2024年12月15日

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移動スーパー「とくし丸」、雑誌を創刊

とくし丸の販売パートナーが高齢者と1対1で対面販売する

移動スーパーの「とくし丸」は8月1日、雑誌「ぐ~す~月刊とくし丸」を創刊する。現在、とくし丸の全国稼働台数は1100台を超え、約17万人の顧客に商品を届ける。提携するスーパーは141社に上り、店舗数は2500店舗を超え、3600カ所以上のネットワークを形成。従来の雑誌にはない独自の流通網で、偶数月の1日に発行する。新雑誌は移動スーパーと提携スーパーに足を運ぶ顧客を読者対象とし、「楽しめる雑誌」にすることを編集方針に据える。創刊号の発行部数は4万部で、定価280円(税込み)となる。

スーパーの大型化&郊外化で近所のスーパーが撤退し、日常の買物に不自由している人たち、いわゆる「買物難民」は、全国に約825万人もいるといわれている。その大半は高齢者だ。移動スーパーとくし丸は「買物」という行為は生活の中の「楽しみ」であると考え、シニアの人達が現物を「見て・触って・感じて・選んで」本来の買物ができるようにと誕生した。

1100台以上のトラックが全国を走る移動スーパー「とくし丸」

とくし丸の対象顧客は、車の運転ができない、近くにスーパーなどの生鮮食料品店がない、店はあっても足が悪くて歩けない、重い荷物を持って帰れないといった買い物困難者。メイン顧客は70代・80代の女性で、週に2回程度訪問し、その都度販売パートナーが一人ひとりと目を合わせ、会話し、商品や情報を届ける。「おばあちゃんのコンセルジュ」を目指し、販売パートナーが厳選した生鮮品を含む約500品目、1000~1200点の商品を対面で販売する。

ぐ~す~月刊とくし丸の編集人でもあるとくし丸取締役ファウンダー・新規事業担当の住友達也氏は、今回の創刊についてこう語る。「とくし丸の全国稼働台数が1100台を超えるまでになり、1台平均150人としておよそ17万人となった。3日間でお客様全員と顔を合わせて会話できるネットワークが確立でき、創業当初から言い続けていた『とくし丸はインフラでありメディアである』という表現が現実となり、この唯一無二のネットワークを活用できる雑誌の創刊を決めました」。

加えて「もちろん読者対象はとくし丸のお客様と、とくし丸予備軍ともいえるスーパーの店頭にお越しの高齢者の皆さん。デジタル化がこれだけ進む中、あえてアナログ雑誌を立ち上げるのは、これから数年のうちに団塊世代の方々が大きな波となってとくし丸の顧客対象になってくるからで、この方々に向けて生きがいや楽しさをお届けできる雑誌をつくりたい。そして、とくし丸に関わる皆さんの店舗の付加価値を高めるのにお役に立ちたいと考えました」。

雑誌や書籍がなかなか売れない時代に創刊を決めた大きな理由の一つが「プッシュ型」の雑誌販売ができること。とくし丸の場合、店頭に並べて雑誌を販売するのでなく1対1の対面販売。とくし丸の販売パートナーが「雑誌が出たよ」「面白い雑誌だよ」「今月号にはこんな記事が載ってるよ」と話しながら届けられるのが大きな強みとなる。加えて販売パートナーは販売だけにとどまらず、取材、撮影、ネタ提供してくれる現地ライターを募り取材ネットワークづくりも担う。

雑誌の内容は読者参加型のページを充実させ、高齢者が最も望む「承認欲求」の受け皿となることで、孤独感や孤立感の解消に役立つ媒体を目指す。また、これから確実に社会問題化するとみられる高齢者の性の問題にもスポットを当てていくという。

(塚井明彦)