2024年07月18日

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ルックの「キース」、今春夏はオリジナリティの追求を発信

「キース」の23年春夏は、英国の美しい競馬場をロケーション。国王エドワード7世が“レースを取り入れたガーデンパーティー”と呼んだ楽しさを表現する

ルックの「キース」は今春夏、英国のサセックス州にある競馬場「グッドウッド」の世界観をテーマにコレクションを展開する。グッドウッドは「グロリアス・グッドウッド」と称され、紳士淑女が集まる華やかな社交場として知られる。女性騎手が出場する「マグノリアカップ」にインスパイアを受け、洗練されたオリジナリティのあるアイテムを打ち出す。地球環境に配慮した新たな取り組みも推進。ブランド価値の向上を目指し、商品への付加価値とともに訴求する。

馬具のハーネスをスカーフ調にパネルプリントしたアイテム。シックな装いにもインパクトが加わる

商品数は計65SKUを揃え、4月初旬からコレクションテーマを体現するアイテムを投入する。馬具のハーネスをパネルプリントしたニットのトップスとスカートは、クラシックかつモダンな印象を与える。セットアップでの着こなしはオケージョンに対応し、ジャケットを合わせて通勤やビジネスシーンにも応用できる。

「ヴィクトリア&アルバート博物館」との協業は2019年からスタート。博物館が所有する膨大なテキスタイルコレクションの中から、使用する生地を選んだ

ロンドンにあるヴィクトリア&アルバート博物館とコラボレーションした、ニットジャカードのトップスも登場する。博物館から提案された何十種類もの柄の中からセレクトしたのは、1930年代のドレス生地。馬のモチーフがモノクロで描かれたアールデコ調の柄は、ユニークな存在感を放つ。オープンカラーと襟付きの2種類のデザインを用意。英国の伝統ある乗馬レースの歴史を感じさせるアイコニックなアイテムとして打ち出す。

5月中旬には、刺繍やレースなどディテールにこだわったトップスと、ギンガムチェックやストライプのトラディショナルな柄のドレスなどがラインナップ。昨年展開したボウタイの付いたニットトップスは、生地を厚くして改良。透け感を緩和し、アクセサリーの引っ掛かりで生地が傷むのを防ぐ。

6月初旬からは、1枚で様になるリバティプリントのワンピースをはじめ、綿素材の軽やかなシャツやブラウスを投入する。今年の夏向けの商品は、昨年と比べて大幅に構成を変更した。昨年は落ち着いた秋らしいカラーをメインに、袖を5分丈から7分丈にしたアイテムを充実させた。シニアマーチャンダイザーの浅沼剛志氏は「9月までの販売を見据えていたものの、動きがよくなかった」と振り返る。今年は7~8月で売り切ることを目標に、夏らしい季節感を重視。明るいカラーとジャストサイズを意識した商品構成で臨む。

「Meadow(草原)」をモチーフに展開するアイテム群。野生植物の保護や、地球環境問題を考えるきっかけづくりとして展開する

7月には、ブランド初の試みとして、自然環境の保護をサポートする取り組みを行う。野生の草花が生育する草原を守り、増やしていく活動を啓蒙する英国の「National Meadows Day」。2015年にスタートし、毎年7月の第1土曜日に英国全土でイベントが催される。これにインスピレーションを得て、リバティ社の野花をモチーフにしたプリントワンピースやブラウス、前面にイベント名を配したTシャツなどを取り揃えて販売する。売上げの一部は、英国の自然保護団体「Plantlife:The Wild Plant Conservation Charity」に寄付される。

同ブランドは、こうした環境問題の解決につながる取り組みを進めており、積極的に打ち出していく方針だ。今年は「J∞QUALITY認証商品」を毎月展開。製造現場における違法労働や人権問題の是正に寄与し、消費者に「安心・安全なものづくり」を行うブランドであることをアピールする。そのほか、スペアボタン用の袋やロックス(商品に値札をつけるループ具)などの副資材を、環境に配慮した素材に変更する。

資材の価格高騰や輸入コストの上昇により、価格設定は昨年より上げざるを得ない状況だという。しかし、「これまでは過度に『安くしなければ』と、価格にとらわれていたのかもしれない」(浅沼氏)と分析する。オリジナリティや質の追求で商品力を上げ、社会課題への取り組みに参画することで発信力を上げる。浅沼氏は「キースにしかできないものをつくっていきたい」と、力を込めた。

(中林桂子)