2021年12月09日

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ところざわサクラタウン、1周年で「浮世絵劇場from Paris」

360度映像に包まれた広大なスペース。第六幕「花」

「ところざわサクラタウン」内にある角川武蔵野ミュージアムで10月30日から「浮世絵劇場from Paris」(主催・角川武蔵野ミュージアム〔公益財団角川文化振興財団〕)が開幕した。ところざわサクラタウンのオープン1周年を記念して企画されたもので、フランス国内で計200万人が体験したDreamed Japan‶Images of the Floating World″が大幅にパワーアップして日本に凱旋し、‶SPIRIT of JAPAN″として開催の運びとなった。

会場となった角川武蔵野ミュージアムは図書館・美術館・博物館を中心とした複合文化施設。その1階グランドギャラリーで始まった同展は、フランス・パリをベースに活動するアーティスト集団であるダニーローズ・スタジオが浮世絵にテクノロジーとストーリーを掛け合わせ、全く新しい巨大映像空間を創造。扇が時を刻み、提灯が宙を舞い、桜の花びらが風に揺れ、荒波がリズムにあわせて駆け巡るなど、異なる映像シーンが1100㎡を超える大空間に映し出される。

360度映像に包まれた広大なスペースに展開される映像シーンは12幕(30分)で、オープニングを飾る第一幕は葛飾北斎「富獄三十六景」「諸国瀧廻り」の「下野黒髪山きりふりの滝」や歌川広重「東海道五十三次之内」の「由井」などが屏風や扇のように現れては消え、華麗な序幕を飾る「風景」(LANDSCAPES)。第二幕の「桜」(CHERRY BLOSSOM TREE)では桜の木が映し出され、床は風に揺れ、無数の桜の花びらが舞い散り、めくるめく異世界に誘う。第四幕の「海」(THE SEA)では沖の大波が突如、空間全体を包み込む。モチーフとなるのは有名な葛飾北斎「富獄三十六景」の「神奈川沖浪裏」。大波が押し寄せては砕け散り、見る人を海に呑み込む。やがて波は静まり、歌川国芳の描くさまざまな魚たちが登場する。

第七幕「女」の様子

第七幕の「女」(WOMEN)では日傘のように回る大輪の花々の向こうには、障子に写る人影が登場。障子は次々に開かれ、華やかな着物姿の芸者たちが現れる。喜多川歌麿「婦女人相十品」の「日傘を差す女」や「三美人」「高島おひさ」など浮世絵に突然、命を吹き込まれたかのように彼女たちは香り立つ視線を見る人に送り込む。第八幕の「扇」(FANS)ではリズミカルなテンポで扇がダイナミックに開かれては閉じられる。壁面に、床面に、扇は互いに重なりあいながら、詩的に変容を遂げていく。第十一幕の「歌舞伎・侍」(KABUKI・SAMURAI)では歌川国芳「国芳もやう 正札附現金男」の「野晒悟助」をはじめとする豪快な侍たちが刀を構えた甲冑姿で役者絵の中から飛び出し、いざ合戦に向けて激しい戦さの踊りを繰り広げる。

1階グランドギャラリー内の後室では浮世絵劇場で使用された多数の浮世絵を紹介するとともに、日本の現代浮世絵師たちの作品などを紹介。チケット料金(税込み)はオンライン購入で一般(大学生以上)2200円(当日窓口購入2400円)、中高生1800円(同2000円)、小学生1100円(同1300円)。同展の開催期間は22年4月10日まで。

角川武蔵野ミュージアム(外観)

角川武蔵野ミュージアムのデザイン監修は日本を代表する建築家、隈研吾氏が手掛けられ、「石」をテーマに造られた。大地の力強さを表現するため世界各地から取り寄せた石のサンプルの中から、灰色と白が荒々しく混ざり合う中国の花崗岩を選び岩山から切り出した。その数量は表面積6000㎡、重量1200t。これを50×70cmの削り出した約2万枚の石板で覆っている。石板の表面はあえて磨かず、職人の手で1枚ずつ割肌風の加工が施されている。角川武蔵野ミュージアムには1階グランドギャラリーの他、高さ8mの巨大本棚に囲まれた360度の図書空間「本棚劇場」をはじめ、約50mの通りに本が並ぶ「エディットタウンーブックストリート」、博物学者・妖怪研究家・作家などさまざまな顔をもつ荒俣宏氏の蔵書が並ぶ「アティックステップ」と「荒俣ワンダー秘宝館」、KADOKAWAから出版されているほぼすべてのライトノベルから児童書、コミックなどが収蔵されている「マンガ・ラノベ図書館」などの施設がある。