2025年09月19日

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そごう横浜店、特化型食品催事の最新作に手応え

9月2~8日に初めて開催した「スイーツ博覧会」は買上げ客数が想定の1.2倍を記録するなど活況を呈した

そごう横浜店が9月2~8日に8階の催会場で初めて開いた「スイーツ博覧会」が、好結果を収めた。文字通り、洋の東西を問わない約50店舗がスイーツを販売。開店40周年をうたった催事でもあり、その限定品も多く揃えた。有名店が名を連ねた上、限定品も購買意欲を喚起。買上げ客数は目標の約1.2倍を記録し、従来の物産展などでは難しい若年層やファミリーの新客の取り込みにもつながった。

そごう横浜店は、これまで「芋博」や「クッキー博覧会」など特化型の目新しい催事を手掛け、話題を集めてきた。その背景には「当店の主要客層は40~60代の主婦で、三世代のファミリーも多く、『食』に対する消費マインドが強い。しかし、物産展は横浜駅西口の高島屋や都内の百貨店も手掛けており、同質化しやすい。差異化が必要だ」(山田晃正ブランドマネジメント部催事企画担当マネージャー)という狙いがある。

毎年12月の芋博は昨年までに6回、同じく5~6月のクッキーは今年で4回を数えるなど定着。売上げは回を重ねるごとに増えており、1億円を超えた。スイーツ博覧会も、より範囲を広げた特化型だ。

スイーツ博覧会は開店40周年の目玉の1つでもある。開店40周年にふさわしい催事を約1年前から協議する過程で、「一般的な地域の物産展ではつまらない。スイーツをオールジャンルで集めた催事が面白いのではないか」(山田氏)と結論付けた。

オールジャンルとはいえ、“烏合の衆”では目と舌が肥えた客の支持は得られない。強みである「芋」と「クッキー」をベースに、残暑が厳しい9月を踏まえて「クールスイーツ」、横浜赤レンガ倉庫で毎年開かれて人気の「パンのフェス」や流行中のスコーンにちなんで「パンとスコーン」、「和菓子」、「洋菓子」の6つのジャンルに絞り込んだ。

スコーンを販売する「CAFE de ROMAN」は大行列

6つのジャンルを基に、それぞれを得意分野とする食品担当者が出店交渉。担当者が店舗に出向いて交渉したり、「会場を見たい」と言われたら案内したりした結果、多くの“新顔”の誘致に成功した。既存の出店者には限定品の開発を依頼。例えば、もなかで知られる「空也」の別ブランド「ぎんざ空也 空いろ」は、そごう横浜店の提案で「あんこソフトクリーム」を用意した。

クッキー博の常連である「くら吉」は、秋田県産のフランボワーズを使用した「あきたフランボワーズミニョンヌモンブランどら焼き」を展開。山田氏は「くら吉の社長がクッキー博でフィナンシェを見て、次に何か仕掛けたいと考えた。そして思い付いたのが、地元である秋田県産の素材を使ったどら焼き。実はフランボワーズの収穫量は、秋田県が全国トップクラス。どら焼きは、当店の40周年を祝う紅白カラーにしてくれた」と裏話を明かす。

そのほか、「Miss Scone(ミススコーン)」は横浜の海をイメージした青色のスコーン「マリーン・ベル」を、「Kazu Bake(カズ ベイク)」は画期的な「イチジクとタコスとポテサラのパフェ」を、開店40周年記念の限定品として販売した。

会場も工夫。アサイーやマラサダ、ハワイアンレモネードなどハワイの雰囲気を味わえるゾーンを形成したほか、各所にスタンド式テーブルを用意して食べ歩きを楽しめるようにした。普段は会場の端にフードコートを設けており、新たな楽しみ方だ。

一方で、21の出店者が実演販売を希望したが、催会場の電気容量や水回りの数は限られる。山田氏は「どうレイアウトするか、大変だった」と振り返りつつ、「出店者の希望はおおむね叶えられた」と安堵する。

結果、初日は午前中から多くの行列が生まれ、売上げも好調。稀少性が高い限定品がけん引し、スコーンの売れ行きも良く、買上げ客数は想定の約1.2倍だった。「スコーンに合う紅茶、たい焼きに合うお茶などを用意できればよかった」(山田氏)という課題もあるが、次回への伸びしろでもある。スイーツ博は切り口や品揃えを進化させ、継続する方針だ。

(野間智朗)