2022年07月07日

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【連載】ジェイアール名古屋タカシマヤ、コスメティックカウンターで顔タイプ診断 リアル店舗の魅力を提供

※「顔タイプ診断🄬」は一般社団法人日本顔タイプ診断協会の登録商標です

‟顔タイプ診断”が百貨店に広まり始めている。昨年8月に伊勢丹新宿本店が自社アプリ「三越伊勢丹リモートショッピングアプリ」で、9月にジェイアール名古屋タカシマヤが化粧品売場で導入。顔の形やパーツの比率から8つのタイプに分類する同診断は、客の個性にフォーカスしたサービスを実現すると同時に、複数の商品カテゴリーに跨る「横軸」の提案も可能にする。両店に、サービスを取り入れた成果と今後の展望を聞いた。

《連載》コスメティックカウンターで「顔タイプ診断」 後編 ジェイアール名古屋タカシマヤ

ジェイアール名古屋タカシマヤは昨年9月、3階化粧品売場の「コスメティックカウンター」で顔タイプ診断を導入。顔タイプに合う商品を紹介したり、メイクの方法をレクチャーしたりして、実店舗でしか体験できない‟買い物の楽しさ”を提供する。無料で利用できることもあり、予約の開始と同時にすぐに埋まってしまうほどの盛況ぶりだ。若年層を中心に幅広い層が利用し、新客を取り込むきっかけにもなっている。

同店のコスメティックカウンターは以前から、コスメにまつわる無料のカウンセリングサービスを用意し、実店舗の魅力向上に努めていた。「お肌測定コース」、「ファンデーションコース」、「ポイントメイクアドバイスコース」、「パーソナルカラーアドバイスコース」などがあり、いずれも好評を博している。

顔タイプ診断サービスの導入は、2020年の春に動き出した。同年に開業20周年を迎えたことから、新しい切り口のアプローチを検討し、顔タイプ診断に着目。「似合うメイクを理論的に理解し、顔に付けて効果を実感することで、お客様の高揚感は高まる。店頭での買い物の楽しさに繋がると考えた」と化粧品売場担当グループマネージャーの駒田剛士氏は語る。店頭で行うことで、商品の色や質感が伝えやすいというメリットもある。

さらに、顔タイプ診断は似合うファッションや髪型も導き出すため、ファッションなど他の売場との相性も良い。「百貨店は、洋服、靴、アクセサリーなど、文字通り『百貨』が揃うことが強み。化粧品を起点に、他の売場への波及も期待できる」(駒田氏)。

サービスは、1回につき約70分。客の顔をどのタイプか診断した後、似合うメイクや、なりたいイメージのアドバイスを行う。同店が擁する約80ブランドの中から、客の要望に合うような商品を選び、メイクのテクニックをレクチャーする。これほどのボリュームを揃え、ブランドの垣根を超えた提案ができるのは大きな強みであり、特定のブランドに寄らず、客が満足できるものを提供できるような接客を心掛けているという。メイクが中心だが、似合うファッションテイストや髪型の提案も行う。

客の顔タイプを、8種類から診断。現在は感染対策を講じながら行っている

サービスのスタート以降、予約の受付を開始すると、すぐに埋まってしまうほどの人気が続いている。20代の客を中心に幅広い年齢層が利用し、顧客接点の創出に成功した格好だ。客からは「自分に似合うものを教えてほしい」という要望が多く寄せられる。「今はSNSなどから様々な情報が入ってくるが、逆に、本当に自分に似合うものを探すのが難しくなっているため、こうしたサービスのニーズが根強いのだろう」と駒田氏は指摘する。

さらに「顔タイプ診断の考え方は、理論的でわかりやすい」(駒田氏)ため、納得しやすい例を出しながらカウンセリングができ、客の満足度は高いという。

もう1つの顔タイプ診断のメリットとして、診断するだけでなく、「自分のしたいテイストに寄せられる」ことがある。例えば、「キュートに診断されたが、クールな服やメイクがしたい」といった客に対し、客の顔立ちを踏まえた上で、眉の描き方やリップの色の選び方など、クールなテイストに近づけるアドバイスができる。人によって顔立ちやなりたいテイストは異なるため、スタッフの技術の見せどころだ。

こうした接客や提案の技術も、日々ブラッシュアップを重ねている。各スタッフの接客内容を共有し、よりスムーズな会話の進め方や、スタッフによって差異が生じない提案方法などを追求。完成度を高めている。

診断の後は、メイクのテクニックやお薦めアイテムなどを紹介する

診断の後は似合う商品を紹介するが、そこで購入するかは重視していないという。コスメティックカウンターは「客の悩みに応える」ための存在であり、無料にしているのもそのためだ。短期的な売上げよりも、長く店舗を利用し、付き合いを続けられるような関係性の構築を目指す。

実際に、一定数の客が同サービスをきっかけに化粧品売場を利用するようになり、顧客化の効果はみられている。中には「この人は私についてよく知ってくれている」という気持ちになり、カウンセリングを行ったスタッフのファンとなるケースもあるそうだ。

現在はコロナ禍で接客時間を長く取れないため、ファッションなどへのアドバイスは踏み込んで行っていないが、今後は髪型、アクセサリー、靴、バッグなど、装いに関して幅広く提案できるサービスにしたい考えだ。「コスメに限らず、お客様が『なりたい自分』に近づけるサービスに発展させ、お買い物をする楽しさを提供し、当店をもっと好きになって頂きたい」と駒田氏は展望を述べる。

伊勢丹新宿本店、ジェイアール名古屋タカシマヤいずれのケースも、顔タイプ診断が客とのタッチポイントとして効果を発揮している。同診断は「株式会社SHIBUYA109エンタテイメント」のSHIBUYA109 labトレンド予測2022、「一般社団法人SNSトレンドマーケティング協会」の2022年SNSトレンド予測番付にランクインするなど若者からの注目度は高く、今後も多くの流入が見込める。

何度も利用する類のサービスではないが、百貨店が得意とする細やかな接客や、幅広い品揃えを基にしたコンサルティングによって、客の固定化にも繋げやすい。衣料やメイク、アクセサリー、ヘアスタイルなど様々なカテゴリーに活用できるため、今後の両店のサービスの発展にも注目したい。