丸広百貨店の相互出店、うすい百貨店が加わり初の4社協業
「みちのくご当地フェア」は30日まで
丸広百貨店川越店で24日、「みちのくご当地フェア」が始まった。丸広百貨店は2022年から、地方百貨店と相互に地元の商品を編集して販売する「ご当地フェア」を開いており、みちのくご当地フェアは藤崎、川徳、うすい百貨店と協業。藤崎とは4度目、川徳とは2度目、うすい百貨店とは初めてで、4社でのご当地フェアも初となる。初日は開店直後から賑わい、完売する商品もあった。30日まで、1階の「エンジョイスペース1」で開催中だ。
ご当地フェアは、各百貨店が地元の名品をセレクトする。宮城県からは菓匠三全の「萩の月」や「元祖ずんだシェイク」、白謙かまぼこ店、新山真由美氏が手掛けた弥次郎系こけしなどが、岩手県からはさいとう製菓の「かもめの玉子」、げいび茶屋、三本木工芸の山葡萄かごバッグなどが、福島県からは三万石の「ままどおる」、馬さしの鈴静、あかべこなどが、それぞれ登場。元祖ずんだシェイクは今年6月13日に発売された新商品で、三万石は前回にはなかった「エキソンパイ」を初めて出すなど、品揃えは目新しさも追求した。
馬さしの鈴静の馬刺しは午後1時に完売するなど大人気。鈴静のスタッフは「半信半疑だったが驚いた」という
初日は広告に掲載された鈴静の馬刺しを求める客が多く、午後1時には完売。昨年9月の「宮城・岩手ご当地フェア」でも開店直後に売れた30万円近い山葡萄かごバッグが再び売れ、白謙かまぼこ店には行列が生まれた。ご当地フェアでは新顔の福島県の食品や工芸品などの売れ行きも好スタートを切った。上野雄太営業第2部食料品担当名品・ギフト担当バイヤーは「埼玉県には東北出身者が多く、注目度が高い。各種ご当地フェアが毎年1回開催されると認知し、目的の商品を目掛けて来店するお客様も多い」と活況の理由を分析する。
三本木工芸の山葡萄かごバッグは30万円近いが、前回に続き今回も初日の開店直後に売れた
実際、各種ご当地フェアの売上げは回数を重ねるごとに伸びている。PDCAを徹底し、回を重ねるごとに品揃えや発注の精度が上がっているからだ。開催中にも臨機応変に対応しており、初日の売れ行きが想定以上に良ければ、翌日の在庫量を増やすなどで欠品を防ぐ。この積み重ねが出店者の売上げを伸ばし、客の満足度の向上につながり、ひいてはご当地フェアの収益性を高める。百貨店業界では赤字の物産展が少なくないが、ご当地フェアは黒字だ。
4社での協業は今後も継続する意向だ。渡邊洋平開発統括部事業開発部次長は「(売り逃しにならないよう)『いついってもある』に気を付ける」、上野氏は「折込チラシやSNSなどを通じてPRしていく」と話す。ご当地フェアでは、他の百貨店のショッパーで購入した商品を持ち帰れるが、それを商店街や駅などで見た人が来店する好循環も生まれている。川越店の集客力を高めるためにも、重要な機会だ。
新たな挑戦も始める。来年2月を目途に、丸広百貨店は水戸京成百貨店、東武宇都宮百貨店と組んで藤崎に出店する。埼玉県、茨城県、栃木県の名品が藤崎に集う。丸広百貨店がセレクトする埼玉県の名品は、独自性を強めるために川島町との協業を検討中だ。ご当地フェアは、さらに進化していく。
(野間智朗)