2024年12月15日

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全国で200m超の高層ビルが続々と 東京駅周辺に日本一の約390m

東京駅周辺で一番高いビルとなった「東京ミッドタウン八重洲」(高さ約240m)

東京駅周辺には高さ100m以上の高層ビルが林立している。商業ゾーンTOKIAがある「東京ビル」、KITTE丸の内がある「JPタワー」、開業20周年を迎えた「丸ビル」と開業15周年を迎えた「新丸ビル」、「日本生命丸の内ビル」、ショップ&レストランがある「丸の内オアゾ」、「サピアタワー」、「丸の内トラストタワー本館」、「鉄鋼ビルディング」、大丸東京店が入る「グラントウキョウノースタワー」、「グラントウキョウサウスタワー」、「パシフィックセンチュリープレイス丸の内」などである。

これらの中で、200m超の超高層ビルはJPタワー(高さ200m)、グラントウキョウノースタワー(同205m)、グラントウキョウサウスタワー(同205m)の3つ。ここに今年3月「東京ミッドタウン八重洲」(以下ミッドタウン)が仲間入りした。オフィスフロア、ブルガリホテル東京のほか、低層部に商業ゾーンやバスターミナルなどがあるミッドタウンはビルの高さが約240mで、東京駅周辺で1番高いビルとなった。ちなみに八重洲エリアには同時期(2023年1月)、ミッドタウンのすぐ隣に「YANMAR TOKYO」(地下3階~地上14階建て)が建て替えオープンしている。

ミッドタウンの両隣りで進む再開発事業では、200mを超える超高層ビルが2棟建つ予定だ。八重洲通りを挟んで建設中の「東京駅前八重洲一丁目B地区市街地再開発事業」で竣工するビルは、地下4階~地上51階、高さ約250m。東京ミッドタウン八重洲の隣り、有楽町側で進むのが「八重洲二丁目中地区第一種市街地再開発事業」。八重洲一丁目B地区では鉄骨が立ち上がっているが、八重洲二丁目中地区は街区一帯が囲われ解体が始まり、地下3階~地上43階、高さ約227mの超高層ビルが建つ。

ミッドタウンの地下にあるバスターミナルがミッドタウンと同時開業したが、八重洲一丁目B地区にも八重洲二丁目中地区にも整備され、それらが一体となって国内最大級のバスターミナルが誕生する計画となっている。

日本一の高さになるTOKYO TORCHの「Torch Tower」は、高さ約390m(イメージ)

東京駅日本橋口前で開発が進む「TOKYO TORCH」にも2つの超高層棟が誕生する。1棟は21年6月に竣工した高さ約212mの「常盤橋タワー」。そして日本橋ビルディングと朝日生命ビルが解体になり、ここに完成するのが延床面積約54万4000㎡、地下4階~地上63階、高さ約390mの「Torch Tower」となる。常盤橋タワーのオフィス主体に対し、Torch Towerは展望施設・ホテル・オフィス・ショップ&レストラン・ホールなどを有する複合型となる。

高さ約284m(C街区)のビルが建つ「日本橋一丁目中地区第一種市街地再開発事業」(イメージ)

超高層ビルは日本橋エリアにも登場する。日本橋エリアで動き出す5つの再開発事業は、TOKYO TORCHの隣りの「八重洲一丁目北地区」、その隣りが「日本橋一丁目1・2番地区」、中央通りを挟んでコレド日本橋裏側で開発が進む「日本橋一丁目中地区」、その隣りが昭和通り沿いと日本橋川沿いにかかる広域開発(区域面積約3.6ha)での「日本橋一丁目東地区」、そして「日本橋室町一丁目地区」となる。

いずれの再開発事業も日本橋川沿いに面しており、首都高速道路の地下化の実現を見据え、日本橋川を施設に生かした街づくりが計画されている。日本橋川再開発で先陣を切る日本橋一丁目中地区の場合は、空と川に開かれた街づくりで日本橋川を臨むテラス、デッキ、賑わいを創出する複数の広場などが設けられる。八重洲一丁目北地区では、日本橋川交流拠点の象徴となる立体広場や、日本橋川沿いの水辺空間入口となるゲート広場の整備が計画されている。

これら5つの日本橋川沿い再開発事業の中で、高さ200m超の超高層棟が計画されているのが3つの開発事業。すでに解体工事が進んでいる日本橋一丁目中地区で超高層棟となるC街区は、地下5階~地上52階、高さ約248m。日本橋一丁目東地区がA街区(地下4階~地上40階)の約240mと、B街区(地下3階~地上52階)の約225mの2棟。八重洲一丁目北地区が南街区(地下3階~地上44階)の約217mとなる。日本橋一丁目1・2番地区は1番高いA街区が約140m、日本橋室町一丁目地区は1番高いA地区が約180mの高さだ。

浜松町ビルディング建て替え(芝浦一丁目プロジェクト)で、高さ約235mのツインタワーができる(イメージ)

浜松町駅西口駅前では、「浜松町二丁目4地区」と「浜松町二丁目地区第一種市街地再開発事業」が進む。浜松町二丁目4地区は6棟のビルが建設される大規模プロジェクト。すでに「日本生命クレアタワー」(高さ約155m)と「世界貿易センタービルディング南館」(同約197m)が竣工した。今後「世界貿易センタービルディング本館」をはじめ、モノレール棟、ターミナル棟が建設され、東京モノレール浜松町駅舎が竣工する29年度に街が完成する。

浜松町のランドマークとなってきたのが「世界貿易センタービルディング」。1970年に竣工した同ビルディングは国内で2番目に誕生した、高さ約162mの超高層ビル。21年6月に閉館となり、今春解体された。その跡地などに開発されるのが、世界貿易センタービルディング本館だ。その規模は地下3階~地上46階、高さは235mで、ホテル、オフィス、医療、子育て支援機能などで構成される。世界貿易センタービルディング南館隣りで建設中の「浜松町二丁目地区第一種市街地再開発事業」では、地下2階~地上46階、高さ185mのタワーレジデンスが24年11月に竣工予定だ。

浜松町・竹芝エリアには20年9月に開業した「東京ポートシティ竹芝」のオフィスタワー(地下2階~地上40階、高さ約208m)があり、高さは200mを超える。次に誕生する200m超の超高層ビルは、芝浦一丁目で進行する浜松町ビルディング(東芝ビルディング)のツインタワーへの建て替えで、「S棟」(地下3階~地上43階、高さ約235m)が25年2月に竣工予定。同建て替え事業ではS棟と「N棟」(地下3階~地上45階、高さ約235m)が建てられ、N棟については世界貿易センタービルディング本館(26年度竣工予定)に続き、30年度の竣工が予定される。

港区の虎ノ門、赤坂、麻布、六本木などのエリアでも、いくつもの再開発事業が進む。同エリアで今秋最も注目されるプロジェクトとなるのが、街全体が完成する「虎ノ門ヒルズ」と「麻布台ヒルズ」。森ビルは細分化した土地を取りまとめて大きな敷地を生み出し、そこに超高層建築を建て、足元には緑豊かで広大なオープンスペースを創出。住む、働く、学ぶ、憩うなど、多様な都市機能が徒歩圏内に整備する「立体緑園都市(ヴァーティカル・ガーデンシティ)」を虎ノ門ヒルズと麻布台ヒルズでも実現させた。

虎ノ門ヒルズには10月6日に開業する高さ266mの「虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」が加わり、4つの超高層タワーが出揃う。4つのうち3つまでが200mを上回る超高層タワーとなる。これにより全体が完成する虎ノ門ヒルズは開発区域面積約7.5ha、延床面積約79万2000㎡、店舗面積約2万6200㎡、緑化面積約2万1000㎡のスケールとなる。

「麻布台ヒルズ」の全景、「麻布台ヒルズ森JPタワー」は約330mの高さ

麻布台ヒルズは、11月24日に開業すると200m超の超高層タワーが3棟誕生する。中でも「麻布台ヒルズ森 JPタワー」は、約330mの高さを誇り日本一高いビルとなる。麻布台ヒルズ全体の規模は、開発区域面積約8.1ha、延床面積約86万1700㎡、店舗面積約2万3000㎡、緑化面積2万4000㎡。

これに六本木ヒルズ、アークヒルズを合わせたヒルズエリア全体では、オフィスの全体面積が約98万2000㎡、約640店舗、約4440戸の住宅が集積される模様。森ビルの立体緑園都市づくりはさらに続き、六本木ヒルズに近接した広大な区域面積で「六本木五丁目プロジェクト」の街づくりにも乗り出す。

首都圏以外の都市では名古屋や札幌などで、200m超のビルが建設される再開発が計画。名古屋ではジェイアール名古屋タカシマヤが入る「JRセントラルタワーズ」が99年12月に竣工したのを皮切りに、2000年代に入って高層ビルの竣工が相次いだ。

06年9月に「ミッドランドスクエア」、07年1月に「名古屋ルーセントタワー」(地上40階建て、高さ約180m)、08年3月に「モード学園スパイラルタワー」(36階建て、同約170m)、15年10月に「大名古屋ビルヂング」(34階建て、同約175m)、15年11月に「JPタワー名古屋」(40階建て、約195m)、16年7月に「シンフォニー豊田ビル」(25階建て、約115m)、17年3月に「JRゲートタワー」、21年1月に「名古屋三井ビルディング新館」(20階建て、同約100m)と続いた。

これらの高層ビルの中で、高さが200mを超えるのはJRセントラルタワーズで、51階建てのオフィス棟が約245m、53階建てのホテル棟が約226m。ミッドランドスクエアのオフィス棟が地上47階建てで、高さが約247mあり、名古屋で最も高い。タカシマヤゲートタワーモールが居を構えるJRゲートタワーは、高層棟と低層棟からなり、高層棟(46階建て、約220m)が200mに達している。

これら一連の高層ビルは名駅に竣工したものだが、栄エリアでも再開発事業が動き出した。建て替え事業が進む中日ビルは24年春、「新中日ビル」(地下5階~地上33階、高さ約158m)が全体開業するのをはじめ、名古屋最大の繁華街である錦三丁目に「(仮称)錦三丁目25番街区計画」が着工。地下4階~地上41階、高さ約211mの高層複合タワーが誕生する(26年夏頃開業予定)。

30年度の北海道新幹線延伸を控える札幌市の中心部でも、再開発ラッシュが起きている。72年の札幌オリンピック前後に建設された、多くのビルが老朽化を迎えたことも一因だという。挙がっている再開発事業は、JR北海道グループと札幌市による「(仮称)北5西1・西2地区市街地再開発事業」や、西武百貨店札幌跡地などに開発される「(仮称)札幌駅南口北4西3地区第一種再開発事業」、札幌市中央区の「(仮称)札幌北1西5計画」(工事期延期)、ヒューリック札幌ビル建替え(「ヒューリックスクエア札幌」)などだ。

ほかにも、道銀ビルディング・新大通ビルディングの一体建て替え開発、北陸銀行跡地に開発する「ほくほく札幌ビル」、丸井今井一条館近くに建て替えオープンする新複合施設「IKEUCHI GATEビル」(22年10月第1次オープン)、すすきののススキノラフィラ跡地の大型複合施設「COCONO SUSUKINO」(今秋開業予定)が控える。狸小路そばには今年7月、マンション、オフィス、商業施設、都市型水族館からなる複合型再開発ビル「モユクサッポロ」が開業した。

一連の再開発事業の中で、高さ200m超の再開発ビルが建つのが「(仮称)北5西1・西2地区市街地再開発事業」で、その規模は延床面積約38万8500㎡、地下4階~地上43階、高さは約245m。これによりJRタワーと合わせ2つの高層複合ビルとなる。JRタワー(地下3階~地上38階)は高さが約173mで、新高層複合ビルは約72mも高くなる。ヨドバシカメラホールディングスが代表企業となっている「(仮称)札幌駅南口北4西3地区第一種市街地再開発事業」でも地下6階~地上35階、高さ約200mの複合ビルが計画されている。

高さ200m以上の既存超高層ビル表

(塚井明彦)