対応・復興の取り組みなどを紹介する。主なコンテンツは、1960年代以前~2000年代の「SCの歩み」と2010年代以降の「観光立国とSC」、「ミクストユース開発」、「食ゾーンの多様化」、「ウェルネス&グリーンアーキテクチャー」の4つの特徴を掲載。「FOCUS」では、SCの発展に影響を与えた3つの大災害である阪神・淡路大震災、東日本大震災、新型コロナウイルス・パンデミックを紹介している。

月刊誌「SC JAPAN TODAY」でも50周年特集を組み、5月号でメッセージ「協会50周年に寄せて」、6月号で解説「ショッピングセンターのあゆみと今日」、7・8月合併号でSC創造図「2040年ごろのSCはこうなる!?」、スペシャル座談会➀「SC開発ストーリー『テラスモール湘南』」、スペシャル座談会②「若手・中堅ディベロッパー社員が描く『ミライのSC』」を掲載している。SC JAPAN TODAYには、23年12月号まで毎号、業界関係者による寄贈やスパシャル座談会の記事を掲載していく予定。

現在、日本ショッピングセンター協会はSCビジネスフェア2024の共催イベントとして、ショッピングセンターの未来を創造するビジネスコンテスト「チャレンジピッチ2024~NEXT SC~」への事業提案者を募集している。募集テーマ1は新たな価値を提供する売場提案となる「新商品・新業態」、募集テーマ2は買物利便性につながる提案となる「新マーケティング・新サービス」、募集テーマ3がSC運営のイノベーション提案となる「ディベロッパービジネスの革新」。

応募資格は、学生、スタートアップ、企業内ベンチャーなど幅広く、10月31日まで公募する。選考基準は、新しい価値の創出を意識したビジネスプランであることと、将来性・実現可能性が高いこと。1次選考(エントリーシートによる書類選考)で1テーマにつき2組が選考され、24年1月25日の「SCビジネスフェア2024」の会場であるパシフィコ横浜でピッチコンテスト(決勝大会)が開かれる。ピッチコンテストには1次選考で選出された6組が登場し、賞金総額は100万円などとなる。

(塚井明彦)