2026年09月10日

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西武池袋本店の食品売場、「ヨドバシ池袋」効果で急上昇

西武池袋本店の地下1階は和洋菓子やギフトなどを扱う

西武池袋本店の食品売場が急上昇中だ。隣接するヨドバシカメラ マルチメディア池袋(以下、ヨドバシ池袋)が6月30日に開いて以降、客数と売上げが大きく伸長。8月の客数と売上げは、6月比で2桁増を記録した。ヨドバシ池袋との買い回りで、平日は男性客、週末はファミリーの利用が急増しているという。食品売場の新装オープンから約1年が経った9月1~30日には「デパチカ リニューアル 1st Anniversary Fair」(以下、アニバーサリーフェア)と題し、約50種類の限定品や特別品などを販売。勢いに弾みを付ける。

大規模改装を推し進める西武池袋本店は、昨年9月17日に地下1階の和洋菓子やギフトなどの売場を、同25日に地下2階の惣菜などの売場を、それぞれオープンした。約3000㎡の売場に約180のショップが集う日本最大級の“デパ地下”は、とりわけバレンタインデーやホワイトデー、土用の丑の日などの「モチベーション」に強さを発揮。改装前の売上げを超える時もあった。地下1階に構えた、約40ブランド・約100種類の弁当を揃える「BENTOステーション」、同じく地下1階の「メゾンカイザー」「ゴディパン」「ドンク」といったベーカリー、地下2階の「吉祥寺 さとう」なども想定を上回る好調ぶりだ。

しかし、従前と売場の位置が変わった上、ヨドバシ池袋がオープンするまでは池袋駅東口側からの客足が鈍く、さらにはデイリーニーズを取り込むために不可欠な生鮮食品の売場が開いておらず、初年度の売上げは目標に届かなかった。

最大の原因は認知度不足だ。年初にゴディパンの前と東京メトロ丸ノ内線の中央通路東改札の前でアンケートを実施すると、約半数の人は西武池袋本店の食品売場が営業していると知らなかった。知っていても「以前は改札の近くから入れたが、(ヨドバシ池袋が開業する前で)わざわざ迂回して訪れるのは面倒」という声が多かった。土屋加津子ブランドマネジメント部MD担当店舗マーチャンダイザーは「現状が全然伝わっていない。それでは売場に帰ってきてもらえない」と衝撃を受け、情報発信の強化に乗り出した。

具体的には、食品売場の情報を主体にした折込チラシを毎月配布。ショップや商品の紹介に努めた。9月1日からのアニバーサリーフェアも、その一環だ。「ユーハイム」の長さが約27cmのショートケーキ、「張大夫」の直径が約20cmのあんまんなど、インパクトやエンターテインメント性のある商品、旬の味覚を採り入れた“プチ贅沢”なスイーツや惣菜、弁当、稀少な期間限定の商品などを揃え、客足を呼び込む。約50種類というスケールを、土屋氏は「なかなかできない」と自負する。折込チラシを1カ月に3回も作成するなど、宣伝にも力を入れた。大型の物産展以外では珍しいという。

認知度の向上は急務だが、追い風も吹く。ヨドバシ池袋のオープンだ。西武池袋本店の各階の客数を押し上げているが、食品売場が最も伸びている。ヨドバシ池袋の後に立ち寄り、食品を買って帰る新客が増えており、地下1階に比べて苦戦していた地下2階も好転した。男性やファミリーの買上げも増え、視界は良好だ。

「ヨドバシ池袋」からの買い回りが増え、新客の獲得が加速する

ポテンシャルを示すのが、豊島屋の「鳩の日(8月10日)」だ。「お客様感謝デー」に当たり、限定商品を販売するが、客の行列が8階まで続いた。ピーク時には400~500人を数えたという。注目を集める機会を設けられれば、これほどの認知と集客につながる。情報発信や仕掛けは、引き続きの課題だ。売上げを伸ばし続けるためのカギでもある。

一方で、鳩の日は従業員にオペレーションの習熟も促した。大行列を予想して別会場を設け、専用のレジも用意。従業員が一丸で応援に駆け付け、混乱なく乗り切った。この経験はクリスマスや年末年始などの繁忙期に生きてくる。

リニューアルから1年を経過したが、ハードの見直しには慎重だ。「手直しよりも、生鮮品や酒類の要望が多い。生鮮品の売場の完成時期は未定だが、まず地下2階に8月1日、以前の食品売場で精肉を扱っていた『肉匠もりやす』を導入した。仮設のため精肉はなく、名物のローストビーフ、自社工房で作るハムやベーコンなどを販売しているが、好評を博している」と土屋氏は語る。

地下2階の惣菜売場には8月1日、「肉匠もりやす」がオープン

先にソフトを強化しており、今春からは「お客様相談係」を試験運用中だ。食品に精通した社員が腕章を身に付けて売場を巡回し、客の相談に回答する。そごう・西武は以前、和洋菓子のコンシェルジュに当たる「スイーツアテンダント」を配置していたが、同様の役目を担う。

今後はクリスマス商戦に期待を寄せる。昨年は苦戦したが、今年は「ヨドバシ池袋との買い回りを狙える」と土屋氏は意気込む。クリスマスケーキは消費の二極化を踏まえて「ラグジュアリー」と「ファミリー」の2軸で構成。例年は上質や高級のニーズに照準を合わせてきたが、家族で楽しめるケーキも用意して新たな需要を掘り起こす。

「和洋菓子や惣菜の売場は、目標までもう少し」(土屋氏)だけに、アニバーサリーフェアとクリスマスケーキで攻勢を強める。

(野間智朗)

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