2021年10月28日

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にんべん、「NIHONBASHI」ブランドでパーソナルギフト需要開拓へ

にんべん日本橋本店の様子

にんべんは今夏のギフト商戦で、パーソナルギフトのニーズに向けて最上位ブランド「NIHONBASHI」を訴求する。NIHONBASHIは洗練されたパッケージデザインが特徴で、歴史と伝統の象徴、グローバルな視点、新しい感性を表現したブランドマークを冠している。商品に高級感や統一感を持たせるため2015年に立ち上げ、既存品のリニューアルや新商品の発売に合わせて同ブランドに組み込んできた。今春でリニューアルが一段落したため、万全の態勢でギフト需要の取り込みにかかる。一方でフォーマルな中元ギフトは、コロナ禍で中食需要が高まっていることから、昨年に続き惣菜ギフトの拡販に注力する。

 

ビジュアルを強化し、パーソナルニーズに対応

複数の百貨店関係者によると、昨今はコロナ禍で家族や友人に直接会えないため、代わりにパーソナルギフトを送るニーズが増えているという。昨冬には、帰省できない分手土産よりも高価なモノを贈る「帰歳暮」なる言葉まで生まれた。にんべんはこの好機に、NIHONBASHIブランドで攻勢をかける。

今年4月にNIHONBASHIシリーズへと刷新した「だしを愉しむ 炊き込みご飯の素」

最上位ブランドであるNIHONBASHIは、15年の「鰹節ふりかけ」からスタート。その後中核商品の「鰹節削りぶし」、だし専用の「鰹節だしパック」、液体調味料の「つゆの素特撰」、「白だし特撰」、「江戸レッシング煎り酒」、化学調味料無添加の「野菜を美味しく食べるたれ」、フリーズドライの汁物「至福の一椀 おみそ汁・お吸い物」、6種の煮魚と焼魚を詰め合わせた「至福の一菜 煮魚・焼き魚」、和洋の惣菜6種をセットにした「至福の一菜 惣菜」など主力商品を次々とリニューアル・新発売し、ブランドを拡大していった。

今年4月には、本枯鰹節の濃厚なだしとフレッシュパックの〝追い鰹節〟で味わう「だしを愉しむ 炊き込みご飯の素」と、春夏秋冬の季節の素材を楽しめる「素材を愉しむ 混ぜご飯の素」をNIHONBASHIへと刷新。これで既存品のリニューアルは一段落し、今後は新商品の発売などで品揃えを増やしていく。

ブランドを立ち上げた理由は「デザイン面の課題が大きかった」と経営企画部商品サービスグループ豊田義徳部長は明かす。高級感のあるパッケージに刷新し、ギフト利用の増加を見込んだ。さらに店頭に並んだ際のビジュアルも意識したという。従来はデザインのテイストが商品によってバラバラだったため、多くの商品が一堂に並ぶ直営の日本橋本店などが、ややまとまりのない印象になっていた。そこで1つのブランドにまとめ、統一感と見栄えのよさを持たせた。

パーソナルギフト向けのギフトボックスサービスは、有料箱と無料箱の2種類から選べる(写真は有料箱)

さらに、同時期に始めたギフトボックスサービスとの相乗効果も意図した。同サービスはカジュアルギフトや手土産ニーズを想定したもので、客が選んだ商品を専用のギフトボックスに詰合せることができる。好みの商品を組合せられるため魅力のあるサービスだが、デザインを揃えることでより統一感や高級感が出しやすくなる。

ギフトボックスサービスのため、一部商品はサイズも変更した。だしなどの液体調味料はもともと容量が300mlで現在よりも大きなサイズだったが、16年のリニューアル時に容量を200mlに減らし、びんの高さを他の商品と揃えた。これによってギフトボックスに収まり、同サービスで利用できるようになった。

調味料はびんのサイズも変更し、ギフトボックスに入るようにした(写真は日本橋本店)

これらの施策によって、ブランディングを開始した15年以降はギフトの利用が増加。ギフトボックスサービスも好評を博し、パッケージのデザインが上質化したことで単品での購入も増えているという。

今春のリニューアルで既存品のブランディングが完了し、ビジュアルの訴求力が一段と高まったため、旗艦店である日本橋本店を中心に〝NIHONBASHI〟ブランドを前面に打ち出し、売上げの底上げを図る構えだ。

 

フォーマルな中元は〝中食〟を的に惣菜強化

人気が上昇中の「至福の一菜 惣菜ギフト」

パーソナルギフトやカジュアルギフトはNIHONBASHIブランドで訴求する一方で、中元などのフォーマルギフトにはまた異なる戦略で挑む。中食需要の伸長に合わせ、「至福の一椀 おみそ汁・お吸い物詰合せ」、「日本橋だし場 だしスープ詰合せ」、「至福の一菜 惣菜詰合せ」、「至福の一菜 煮魚・焼魚詰合せ」などの惣菜類を主軸に据える。

調理なしで簡単に食べられる汁物や惣菜のアイテムは数年前から人気が上がっており、コロナ禍においてもイエナカ志向により「少し贅沢な食品」のニーズが高まったため、売上げは右肩上がりが続いていた。感染防止の観点から、あらかじめ1人分に小分けされている「個食」向けの商品が好まれるのも追い風となっている。百貨店からも強く関心を寄せられ、昨年の歳暮シーズンには惣菜ギフトを扱う店舗が増えたほどだ。こうした情勢を踏まえ、今夏も惣菜の商品を打ち出す構えだ。

百貨店とのオリジナル商品の開発も積極的に行っており、今年は大丸松坂屋百貨店で和風ポトフ、トマトスープ、オニオンスープを詰め合わせた「冷製だしスープ詰合せ」を、そごう・西武で糖質を40%カットしたうどんの乾麺とNIHONBASHIのつゆの素をセットにした「本枯鰹節うどん・つゆ・白だし詰合せ」を新たに発売した。

コロナ禍によって消費活動は縮小傾向にあるが、人を想い、モノを贈る行為が無くなるわけではない。にんべんはパーソナルとフォーマル、両方のギフトシーンで提案力に磨きをかけ、夏のギフト商戦に挑む。